「パステル」を注文したら「カルド・ジ・カーナ」(サトウキビのジュース)屋台に走れ
さてここからが本当のツウが「パウミット」を買うお作法なのでご覧あれ。
「パステル」にピッタリの飲み物と言えば「カルド・ジ・カーナ」(サトウキビジュース)を置いて他にない。だが同じ屋台で売られていることはないので、「パステル」が油に投入されたなら即座に「カルド・ジ・カーナ」を買いに走るべし。大抵屋台は並んでいるか向かいにある。
サトウキビをその場で搾る特殊な機械。かなりうるさい。
サトウキビジュースのみの「プーロ」のそのままナチュラルな味も美味しいのだが、レモン入りの「コン・リマォン」は酸味が爽やかで油っぽい料理にはおススメである。搾ったサトウキビジュースを店員は氷の器で冷やしてからペットボトルへと注ぐ。500mlで12レアル(約360円)。何人かで飲む場合は使い捨てコップも頼んでおこう。
いざ実食!「テイクアウト」よりも断然「イートイン」で臨場感を楽しむ
あつあつの「パステルは酸味のある付け合わせとともに提供される。「ビナグレッチ」とよばれ(玉ねぎやトマト、イタリアンパセリを酢と塩、胡椒で味付け)ポルトガル語では酢を意味する。これをパステルの中に入れて食べるのもまた美味しい。タバスコをかけてもまた違った楽しみ方ができる。
あつあつで食べ応えのあるパステルだけで朝食や昼食を済ませる人もいるくらい、一枚でおなかいっぱいになる幸せなB級グルメには朝から長蛇の列ができることもしばしばだ。
揚げたてのパステルと冷えたカルド・ジ・カーナの相性は抜群
さて、このパステルだが市場にある屋台だけではなく、街中に専門店もあり「パステラリア」と呼ばれている。特徴的なのが紅白幕を模した柄。まるで日本の縁日の祭りの出店のようだが、そう、「パステラリア」は大抵日本にルーツを持つ人が経営しているからだ。
紅白幕を模した店先に名前も日系とわかりやすい
もちろんパーティでも人気のパステル、挙式や立食パーティなどで「パステルジーニョ」という半分ほどの小さめサイズになって並ぶこともしばしば。おめでたい場をかざるメニューにふさわしい揚げ物の代表格なのだ。
お祝いの席に並ぶおはぎとパステルジーニョ
数々の困難を乗り切り、新天地で営みを始めた日系移民と共に歩んだ「パステル」。今やブラジルのソウルフードを味わうたびに大いなる尊敬の意を表したい。
世界はうまいで満ちている。
文/マンゲイラ靖子
2012年よりサンパウロ在住。 ブラジルの各地の寺院を渡り歩き、坊守として仏事に携わる。普段はどっぷり日系社会に関わっているがCARNAVAL時期になるとサンバダンサーと化し踊り狂う。より深いブラジル情報を発信できるよう日々模索中。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員