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ビジネスシーンや芸能人の会話でよく聞く「バーター」とはどういう意味?

2024.09.23

バーターを用いた2つの表現

バーターという言葉を用いた表現には、以下のようなものがあります。

1.バーター取引
2.バーター貿易

あわせて、これら2つの言葉が持つ意味を確認しておきましょう。

■1.バーター取引

バーター取引とは、「物々交換、または商品とサービスを交換する仕組み」を指すフレーズです。バーター取引は、ビジネスシーンでバーターという言葉を使用する際によく用いられています。

たとえば、「自社商品を購入してもらえれば、こちらも相手側の商品を購入しますよ」という提案がバーター取引です。このような取引は、「条件付きのバーター取引」と呼ぶこともあります。

■2.バーター貿易

バーター貿易とは、「条件付きの国家間の取引」のことを指す表現です。

バーター取引は国家間でもおこなわれることがあります。そして、バーター取引を国家間で実施することをバーター貿易と呼ぶのです。

たとえば、「A国の石油とB国の穀物とを物々交換する」「禁輸措置を解除してもらえれば〇〇を提供する」などの取引をおこないます。

ビジネスシーンにおける「バーター取引」とは?

ビジネスシーンにおける「バーター取引」の意味合いは、「交換取引」や「ギブアンドテイク(give and take)」です。

ビジネスシーンでバーターとして取引する場合には、商品やサービス以外に、人材や仕事なども取引の材料とすることがあります。バーター取引は、基本的には商談を持ちかけた企業側が有利な取引となることが多いようです。

場合によっては、担当者個人へのバーター取引もあります。たとえば、「不動産や保険などを契約してもらえればこちらも〇〇を契約しますよ」という取引などです。ただし、担当者の個人的な負担が重くなってしまうケースがあるため、注意が必要です。

■バーター取引によるメリット

バーター取引には、以下のようなメリットがあります。

・手元に現金がなくても取引が可能
・貸し倒れのリスクが少ない

バーター取引であれば、現金を用意する必要がありません。現金を用意できず、品物だけがあるような状態であっても取引ができるため、現金のみにこだわって取引した場合よりもビジネスチャンスが広がります。

また、現金で取引した場合には貸しにした分が戻ってこないリスクがあるでしょう。バーター取引であれば金銭を介さないため、貸し倒れが起こりにくいといわれています。

そのほか、状況によっては以下のようなメリットも挙げられます。

<市場価格が定まっていないものを取引する場合>
・想定より高く売れる可能性がある
・想定より安く購入できる可能性がある

市場価格が定まっていないものをバーター取引する場合には、ものさしとなるのは金銭ではなく自分と取引相手の市場観です。取引相手の市場観によっては、自分の市場観で想定していたケースよりも利益となる取引をおこなえる可能性があるでしょう。

<力関係に差がある企業間で取引する場合>
・自社の力のほうが大きければ、有利な取引を持ちかけられる可能性がある

力関係に差がある場合、片方の企業にとって都合の良い取引を持ちかけられる可能性があります。たとえば、売れ行きがあまり良くない商品を相手企業の商品と物々交換したり、魅力的な商品を安値で仕入れたりなどの取引です。

■バーター取引によるデメリット

一方で、バーター取引によるデメリットもあります。

バーター取引によるデメリットは、以下のようなものです。

・自社の売り上げをのばすために、必要のない契約をしてしまう可能性がある

本来であれば必要のない商品・サービスであっても、自社の売り上げをのばすためならばとバーター取引に応じてしまうケースがあります。バーター取引をする際は、本当に必要なのか、また総合的に自社の利益になる取引なのかどうかをしっかりと検討すると良いでしょう。

また、状況によっては以下のような点もバーター取引のデメリットとして挙げられます。

<市場価格が定まっていないものを取引する場合>
・本来よりも安く売ってしまう可能性がある
・本来よりも高く購入してしまう可能性がある

市場価格が定まっていないものをバーター取引する場合には、自分の市場観次第では気付かないうちに損失をこうむる可能性があるでしょう。バーター取引をおこなうときは、自分の市場観を磨いて商品やサービスの価値を正しく算出することが大切です。

<力関係に差がある企業間で取引する場合>
・自社よりも相手企業の力のほうが大きければ、こちらに不利となる取引を持ちかけられる可能性がある

企業間の力関係によっては、立場の弱いほうが平等ではない取引を受け入れることになってしまうかもしれません。

■業種・業界ごとのバーター取引の特徴

あわせて、業種・業界ごとのバーター取引の例をご紹介します。

<石油業界>
・各石油会社間で、品質規格を満たす同種同量の製品を融通し合う

石油業界では、各石油会社間で異なる地域に配置した製品を融通し合っています。このバーター取引をおこなうことで、効率的かつ安定的に広い地域への配送ができるようにしているのです。

<広告業界>
・自社の広告枠を取得する費用の代わりとして、広告費用に相当する額の商品を提供する

<不動産業界>
・契約に至る入居者を紹介した場合、家賃1か月分を無料にするなど

■実際にバーター取引をおこなった事例

実際にバーターとしてどのような取引がおこなわれているのか、事例を確認しておきましょう。

たとえば石油業界では、先述したように異なる地域で製品を融通し合うバーター取引を実施しています。

また、トヨタ自動車はバーター取引によって、タクシーアプリ「Uber」との提携を実施しました。このときの取引内容は、トヨタ自動車がUberの運転手へ車を提供し、それによってUberが試乗会のような役割を果たすというものです。

バーターという表現を正しく理解しよう

バーターの意味は、基本的に「物々交換」「交換する」などです。ビジネスシーンでバーター取引と表現する場合には、「交換取引」や「ギブアンドテイク(give and take)」といった意味合いで使用します。

また、芸能人・芸能界におけるバーターとは、「抱き合わせ出演」を指す表現です。このように、ビジネスシーンと芸能人・芸能界では、同じバーターという言葉でも異なる意味が含まれています。

どちらの場合でもバーターにはメリットがあります。しかし、デメリットとなるケースもあることに注意が必要です。

バーターという表現を正しく理解して、今後の仕事に役立てましょう。

構成/chihaya

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