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「今後ともよろしくお願いします」という表現が正しいのか、気になっている方もいるのではないでしょうか?便利な表現ですが、定型文のように使うと違和感を持たれてしまう可能性があります。「今後ともよろしくお願いします」の意味や使い方、類似表現をまとめました。
「今後ともよろしくお願いします」とは
「今後ともよろしくお願いします」とは、これからも相手との関係性を続けていきたいときに使う表現であり、ビジネスやプライベートなど、さまざまな場面で使用されるフレーズです。ここでは、「今後ともよろしくお願いします」の意味や使う対象について解説します。
■どのような意味で使うか
「今後ともよろしくお願いします」は、「これからも今までと同じように良好な関係を続けていきたい」という気持ちを、丁寧な表現で伝える言葉です。
「今後」は、「これからのち」を、「とも」は「同じように」をあらわし「これからのちも、今までと同じように」の意味を示します。また、「よろしくお願いします」は、一般的に「よろしく頼みます」の意味で、人に何かを頼んだり好意を示したりするときに使います。
■誰に対して使うか
「今後ともよろしくお願いいします。」は、以下のような相手に使うフレーズです。
- 取引先
- 顧客
- 上司・先輩
取引先にはプロジェクト終了時や契約締結時などに、顧客には商品やサービスを購入してもらったときなどに、いずれも「今後も良好な関係を続けたい」という気持ちを込めて使います。
上司や先輩に対しては敬意を示しながら、「今後も自分に対して指導し成長へ導いたり、サポートしたりしてほしい」という気持ちを伝えるために使うことが多いといえるでしょう。
「今後ともよろしくお願いします」の使い方
「今後ともよろしくお願いします」は、以下のように、さまざまな場面で使われるフレーズです。
- 日常の挨拶
- ビジネスシーンでの挨拶
- メールの結びの挨拶
それぞれの場面における使い方を確認しましょう。
■日常の挨拶で使う
かしこまったシチュエーションやビジネスシーンに限らず、何気ない日常の挨拶でも使われるのが、「今後ともよろしくお願いします」の特徴です。
たとえば、引っ越しをした際に、近隣の方に自己紹介をした後に「今後ともよろしくお願いします」と付け加えることで、良好な関係を築いていきたい気持ちを示すことが可能です。趣味の集まりやスクールなどで、新しいメンバーや既存のメンバーに対して使うこともあります。
■ビジネスシーンでの挨拶として使う
「今後ともよろしくお願いします」は、ビジネスシーンでの挨拶としても頻繁に使われます。取引先との商談が終わったタイミングや契約を結んだときのほか、社内のミーティングでも使える便利なフレーズです。
■メールの結びの挨拶で使う
とくにビジネスメールにおいては、文末の締めの表現として「今後ともよろしくお願いします」を用いるケースが多くみられます。本文で要件を伝えた後に、このフレーズを入れることで、「今後も良好な関係を継続していきたい」という意思表示ができます。
「今後ともよろしくお願いします」のメール例文
「今後ともよろしくお願いします」は、ビジネスメールの文末に使われることの多い表現です。具体的にどのように使われるのか、メールの例文を場面別にみていきましょう。
■日程調整をする場合
件名:「◯◯」のお打ち合わせについて
本文:
◯◯株式会社 ◯◯部 ◯◯様
平素より大変お世話になっております。
株式会社◯◯の△△△でございます。
このたびは、「◯◯◯」に関するお問い合わせをいただき、誠にありがとうございました。
「◯◯◯」のサービス内容や、期間限定で開催しているお得なキャンペーンについて
詳しくご説明できればと思い、ご連絡いたしました。
可能でしたら貴社に伺い、30分~1時間ほどお時間を頂戴できればと存じます。
つきましては、ご都合のよい面談の日時を、下記の日程の中からご連絡いただけますでしょうか。
- ◯月◯日(◯)◯時~◯時
- ◯月◯日(◯)◯時~◯時
- ◯月◯日(◯)◯時~◯時
上記日程以外でも調整できますので、ご都合が合わなければ遠慮なくお申し付けください。
また、ご不明点や気になる点などがございましたら、お気軽にご連絡くださいませ。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
◯◯株式会社
営業部△△△
■進捗確認をする場合
件名:「◯◯◯」の進捗状況のご確認
本文:
◯◯株式会社 ◯◯部 ◯◯様
平素より大変お世話になっております。
株式会社◯◯の△△△でございます。
先日、制作をご依頼いたしました「◯◯◯」につきまして、
◯月◯日が期日のため、念のため進捗状況を確認させていただきたくご連絡いたしました。
入れ違いですでにご連絡いただいておりましたら、大変申し訳ございません。
制作にあたってご不明な点や追加で必要な資料などがございましたら、
お気軽にご連絡くださいませ。
今後ともよろしくお願いします。
