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「金融を核としたスマートライフ事業でさらなる成長を目指す」NTTドコモ・前田新社長が描く未来へのビジョン

2024.08.20

6月にNTTドコモの新たな代表取締役社長CEOへ就任した前田義晃氏は、同社のスマートライフ事業(通信以外の金融・決済、映像・エンタメといった領域)を長年リードしてきた人物だ。2024年6月18日に行なわれた就任会見では、ネットワークの品質改善に全力で取り組むことや、dポイントを軸にサービスを推進していく方針が語られた。前田新社長に、それらの理由とともに、今後におけるサービス展開の考え方を聞いた。

スマートフォン時代に求められる顧客との新しいつながり

――今、キャリア各社とも通信事業のほかに、ポイントや決済といった事業に注力しています。御社でもdポイントを中心としたスマートライフ領域の事業がすごく伸びているそうですが、同領域に注力している背景について教えてください。

「そもそも、なぜdポイントを始めたのか」というところからお話したほうがよいか思いますが、まずそれには2つの課題がありました。

フィーチャーフォンの頃、それこそ「iモード」をやっていた当時は、通信のインフラ、プラットフォーム、端末、利用できるコンテンツを含め、自分たちでコーディネートやマネジメントが全部できていたわけです。ところがスマートフォンの時代になって、お客様とのつながりをどう強めるのかというところのコントロールが、以前のように効かなくなった。となるとほかの方法で、お客さんとつながりを持たなければいけない。これが1つ目の課題です。

また、スマートフォンではPCと同じように、オープンなインターネットが利用できるようになりました。そのうえで勝負するには、当たり前ですが、自社の通信サービスをお使いいただいているお客様だけを見ていればいいということにはならない。それはもう、明らかな負けを意味することになります。そこで、お客様を広げていくことに取り組まなければいけないということが、もう1つの課題としてありました。

こうした課題を打破していくために何が使えるか。それがポイントだったということです。もともとは「ドコモポイント」という名前で、端末購入時の値引きに使ってもらうくらいの話でしたが、これを共通ポイントにして、お客様が加盟店様で買い物をする時にも、お得に使ってもらえるようにする。このような取り組みでお客様との新たな結び付きを持つことができました。

――「ドコモポイント」から「dポイント」への移行には、どのような背景があったのでしょうか。

共通ポイントとしては、最初にローソンさんとやらせていただきました。しかし、ローソンさんとしては、もちろんドコモのお客様だけを相手にしているわけではなく、訪れるお客様に対して、広く提供できるポイントでなければいけません。そうなるとお客様の幅としては、ドコモユーザー以外にも広げていく必要がある。

ポイントが課題を解決し、いろいろなもののベースになっていくことになるだろうと考えて「dポイント」を始めました。

ポイントと親和性が高いのは決済なので「dポイント」は当初から「dカード」とセットで利用していただくことを、かなり意識してサービス展開をしてきました。その後、バーコード決済の「d払い」も出てくるわけですけど。現在「dカード」と「d払い」という決済の分野は「dポイント」とセットで大きく成長してきています。

昨年度でいえば「dカード」と「d払い」を合わせた決済の取扱高は13.1兆円にまでなっています。「iモード」の時に、コンテンツの利用代金を決済代行するということをやっていましたが、確かその時の取扱高がピーク時で3000億円くらいだったと思います。それが今、リアルも含めてこれだけ使われるようになっている。そこには〝隔世の感〟がありますよね。前年比20%弱ぐらいの成長が続いていて、規模感もかなり大きなものになっています。

この規模に至ったのは、お客様だけでなく加盟店が広がったからでもあります。現在では、加盟店となっていただいているパートナーの売上のうち、かなりの割合が「『dポイント』を提示するお客様」という状態が作れてきています。最も大きなところでは80%くらいが「dポイント」のお客様という加盟店もあります。

そのような状況は、パートナーの加盟店各社にとって、お客様の行動や決済をデータとして可視化できるということでもあります。そのデータを活用しながら、マーケティングのマネジメントをしていくことができる。そこに我々が様々なソリューションを提供することで、さらにお客様も増やせるし、売上を高めていくことができます。ひいては、我々の売上もまた上がってくるということになるのです。

今後は親和性が高い決済をベースに「dポイント」の事業をさらに伸ばしていきたいと考えています。この分野の規模感でいえば、楽天の「楽天カード」が20兆円を超えていて、まずはそこに「追いつけ・追い越せ」で頑張っていきたい。またZホールディングスの展開している「PayPay」の陣営は、コード決済とクレジットカードのおおよその合計値が、我々とほぼ同じぐらいのレベル感だと認識しています。成長スピードも同じくらいなので、そこには負けられないと思っています。

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