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「重ね重ねありがとうございます」の正しい使い方と注意点

2024.09.29

「重ね重ねありがとうございます」の使用上の注意点

「重ね重ねありがとうございます」を使用する際は、以下の点に注意しましょう。

  • 一度の出来事に対しては使わない
  • 挨拶やメールでの冒頭には使わない
  • 多用しない
  • 親しい間柄では使わない
  • 結婚式の挨拶では使わない

それぞれの注意点について解説します。

度の出来事に対しては使わない

「重ね重ねありがとうございます」は、一度きりの出来事に対しては使わないようにしてください。「重ね重ね」は文字通り、何かが重なっている状況をあらわします。そのため、たとえば複数回にわたる支援やアドバイス、贈り物などに対して感謝の気持ちを示す際に使うのが適しています。

一度きりの出来事や単発の行為に対して使うと、相手に違和感を与えてしまうでしょう。一度の出来事に対して感謝の気持ちを伝える場合は、「誠にありがとうございます」や「心から感謝申し上げます」といった表現を用いるのが適切です。

挨拶やメールでの冒頭には使わない

「重ね重ねありがとうございます」を使う際の注意点として、挨拶やメールでの冒頭には使わないように注意しましょう。

繰り返しの状況に対するお礼の言葉であるため、たとえば2つの事象に対する感謝を伝える際は、はじめに1つめの感謝を述べ、次に別の感謝を述べます。そして、「重ね重ねありがとうございます」というフレーズを伝えるのが一般的です。

こういった流れがなく、いきなり「重ね重ねありがとうございます」というフレーズから始まると、相手は戸惑ってしまう可能性があります。適切なタイミングで使うことで、感謝の気持ちが相手に伝わりやすくなるでしょう。

多用しない

多用しないことも、「重ね重ねありがとうございます」を使う際に意識しておきたいポイントです。

すでに感謝の気持ちを伝えた相手に、さらにお礼を述べる場面で使う言葉であるため、しつこい印象を緩和する効果が期待できます。

しかし、同じことを何度も伝えている自覚があるのに、さらに同じことを繰り返すことになるため、逆効果になるリスクがあるでしょう。

また、感謝の言葉を過剰に使用することで、形式的に受け止められ、本来の感謝の意が薄れてしまう場合もあります。

親しい間柄では使わない

「重ね重ねありがとうございます」は、基本的に親しい間柄では使用しません。丁寧でフォーマルな印象を与えるフレーズのため、同僚や部下、親しい友人といった親しい関係性で使用すると堅苦しく、相手との距離を取っているように思われてしまいかねません。

親しい間柄であれば、「いつもありがとう」「何度も助けてくれたおかげで、本当に助かったよ」など、より親しみやすい感謝の言葉を伝えると、気持ちが自然に伝わるでしょう。

結婚式の挨拶では使わない

結婚式や葬儀においては、たとえこれまで何度もお世話になり、感謝を伝えたいとしても、「重ね重ねありがとうございます」という表現を使うのは避けましょう。

「重ね重ね」という言葉は、結婚式や葬儀、お見舞いにおいては重なることを連想させる「重ね言葉」であり、避けるべき「忌み言葉」の1つとされています。

たとえば、結婚式で「重ね重ね」という言葉を使うと、再婚や離婚を連想させる可能性があります。結婚式では「心より感謝申し上げます」や「誠にありがとうございます」といった言葉を使って、感謝の気持ちを伝えましょう。

「重ね重ねありがとうございます」の類似表現

「重ね重ねありがとうございます」には、以下のような類似表現があります。

  • 心からお礼申し上げます
  • 感謝の気持ちでいっぱいです
  • 重ね重ねになりますが、御礼申し上げます

それぞれの意味や使い方について確認しましょう。

心からお礼申し上げます

「心からお礼申し上げます」は、「重ね重ねありがとうございます」と似たような意味を伝えられるフレーズであり、より一層強く深い感謝を表現することが可能です。

「心から」は「心の底から」という意味で、「心の底からお礼を申し上げます」という意味です。敬語の「御礼申し上げます」が加わることで、礼儀正しさも加わったフレーズといえるでしょう。

ただし、「心からお礼申し上げます」という表現自体が強い感謝をあらわすため、何度も繰り返してしまうと過剰な印象を与え、感謝の気持ちが適切に伝わりにくくなる恐れがあります。