◯◯株式会社
営業部 △△△
■打ち合わせのお礼をする場合
件名:お打ち合わせのお礼
本文:
◯◯株式会社 ◯◯部 ◯◯様
平素より大変お世話になっております。
株式会社◯◯の△△△でございます。
先ほどは、月末のお忙しい時期に貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。
また、貴社の現状や今後のビジョン、経営課題などを詳しくお教えいただき、心より感謝申し上げます。
私からのご提案内容についてご不明な点やご質問などございましたら、お気軽にご相談いただけると幸いです。
今後ともよろしくお願いします。
◯◯株式会社
営業部 △△△
■上司にお礼を伝える場合
件名:◯◯社のご提案資料について
本文:
◯◯部長
お疲れさまです。△△です。
お忙しい中、資料をご確認いただきありがとうございました。
提案内容につきましては、アドバイスいただいたとおり、◯案で進めていく予定です。
また、それ以外の箇所に関しても、大変参考になるアドバイスをいただき大変参考になりました。
いただいたアドバイスやご指摘を基に、再度資料を作成いたします。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
「今後ともよろしくお願いします」を使う際の注意点
「今後ともよろしくお願いします。」を使う際は、主に以下の点に注意しましょう。
- 関係性が続きそうな相手に使う
- 謝罪に交えて使わない
- 親しい相手には使わない
- 定型文のように使わない
それぞれの注意点について解説します。
■関係性が続きそうな相手に使う
「今後ともよろしくお願いします。」は、この先も関係性が続きそうな相手に使いましょう。取引をしたものの、今後は継続の見込みがなかったり、商談のみで終了したりした相手に対して使用すると不自然な印象を与えてしまいます。その場合は、「このたびはありがとうございました」や「また機会がありましたらぜひよろしくお願いいたします」などの表現にとどめることが適切でしょう。
「今後ともよろしくお願いします。」は、継続した関係性を前提としたフレーズであることを覚えておきましょう。
■謝罪に交えて使わない
謝罪には交えないことも、「今後ともよろしくお願いします。」を使う際の注意点です。謝罪の要素は含まれていないため、謝らなければならないときは、別途きちんと謝罪の言葉を伝えるようにしましょう。「今後ともよろしくお願いします。」を謝罪に交えて使うと、反省の気持ちが伝わりにくく、ただでさえ不快感をいだいている相手のさらなる怒りを買ってしまうリスクがあります。
たとえば、プロジェクトにクライアントの意向を正しく反映できておらず、多大な迷惑をかけたとします。クライアントが「次までに修正してくれれば大丈夫ですよ」と寛大な対応をしてくれたとからといって、感謝しつつ「今後ともよろしくお願いします。」と伝えてはいけません。
しかし、相手に迷惑をかけたのに、きちんと謝罪しないもしないまま「今後ともよろしくお願いします。」というのは、厚かましいと思われてしまうでしょう。この場合は、「このたびは多大なるご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ございません。今後はこのようなことのないよう、一層気を引き締めて参ります」としっかりと謝罪の言葉を伝えてください。
■親しい相手には使わない
「今後ともよろしくお願いします。」は、通常、親しい相手には使いません。丁寧な表現であるため普段から親しい相手に使ってしまうと、堅苦しく、よそよそしいと受け取られる可能性があります。
とくに同僚や部下に対して使うと、距離を取られたと思われてしまいかねません。普段から付き合いがあり、親しい間柄の相手には「これからもよろしく」や「これからも一緒に頑張りましょう」といった表現を使うことで、親しみを表現できるでしょう。
■定型文のように使わない
便利な表現だからといって、「今後ともよろしくお願いします。」を定型文のように使うのは避けましょう。本来は、相手と継続的に良好な関係を築いていきたいという気持ちを伝えるフレーズです。しかし、謝罪や初対面の相手へのお礼など、メールの内容にかかわらず常に文末に用いてしまうと、機械的で心のこもっていない印象を与えてしまうでしょう。
そのため、定型文のように同じフレーズを使い続けるのではなく、相手やメールの本文に応じて締めの言葉を加えることで、丁寧かつ好印象を与えられる可能性が高まります。たとえば、「今後とも、変わらぬご愛顧をよろしくお願い致します。」「今後とも、貴社のご指導を賜りますようお願い申し上げます。」などがおすすめです。
「今後ともよろしくお願いします」の丁寧な表現
「今後ともよろしくお願いします。」は目上の方にも使える丁寧な表現ですが、状況によってはさらに丁寧な表現のほうが望ましい場合もあります。ここからは、「今後ともよろしくお願いします。」の丁寧な表現をご紹介します。
■「今後とも何卒よろしくお願いいたします」
