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導入する企業が増えている思考法「バックキャスト」とは何か?

2024.08.22

「バックキャスト(バックキャスティング)」は、他の表現と意味が混同されやすい言葉の一つ。未来の目標から現在の行動を計画する思考法を指すが、フォアキャストなどの似たような言葉と間違われることがある。

そこで本記事では、バックキャストの意味や特徴、フォアキャストとの違いを紹介する。また、バックキャストがサステナビリティに与える影響や企業におけるフレームワークも解説するので、この機会にぜひ確認してほしい。

バックキャストを簡単に説明すると?

まずは、バックキャストの意味や特徴、フォアキャストとの違いを解説する。

■未来像を描き今すべきことを考える思考法

バックキャストは、はじめに未来の理想像を描き、そこから逆算して現在の行動を決める思考法で、バックキャスティングとも言われる。例えば、20年後に達成したい目標を定め、そのために10年後、5年後にどの段階まで進むべきかを考える。

このような思考法により、現在の状況と未来の目標とのギャップを明確にし、必要な課題を段階的に乗り越えやすくなる。また、現代のビジネス環境は変化が速く、短期的な対処に追われがちだ。しかし、バックキャストのような思考を持つことで長期的視点を持ち、持続的な成長戦略を構築できると考えられる。

■バックキャストのメリット

バックキャストのメリットとして、新たな選択肢の発見、長期的な視点による問題解決、多様な企業間の提携や協業によるリソースの確保が挙げられる。バックキャストに伴って未来の情報を取り入れると、新たな選択肢を発見できるため、普段では気づかない斬新なアイデアが生まれる。

また、問題に対して長期的な視点で解決策を見つけやすくなる。つまり、今は実現不可能に思える目標でも、バックキャストの思考を用いて時間をかけて実行することで具体的なプロセスが描きやすくなる。さらに、バックキャストを実施する際に魅力的な未来像を描くことで多くの人が惹きつけられ、多様なパートナーシップの形成によりリソースが集まることもあるだろう。

■「フォアキャスト(フォアキャスティング)」との違い

バックキャストとフォアキャスト(フォアキャスティング)は対照的な思考法だ。フォアキャストとは、現在の状況や過去のデータに基づいて未来を予測し、計画を立てる手法。

一方、バックキャストは未来の理想像を先に描き、そこから逆算して現在の行動を決定する。このように、フォアキャストが現状の延長線上にある未来に向かうのに対し、バックキャストは現状に囚われず、理想の未来から現在に向かって必要な行動をしていく。

バックキャストがサステナビリティに与える影響

バックキャストの成功例として、SDGs(持続可能な開発目標)が挙げられる。SDGsとは、2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲットを設定し、全世界で持続可能な社会を実現する国際目標だ。現状では達成が困難だと考えられる目標も、バックキャストを用いると未来から逆算して具体的な行動計画を立てられる。

例えば、ノルウェーが2025年までに内燃機関車の販売を禁止する目標を掲げている。そして、実際に2022年には新車販売の79%が電気自動車となった。このことからも、SDGsの達成に近づくには、バックキャストを用いるのが効果的といえる。

企業におけるバックキャストのフレームワーク

最後に、企業におけるバックキャストのフレームワークを紹介する。ビジネスシーンで使えるよう、具体的なプロセスを押さえておこう。

■未来像を明確にする

バックキャストを成功させるためには、まず未来の理想像を具体的に描くことが重要だ。客観的な情報をもとに、他者に説明しても理解できるようにビジョンを設定する必要がある。その際、政府機関や有力シンクタンクが公表する未来予測情報などの信頼度が高い情報を活用するのがおすすめだ。信頼できるデータをもとに、具体的で達成可能な未来像を描こう。描く未来像は、企業のブランドイメージや社員の最終目標、サステナビリティに関する目標など、話題によってさまざまだ。

■現状と課題に焦点を当てて分析する

理想の未来像を描いたら、現状と課題を徹底的に分析しよう。未来の姿と現状の間にある差を埋めるため、課題を明確にしてプランを練る必要がある。

例えば、会社の経営者であれば、人材や資金、スキル、時間など、すべてのリソースを洗い出そう。その後、現在の人員数や専門職の充足状況などを分析し、目標達成に必要な予算や技術レベルを考える。さらに、未来に至るまでの大きな変化のポイントを考慮し、それに対応するための大まかなステップを設定すると行動計画を立てられるだろう。

■仮説をもとにアプローチする

現状と課題の分析をもとに、具体的なアクションプランを設定しよう。どの分野でどの施策を取るべきか、使用すべき設備やシステムは何かなどを具体的に想定し、即行動に移せるようにしておく。

長期的な目標に対してすべきことは多岐にわたるため、重要度や緊急度に応じて優先順位を設定し、それぞれに期限や予算を割り振ろう。さらに、最初の3カ月で成果が出るアクションプランを設定し、優先的に実行するとスムーズに結果が出やすくなる。アクションプランを実行し、成果が見えることで、組織全体のモチベーションが高まり、理想の未来に向けて持続的にアクションできるはずだ。

※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。

文/編集部

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