裁判所のジャッジ
裁判所
「解雇OK!出勤停止処分もOK」
理由を解説します。
解雇OKの理由
裁判所は2つの理由をあげて解雇OKと判断しました。
■ 解雇理由1(能力不足)
SEとして2年程度の経験に応じた職務能力を有していることを前提に採用されたにも関わらず、その能力がありませんでした。
Xさんは、職務経歴書に「平成30年4月から令和3年3月まで社内SEとして勤務し、平成30年6月から開発経験がある」と記載し、面接時にもその旨説明していたのですが……
どっこい!
フタを開けてみると、仕事ができねーんです。
・数年のSE経験があれば難しくない電卓アプリの作成ができず(入社後のある一定期間)
・作成途中の基本的な英単語の誤りが多い
・英語の「2」や簡単な英単語をインターネットで検索
・一定の経験があれば時間をかけずに作成できるお問い合わせアプリの作成に「5日かかります」と述べるありさま。
■ 解雇理由2(事実に反する説明)
会社はXさんが現にSEとして働いていたことを重視していました。しかし、Xさんは自己の経歴について故意に事実に反する説明をしました。
Xさんが提出した職務経歴書には「令和2年12月~令和3年3月20日まで業務を担当していた」旨記載されていたのですが、実際は、12月4日~翌年3月までは精神疾患により休職していたんです。
裁判所は上記2つの事実を認定し、「これらの解雇理由は、会社がXさんを採用した時に認識していたXさんの資質・能力などが適格性を有しなかったことを内容とするものであるから、本件解雇には、客観的に合理的な理由が存し、本件解雇は社会通念上相当である」と判断しました。
出勤停止処分もOK
そして、無断欠勤を理由とした出勤停止処分もOKとなりました。Xさんは「7月のシフトに関して文書での通知がなかった」旨反論したが、裁判所は「6月中にXさんに対して指定休日を告げていたから、文書で通知されていなくてもXさんは労働提供義務を免れない」と判断しました。
さいごに
日本では解雇がOKとなるには非常にハードルが高いんですが、今回のように明らかに能力不足である場合には認められることがあります。
【試用期間中の解雇】についての基礎知識については、コチラもご覧ください。
今回は以上です。「こんな解説してほしいな~」があれば下記URLからポストしてください。また次の記事でお会いしましょう!
取材・文/林 孝匡(弁護士)
【ムズイ法律を、おもしろく】がモットー。法律コンテンツを作ることが専門の弁護士。
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