減少するシーバスの漁獲量
海釣りで人気の魚の一つがシーバスの名で知られるスズキ。港湾部や河川、砂浜など様々な場所から狙うことができます。体が大きいために引きが強く、食性のバリエーションが豊富でルアーを選ぶ楽しさもあります。
このスズキは著しく漁獲量が低下しています。特に東京湾や相模湾で顕著。
※令和5(2023)年度 資源氷菓調査報告書より
減少している背景として乱獲による個体数そのものの減少と、水産資源を守ろうとする漁業者の自主規制があると考えられます。
シーバスはその数が減っていることに加え、ブラックバス同様にスレてしまったために簡単に釣ることができなくなりました。
釣り場にアクセスする難易度が低くても、釣れるという成功体験がなければ長くは続きません。
人が多く集まる人気の釣り場に足を運ぶと、ハコフグやゴンズイ、ネンブツダイのような魚が大量に捨てられていることがあります。これらの魚はエサ取りと呼ばれ、釣り人に嫌われているため。水産資源や生態系を極力守るためにも、釣り人には最低限のマナーが求められるでしょう。
釣り人のマナーの悪さが釣り場の消失を招く
釣り場が消失しているのも釣りが定着しない要因の一つ。
2024年に勝浦漁港の一部が釣り禁止になると発表され、釣り人の間に衝撃が走りました。東京からアクアラインを使えば2時間ほどでアクセスでき、足場が安定しているために子供連れでも安心して釣りが楽しめる場所として知られていました。
アジやメジナ、クロダイも狙えるなど魚種も豊富。場所取りが大変なことでも有名なほど、人気の釣り場でした。
港や湖など、釣り人が多く集まるとゴミ問題や漁港関係者・近隣住民とのトラブル、違法駐車などの問題が必ず起こります。コロナ禍の釣りブームをきっかけとして問題が表面化。釣り禁止に踏み切った漁港も少なくありません。
自宅から近く、釣りやすい場所がなくなれば釣り人口が増えないのも当然でしょう。
海外メーカーが真似できない釣具の開発が必要に
日本で釣り人口が急増する可能性は低く、大幅な市場拡大は望めません。メーカーが活路を見出しているのが海外市場。アメリカの釣り人口は5000万人で、日本の9倍近くに上ります。ダイワとシマノはアメリカの釣りファンの間でも親しまれているメーカーです。
近年、釣り人気が高まっているのが中国。魚を釣ることそのものよりも、SNS映えする、カッコイイなどの理由によって始めるケースが増えています。
2022年の市場規模は165.3億元。前年比6.3%の増加でした。中国の釣り竿の輸入元は日本で全体の50.7%を占めています。
日本製の釣具は品質が高いためにビギナーからマニアまで幅広く支持されています。これは日本の釣り人の高いニーズに育まれたものと言えます。
今後、各メーカーは日本の釣り人が求める高度な要求に応える製品を開発し、その技術を応用した釣具を海外に展開して業績を拡大するようになるでしょう。
文/不破聡