どんなにフリーランスとして仕事のスキルが高く、仕事をたくさんこなせる人でも、どんぶり勘定で自分がいくら稼いで、いくら使っているのかもわからなければ、お金の不安はなくなりません。お金を管理する力を身に付けるには、まずお金の出入りをしっかり把握することが大切になります。
全国16か所に展開する税理士法人TOTALの神田事務所所長を務める廣岡実さんの著書「お金の管理が苦手なフリーランスのための お金と税金のことが90分でわかる本」から一部を抜粋・編集し、お金の管理能力を上げる考え方や実践すべき4つのポイントをご紹介します。
ビジネスとプライベートのカードを分ける
フリーランスの人で意外と多いのが、ビジネスのお金とプライベートのお金をごちゃ混ぜにしていること。領収書だけをせっせと溜めて、確定申告の時になって徹夜で仕分けしている人がいますが、これではいつになってもお金の管理能力はつきません。原因は預金通帳やクレジットカードをビジネスとプライベートで同じものを使っていることです。
個人で活動しているフリーランスは、クレジットカードと通帳はビジネス用と個人用とを分け、それぞれのお金の出入りはどうなっているかを確認する習慣をつけましょう。ビジネスの支出とプライベートの支出をしっかり分けるだけでも、お金の流れが掴めるようになります。ビジネスの口座から、生活費などプライベートに使うお金を毎月一定額引き出し、その範囲で生活するように意識をすれば生活費の管理もできます。
この場合は、「事業主貸」という勘定項目で処理します。これは、事業主がその事業と関係なく個人に貸し付けました、という意味合いがあります。ビジネス用でも個人用でも、預金通帳を眺めると、「手元にある現金のありか」をしっかり把握できるようになります。
ビジネスというのは、何かピンチになったことがあっても、手元に資金(=お金)があればなんとかなります。ですから、日頃からお金の流れに敏感になってせっせと貯めていくことが大事です。
資料整理能力を高める
ビジネスとプライベートのカードと通帳を分けることと同じく、大事なのが資料の整理です。日々増えていく領収書などをごちゃごちゃにしている人を見かけますが、ビジネスの領収書とプライベートのレシート類はできるだけその日のうちに分け、いらないものは破棄します。領収書をきっちりノートに貼っている人を見かけますが、そこまでする必要はなく、月別の封筒かファイルに分けておけばいいでしょう。経理事務を税理士にお願いしている場合は、分け方は税理士の指示に従いましょう。
取引先に送った見積書、請求書などの資料も別途ファイリングしておきます。これらの資料の整理が苦手な方は多いと思いますが、事業が大きくなればなるほど量が増えて複雑化していきますので、早めにルールを作っておくことが大事です。資料の仕分けが毎日のルーティンになればそれほど労力感はなくなってくるはずです。