小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

半導体市場で圧倒的な競争力を持つTSMCの強さの秘密

2024.08.18

競合他社との比較とサプライチェーンの課題

TSMCの競合他社には、Samsung、Intel、GlobalFoundriesなどがあります。これらの企業は、それぞれ異なる戦略でファウンドリ市場に参入しています。Samsungは、自社のメモリビジネスと連携しながら、ファウンドリ事業を展開しており、特に高性能なDRAMやNANDフラッシュメモリの分野で強みを持っています。また、Intelは長年にわたり、IDMモデルを採用してきましたが、最近ではファウンドリ事業への参入を強化しています。Intelは、自社製品に加えて他社向けの製造サービスを提供することで、TSMCに対抗しようとしています。

こうした勢力図の変化によって、次第に協力関係からライバル関係に変化したといえるでしょう。

しかし、これらの競合他社に対して、TSMCは一貫して技術的な優位性を維持し、より多くの顧客を引き寄せています。特にTSMCは製造プロセスの微細化において他社をリードしており、3nmプロセス技術や今後の2nm技術への移行を迅速に進めています。

これにより、TSMCは競争の激しい市場においても、トップの座を守り続けているのです、

また、TSMCはサプライチェーンのリスク管理にも力を入れています。パンデミックや地政学的なリスクがサプライチェーンに与える影響は非常に大きく、TSMCはその対策として、製造拠点の分散化やサプライヤーとの連携強化を進めているのです。

特に米アリゾナ州での新工場建設プロジェクトは、米国市場への供給を安定させるための重要な戦略の一環です。

グローバルな展開と影響

TSMCの影響力は台湾国内にとどまらず、世界中に広がっています。

しかしTSMCの本社がある台湾の地政学的なリスクも無視できません。なぜなら台湾と中国の関係は緊張が続いており、特に中国が台湾を武力で統一する可能性が絶えず議論されています。TSMCにとって、このリスクは非常に大きな課題です。台湾海峡での緊張が高まる中、TSMCは製造能力の一部を海外に分散させることを検討しています。

アリゾナの新工場はその一環であり、TSMCの戦略的なリスク管理といえるでしょう。

また、米中貿易摩擦もTSMCに影響を与えています。

米国政府は、中国への半導体輸出に対して厳しい規制を設けており、これによりTSMCは中国向け輸出規制をせざるを得なくなっています。

しかし、TSMCは中国市場を重要視しており、今後の戦略としては、米国の規制に適応しつつ、中国市場でのプレゼンスを維持するための努力を続けると見られています。

さらに、ヨーロッパや日本市場にもTSMCは積極的に進出しています。ドイツや日本における製造拠点の拡充計画は、欧州連合(EU)や日本政府との協力を強化し、これらの市場での競争力を高めることを目指しています。このように、TSMCはグローバルな展開を加速させ、各地域におけるサプライチェーンの安定化を図っています。

今後の展望と課題

TSMCの将来は、技術革新とともにさらなる成長が期待されています。特に、2nmプロセス技術や量子コンピューティング、AI技術への対応は、今後の同社の成長を支える重要な要素です。これらの技術は、次世代のコンピューティング環境を支える基盤となり、TSMCはその中心的な役割を果たすことが期待されています。

量子コンピューティングが実装されればは、現在のコンピュータの能力を飛躍的に向上させる可ことになり、TSMCはこの分野でもリーダーシップを発揮しようとしています。

おわりに TSMCの持続可能な競争力

TSMCは、半導体市場で圧倒的な競争力を持つ企業として、その地位を築いてきました。

先進的な技術力とグローバルな展開により、今後も市場をリードし続けることが期待されています。しかし、技術革新と社会的責任の両立が求められる現代において、TSMCがどのようにして持続可能な成長を実現するかが、今後の鍵となるでしょう。

また量子コンピューターの分野は日本企業にとってもチャンスがあるといわれる分野であり、個人的にはTSMCと日本の半導体企業が協業しながらグローバル展開する未来を期待しています。

今回はグローバル企業深掘りシリーズとして「TSMC」について解説させていただきました。

文/鈴木林太郎

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2024年11月15日(金) 発売

DIME最新号は「2024年ヒットの新法則!」、永尾柚乃、小田凱人、こっちのけんと他豪華インタビュー満載!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。