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反転攻勢は、守りの状態から攻めの状態へと転じることを意味します。
スポーツをはじめとする勝負事やビジネスシーンでよく見聞きする言葉なので、正しい使い方を覚えておきましょう。反転攻勢の類義語や対義語も紹介します。
反転攻勢とは?基本の意味
反転攻勢は、スポーツの実況中継やニュース、ビジネスシーンでよく目にする四字熟語です。漢字からおおよその意味は予想できても、いつ・どのような場面で使えばよいのかが分からない人は多いでしょう。例文を挙げながら、言葉の意味・使い方を解説します。
■守りから攻撃に転じること
反転攻勢(はんてんこうせい)とは、守りの姿勢から一転して攻撃に転じることを意味します。スポーツの試合で、相手チームの攻撃を耐え忍んでいたチームが、突如として猛攻を仕掛けるような状況は、反転攻勢といえるでしょう。
ビジネスシーンでは、業績不振に陥っていた企業が、新製品の開発や積極的な投資によって市場シェアを奪還するような状況が該当します。
反転攻勢は、単なる反撃とは異なり、状況を大きく覆すほど圧倒的に攻めかかる態勢を意味します。状況をよく見極めた上で使用しましょう。
■反転攻勢の使い方・例文
反転攻勢は、諦めずに挑戦し続ける姿勢を表現するのに適しており、ピンチをチャンスに変える対応として捉えられます。スポーツやビジネスシーンにおいて、どのように使われるのかをチェックしましょう。
【例文】
・A社は市場シェアの大部分を失ったが、反転攻勢に向けた準備を着々と進めている
・チームAは後半戦で素晴らしいチームプレーを発揮し、反転攻勢によって劇的な逆転勝利を収めた
・彼は失敗を糧にして反転攻勢に出た
反転攻勢と似た意味を持つ言葉
反転攻勢と類似した意味を持つ表現には、『捲土重来』『起死回生』『巻き返し』などがあります。微妙なニュアンスの違いを理解した上で、正しく使用しましょう。それぞれの意味と使い方を解説します。
■捲土重来
捲土重来は、『けんどちょうらい』または『けんどじゅうらい』と読みます。失敗や挫折を経験した者が再び立ち上がり、勢力を盛り返すことを意味する四字熟語で、中国の詩人・杜牧(とぼく)の『烏江亭に題す』という詩が由来です。
例えば、ビジネスの世界で一度失敗した起業家が、その経験を糧に新たな事業で成功を収めるような状況を表現するのに適しています。『期す』や『果たす』の動詞を伴うことが多く、失敗を乗り越えて再び挑戦する決意を示す際にも使用できます。
【例文】
・彼は受験に失敗したが、捲土重来を期して猛勉強を続け、第一志望に合格した
・捲土重来を果たすため、チームは海外から新たなコーチを招いた
■起死回生
起死回生(きしかいせい)は、窮地や危機的状況を立ち直らせることを意味する四字熟語です。『起死』は死にかけたものを生き返らせる、『回生』は生命を取り戻すという意味があります。
この言葉は、絶望的な状況からの劇的な復活を強調する際に使用され、『起死回生を図る』『起死回生の一手』といった使い方をするのが一般的です。
【例文】
・起死回生を図るには、AI(人工知能)の活用が不可欠だ
・起死回生の一手として、A社は新たなマーケティング戦略を打ち出した
■巻き返し
巻き返しは、反転攻勢と非常に近い意味を持つ言葉です。スポーツや競争の場面で、一度劣勢に立たされた状況から挽回し、優位に立つことを意味します。
巻き返しは、反転攻勢や捲土重来などの四字熟語に比べてより日常的な表現であり、幅広い場面で使えるのが特徴です。単独で用いられるケースは少なく、『巻き返しを図る』や『巻き返しのチャンス』といった使い方をします。
【例文】
・前半戦ではリードを許したが、後半では巻き返しを図り、見事優勝を手にした
・海外企業の撤退は、日本企業にとって巻き返しのチャンスだ
反転攻勢の反対の意味を持つ言葉
反転攻勢の反対の意味を持つ言葉には、『再起不能』や『一蹶不振』が挙げられます。どのようなシーンで使われるのかを例文を挙げて解説します。
■再起不能
再起不能(さいきふのう)とは、肉体的・精神的・社会的にダメージを受け、再び起き上がることができない状態のことです。『再起』には、悪い状態から力を盛り返して、再び活動するという意味があります。
ビジネスシーンにおいては、企業が倒産や破産に追い込まれ、もはや復活の見込みがない状況を再起不能と表現します。
【例文】
・多額の負債を抱えたA社は再起不能と思われたが、事業再生によってどん底から息を吹き返した
・彼はオリンピック候補に選ばれていたが、事故で靱帯を損傷し、医師から再起不能の宣告を受けた
■一蹶不振
一蹶不振(いっけつふしん)は、一度つまずいたら立ち直れないという意味を持つ四字熟語です。『一蹶して振るわず』という慣用句があることも覚えておきましょう。
『蹶』には、つまずく・倒れる・倒すなどの意味があります。『不振』は、成績や業績が振るわないさまを意味し、『食欲不振』や『業績不振』といった使い方をするのが一般的です。
例えば、ある企業が新製品の失敗で大きな損失を被り、再起がかなわないときに、一蹶不振という言葉が用いられます。
【例文】
・彼は、仕事で大きなミスをして一蹶不振に陥った
・あの程度で一蹶不振に陥るとは、実力がなかったとしかいえない
反転攻勢の意味を知り諦めない心を育てよう
反転攻勢とは、不利な状況から一転して攻勢に転じることを意味します。この言葉から、困難な状況に直面しても諦めない前向きさを感じる人も多いのではないでしょうか?
反転攻勢の概念は、ビジネスや人生のさまざまな場面で活用できます。ビジネスパーソンにとっては、挫折や困難を乗り越えるために必要な心構えにもなるはずです。
適切なシーンで正しく使えるように、意味や使い方のポイントをしっかりと押さえておきましょう。
構成/編集部