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日立とNTTブロードバンドプラットフォームがAIで介護施設入居者の感情変化の予兆を検知する実証実験を展開

2024.08.11

入居者のシーンごとの感情と、その感情の要因を分析

エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム(以下NTTBP)と日立製作所(以下日立)は、介護施設入居者(以下入居者)の感情変化における予兆の検知によるサービス向上・業務効率化を目的に、AI(※1)を活用した実証実験(以下本実証)を、テルウェル東日本が受託運営する介護施設で実施した。

本実証では、入居者の映像・音声データより感情の種類を分類して、介護記録やアンケートの結果などと組み合わせることで、入居者のシーンごとの感情と、その感情の要因分析を行なった。

本実証により、感情分析の結果は対象者の感情と約75%の精度で一致、その有用性を確認できたことから、今後NTTBPと日立は2024年度中のサービスの事業化を推進していくという。
※1 日立の感性分析サービス として用いているAIエンジン

画像はイメージです

 

■本実証の背景について

日本では少子高齢化の進展に伴い、要介護(要支援)の認定者数が増加傾向にある。そこで急増する介護ニーズへの対応が求められているが、介護業界においては、生産年齢人口の減少により、慢性的な人手不足が課題となっている。

また、介護現場では要介護者の感情を正しく理解できないことにより、適切なサポートやコミュニケーションができず要介護者に不快感やストレスを与え、安心安全の確保への支障や介護スタッフの負担を高めるケースがある。

そのため、要介護者の感情や状況に応じた適切なケアを提供し、入居者の安心安全の確保と介護サービスの品質維持・向上とともに、介護現場で働くスタッフの負担軽減・効率化が急務となっているのだ。

本実証の内容

これらの課題解決に向け、NTTBPと日立は、入居者の感情変化における予兆を検知し、入居者の安心安全の確保のため適切なケアの提案などを行うサービスの事業化をめざしている。

そのため、テルウェル東日本が受託運営する介護施設にて、AIと入居者の表情、動作、音声などのデータ、介護記録を組み合わせて入居者の感情変化の予兆を検知する実証実験を行なった。具体的な検証方法は以下のとおり。

■1:感情の観察

介護施設特有の環境を考慮し、以下のシーンにおける入居者の様子を6日間カメラで撮影した。
(1)スタッフと入居者が1対1でコミュニケーションを行ない、また、衣服の手入れや薬の管理など入居者の個別のニーズに合わせたサポートが必要となる居室の様子
(2)居者同士が集まり、会話や交流を行なう食堂での食事の様子や、健康運動を行なう様子

■2:感情の分析

AIを活用し、撮影したデータの映像と音声から入居者の感情を分析。各シーンにおいて入居者が7種類(怒り、悲嘆、恐れ、平静、嫌悪、幸福、驚き)の感情のうち、最も割合の大きかったものに分類した。

■3:要因の分析

入居者のプロファイリング情報、スタッフが記入する介護記録、および入居者の感情に関するアンケート(※2)結果を撮影データの分析結果と組み合わせることで、どのようなシーンでどのような感情になるかを把握。不快感やネガティブな感情変化を示す要因を分析した。
※2 アンケートはスタッフが入居者にヒアリングしながら各シーンにおける感情を7種類(怒り、悲嘆、恐れ、平静、嫌悪、幸福、驚き)に適切に分類し記録。

本実証の結果と今後の展望

本実証により、AIを活用して分析した入居者の各シーンにおける感情の分類が、実際に対象者が感じた感情の分類と約75%(※3)の精度で一致しており、入居者の感情変化の予兆を捉えるためにAIの活用が有用であることが確認できた。
※3  AIで分類した感情とアンケートで回答を得た感情が一致した割合

そんな今回の本実証の結果を踏まえてNTTBPと日立は、AIを活用し入居者の感情変化の予兆を検知するサービスの2024年度中の事業化を推進していく。

具体的には、入居者の機嫌を損なう可能性のあるワードやケアを予めスタッフが把握することで、入居者の急激な感情変化を防ぎ、入居者の安心安全の確保、ケアの質の向上、スタッフの負担軽減を支援するサービスをめざすという。

さらに同社絵は「よりお客さまに活用いただきやすい環境の整備に向け、介護事業者などとの提携を拡大していきます。そして、介護現場における課題解決を通じて、人々の生活の質の向上やウェルビーイングな社会の創造に貢献していきます」とコメントしている。

関連情報
https://www.hitachi.co.jp/
https://www.hitachi.co.jp/products/it/appsvdiv/service/sentiment-analysis/

構成/清水眞希

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