【例文】

  • 貴重なご意見をいただき、心からお礼申し上げます
  • 長期にわたるご支援、心からお礼申し上げます
  • ご指導いただき、心からお礼申し上げます

感謝の気持ちでいっぱいです

「感謝の気持ちでいっぱいです」は、文字通り相手への感謝の気持ちで胸がいっぱいになっていることを伝えるフレーズです。尊敬語や謙譲語は含まれていませんが、上司や目上の方に対して使用しても問題はありません。

通常、「いっぱいになる」状況になるまでは時間がかかるため、長い期間の感謝に対して使う言葉とされるケースもあるようです。

【例文】

  • このようなお心遣いをいただけるとは考えてもいませんでした。感謝の気持ちでいっぱいです
  • 何度も練習にお付き合いいただき、その結果納得のいくプレゼンができました。感謝の気持ちでいっぱいです
  • 本件についてはいつもご支援いただきました。感謝の気持ちでいっぱいです

重ね重ねになりますが、御礼申し上げます

重ね重ねになりますが、御礼申し上げます」も、「重ね重ねありがとうございます」の類似表現に該当します。感謝の気持ちを強調し、丁寧に伝えられる表現といえるでしょう。

「重ね重ねありがとうございます」と同様に、繰り返しの状況に対するお礼の言葉であるため、冒頭から使うことは避けましょう。

【例文】

  • 長きにわたり、お力添えいただきありがとうございます。重ね重ねになりますが、御礼申し上げます
  • 日頃からご指導いただき、誠にありがとうございます。重ね重ねになりますが、御礼申し上げます
  • 貴社のご協力により、無事に業務を完了できました。重ね重ねになりますが、御礼申し上げます

「重ね重ね」の類似表現

「重ね重ねありがとうございます」に使われる、「重ね重ね」という表現の類似表現もチェックしておきましょう。「重ね重ね」の類似表現には、以下のようなものが挙げられます。

  • 幾重にも
  • くれぐれも
  • 度々
  • 重々

それぞれの意味や例文などを解説します。

幾重にも

「幾重にも」は、「いくえにも」と読み、何度も繰り返す様子を意味する言葉です。そのため、重ね重ねと同じような意味で使うことが可能です。「幾重にもお頼み申し上げます」などと使います。

参考:デジタル大辞泉

くれぐれも

「くれぐれも」は、何度も心を込めて依頼したり忠告したりする際に用いる言葉です。似たようなことを繰り返し相手に伝えるフレーズのため、重ね重ねと似ています。

しかし、「重ね重ね」がお礼やお詫び、念押しをする際に使う表現であるのに対し、くれぐれもは依頼やアドバイス、警告などにも使うため若干ニュアンスが異なる点に注意しましょう。たとえば、「くれぐれもお忘れにならないように」を重ね重ねに言い換えるのは、適切ではありません。

参考:デジタル大辞泉

度々

「度々」は「たびたび」と読み、何度も繰り返し行われるさまをあらわす言葉です。そのため、重ね重ねと同じような意味で用いられる類似表現の1つです。

日常一般のことに広く使われる言葉であり、同じ意味でより文語的に表現する場合は「しばしば」を用いることが多いでしょう。

度々は、たとえば、何度も同じことを質問する際に「度々のご質問となり恐縮ですが」「度々申し訳ありません」などと使います。

参考:デジタル大辞泉

重々

「重々」は、「じゅうじゅう」と読み、同じことを何度も繰り返す様子をあらわす言葉です。「重々お伝えしていますが、この書類の提出は今週末です」といった使い方をします。

重ね重ねと言い換えられることもありますが、重々には「十分に」という意味もあり、この意味で使われる場合は、重ね重ねとは置き換えられないことに注意しましょう。

参考:デジタル大辞泉

「重ね重ねありがとうございます」を使いこなそう

「重ね重ねありがとうございます」は、すでに感謝の気持ちを伝えた相手に、さらにお礼を伝える際に使うフレーズです。上司に何度もアドバイスをもらったときやクライアントに何度も要望に応えてもらったとき、連続して贈り物を受け取ったときなどに使いましょう。

類似表現としては、「心からお礼申し上げます」「感謝の気持ちでいっぱいです」「重ね重ねになりますが、御礼申し上げます」などが挙げられます。

「重ね重ねありがとうございます」は繰り返しの出来事に対する感謝をあらわすため、一度きりの事象に対しては使いません。また、冒頭から述べると違和感を与えてしまうでしょう。

そのほか、多用しないことや親しい間柄では使わない、結婚式の挨拶では使わないといった点に注意が必要です。意味や使用する際の注意点を理解して、正しく使いこなしましょう。

構成/橘 真咲

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