持続可能な世界を実現するための17の目標・169のターゲットから構成され、カラフルなドーナツ型のデザインが特徴のSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)。目標達成期限である2030年に向けた取り組みは後半戦に突入しており、世界的に対応が急がれている。
こうしたなか、政府は2023年12月にSDGsを達成するための中長期的な国家戦略である「SDGs実施指針」を4年ぶりに改定した。同指針では、社会課題の解決を通じて事業性を高める企業等への支援の強化など民間企業に関わる内容も多く、政府は官民を問わずに国全体としてSDGsの目標達成に向けて力を入れている。
そこで、帝国データバンクはこのほど、現在のSDGsに関する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2024年6月調査とともに行ったものだ。
『SDGsに積極的』は調査開始以降で最高水準の54.5%に
自社におけるSDGsへの理解や取り組みについて尋ねたところ、「意味および重要性を理解し、取り組んでいる」企業は29.7%となり、前年より2.3ポイント上昇した。また、「意味もしくは重要性を理解し、取り組みたいと思っている」は24.8%で同1.4ポイント低下した。
合計すると『SDGsに積極的』な企業は0.9ポイント増の54.5%と、調査開始以降で最高水準を更新した。ただし、前年に続き、上昇幅は鈍化する結果となった。
企業からは、「取り組まないと人員確保が難しいと感じる」(電気・ガス・水道・熱供給、神奈川県、中小企業)や「取引先からの取り組み状況の調査が増えている」(情報サービス、富山県、中小企業)の声にあるように、人材確保や取引先との関係強化を目的に取り組んでいる企業が複数みられた。
その一方で、「言葉は知っていて意味もしくは重要性を理解できるが、取り組んでいない」は33.5%、「言葉は知っているが意味もしくは重要性を理解できない」は7.4%だった。合計すると、SDGsを認知しつつも取り組んでいない企業は40.9%となり、『SDGsに積極的』な企業を10ポイント以上下回った。
規模が小さいほど『SDGsに積極的』な企業割合低く
企業規模別にみると、「大企業」ではSDGsに積極的な企業が71.8%と、全体を大幅に上回った。「中小企業」では51.2%、うち「小規模企業」では42.9%となった。
規模が小さいほどSDGsに積極的な企業の割合が低くなる傾向が続いている。中小企業からは「中小零細企業は人手不足など目先の問題を解決することで手一杯」(不動産、東京都、小規模企業)のような厳しい声が聞かれたほか、「範囲が広すぎて零細企業での取り組みがみえていない」(専門サービス、宮城県、中小企業)といったコメントも複数あがっていた。
他方、SDGsに積極的な企業を業界別にみると、『金融』が66.4%で最も高かった。企業からは「損保会社と提携した『SDGs認定書』の発行のほか、SDGs関連セミナーの開催、職員への金融リテラシー教育などに取り組んでいる」(金融、兵庫県、大企業)などの声が聞かれた。