「今後とも何卒よろしくお願いいたします」は、引き続き良好な関係を保ちたいというニュアンスを伝えるのに使える、丁寧な表現の1つです。
「何卒」は「どうぞ」や「どうか」という意味を持つ古語で、相手に強く懇願する際に使います。一般的に使われる「どうか」よりも謙虚さや敬意のニュアンスが含まれます。
また、「いたします」の「いたす」は「する」の謙譲語であり、へりくだって伝えることで相手への敬意をあらわす言葉です。そのため、丁寧に伝えたいときに適した表現だといえます。
参考:デジタル大辞泉
■「今後ともよろしくお願い申し上げます」
「今後ともよろしくお願い申し上げます」も、「お願い申し上げます」を使うことで、今までと同様に良好な関係を続けていきたいという意思表示ができる表現です。「お願い申し上げます」は謙譲語であり、相手への敬意をあらわすことが可能です。よりフォーマルな場面で使用するのに適しているといえるでしょう。
「今後ともよろしくお願いします」の類似表現
「今後ともよろしくお願いします」と同じような意味で使える類似表現としては、以下のようなものが挙げられます。
- 今後ともお力添えのほど
- 引き続き
- 今後とも変わらぬお引き立てを賜りますよう
- 今後とも一層のご厚情を賜りますよう
表現のバリエーションを増やしたいときに、ぜひ参考にしてください。それぞれの意味や例文を確認しましょう。
■今後ともお力添えのほど
「今後ともお力添えのほど」は、「今後ともよろしくお願いします」と同じような意味で使える表現です。具体的には、これからも引き続き援助をしていただきたいという意味であり、「力添え」は「ちからぞえ」と読み、「お」を付けることで丁寧に表現することが可能です。
自分の行為に対しては使えないため、「お力添えできずに申し訳ございません」「お力添えいたします」というような使い方は不適切であることを知っておきましょう。
【例文】
- プロジェクトの成功に向けて、今後ともお力添えのほどよろしくお願いいたします
- 担当は変わりますが、今後とも何卒お力添えのほどよろしくお願い申し上げます
参考:デジタル大辞泉
■引き続き
「今後とも」を「引き続き」に言い換えて、相手に良好な関係や長期的なやりとりを希望する旨を伝えることも可能です。「引き続き」とは、物事が途切れることなく続くことをあらわす言葉です。
「引き続きよろしくお願いします」という表現は、メールを締める文章としても頻繁に使われます。協力関係や取引を円滑に続けることを望む際に効果的な表現の1つといえるでしょう。
【例文】
- 新しい事業立ち上げに向け、引き続きご協力のほどよろしくお願いします
- 長年のご支援、心より感謝申し上げます。引き続きよろしくお願いいたします
参考:デジタル大辞泉
■今後とも変わらぬお引き立てを賜りますよう
「今後とも変わらぬお引き立てを賜りますよう」は、ビジネスシーンで使われることの多い表現の1つで、相手の支援や協力を求めることを謙虚に伝えられます。
「引き立て」は、目を掛けて用いることを、動詞の「賜る」は「もらう」ことを意味します。自分よりかなり目上の方に対して使う、かしこまった表現であることを押さえておきましょう。
【例文】
- これまでのご支援に心から感謝申し上げます。今後とも変わらぬお引き立てを賜りますよう、お願い申し上げます
- 新規店舗をオープンいたしました。今後とも変わらぬお引き立てを賜りますよう、心よりお願い申し上げます
参考:デジタル大辞泉
■今後とも一層のご厚情を賜りますよう
「今後とも一層のご厚情を賜りますよう」も、相手に継続して協力を仰ぎたい意向を示すために使う表現です。心からの深い思いやりの気持ちを意味する「厚情」と、「もらう」の謙譲語である「賜る」の組み合わせからなる言葉です。
「今後とも変わらぬお引き立てを賜りますよう」と同じように、かなりかしこまった表現であるため、目上の方や取引先に対して使うとよいでしょう。
【例文】
- 貴社のご協力に心より感謝いたします。今後とも一層のご厚情を賜りますようお願い申し上げます
- このたびはご支援いただき、誠にありがとうございます。今後とも一層のご厚情を賜りますようお願い申し上げます
参考:デジタル大辞泉
「今後ともよろしくお願いします」を正しく使おう
「今後ともよろしくお願いします」とは、これからも相手との関係性を続けていきたいときに使う表現であり、ビジネスシーンやメールの結びに加え、日常の挨拶にも使えます。
便利な表現のため、定型文のように使ってしまいそうになりますが、謝罪に絡めて使ったり、関係が続く見込みがない相手に対して使ったりすることは避けましょう。また、やや堅苦しく、よそよそしい印象を与える恐れがあることから、親しい相手に対して使うこともおすすめできません。
より丁寧に、相手との継続した関係性を希望する旨を伝えたいときは、「何卒」を付け加えたり、「お願いいたします」「お願い申し上げます」と言い換えたりするとよいでしょう。「今後ともよろしくお願いします」の意味や使う際の注意点を押さえて、正しく使いこなせるようにしましょう。
構成/橘 真咲