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【ヒット商品開発秘話】販売数300万ケースを突破!キリンビール「晴れ風」がヒットした3つの理由

2024.08.11

商品にプラスαの価値をもたらす「晴れ風ACTION」

 発売と同時に始めた「晴れ風ACTION」は、ビールを飲む喜びを広げてくれた日本の風物詩を守り、そこに集まる人たちの笑顔を未来につなげるため、売上の一部を使って継承の危機にある地域の桜や花火などに恩返しをするものである。

 1缶につき一定額(350ml:0.5円/500ml:0.8円)が自動的に寄付されるほか、缶に印刷されたQRコードを読み取って専用サイトにアクセスすると1日1回0.5円分の晴れ風コインが自動的に付与され、応援したい自治体に寄付できるようになっている。発売日の4月2日からは第1弾として日本全国の桜をテーマにした活動をスタート。7月15日からは第2弾として日本全国の花火大会をテーマにした活動を開始している。目標金額はともに4000万円とした。

自治体ごとの寄付金額(イメージ)

「晴れ風ACTION」は一時的な活動ではなく継続的な活動としていく。しかし、なぜ始めることにしたのか? その理由を向井さんは次のように話す。

「新しい定番ビールを目指しお客様の嗜好に合ったおいしい中味をつくるのはもちろんですが、一方で『味の追求だけでいいのか?』という想いもありました。プラスαの新しい価値を届けることができないかを議論している時に出てきたアイデアの1つが、売上の一部を日本の風物詩に寄付することです。ほかにもアイデアは出てきたのですが、お客様調査の結果などから日本の風物詩は皆さんに身近で共感も大きかったことから、現在の『晴れ風ACTION』に取り組むことにしました」

 晴れ風コインを寄付できる自治体は同社が47都道府県から1か所ずつ公募審査により選出した市区町村になる(能登半島地震で被害の大きかった石川県は除く)。

第1弾の桜と第2弾の花火大会で選出された自治体例(東京都)

 第1弾の目標は予想よりもはるかに早い5月下旬に達成。第2弾の花火が始まる7月15日頃までに達成しうまくバトンタッチできればと考えていたが、楽しみながら寄付活動に取り組んでいる人たちに引き続き楽しんでもらうために急きょ、晴れ風コインによる自治体への直接の寄付は目標金額達成後も継続することにした。

2024年8月1日時点で集まった花火大会への寄付金額。開始2週間足らずで目標金額の66%に相当する寄付金が集まっている

 第2弾終了後のスケジュールは未定。現在検討中だが、秋冬の風物詩を対象にした寄付活動をする予定はないという。

取材からわかった『キリンビール 晴れ風』のヒット要因3

1.ビールを飲む人/飲まない人の双方が満足

 飲みごたえと飲みやすさの両立を目指し中味を開発。相反する要素を絶妙なバランスで両立させ、普段からビールを飲む人が満足できるだけはなくビールが苦手で普段飲まない人も「これなら飲める」と思えた。

2.時間をかけて興味を喚起

 発売2週間前から広告宣伝を開始。商品名を伏せたまま新しいビールが発売されることの告知から始まり、少しずつ情報を開示していった。時間をかけて新たなビールが登場することを周知したことで、発売が待ち遠しい状態をつくることができた。

3.購入を意義あることにした

 発売と同時に始めた「晴れ風ACTION」が商品を知ってもらうことに一役買った。日本の風物詩を保全するために売上の一部を寄付することは社会的意義が高く、購入を意義あることにした。

 商品コンセプトについて同社は「受け入れられている」と判断。テレビCMでは飲みごたえと飲みやすさの両立とは言っていないものの、ユーザーの反応を見るとこの点に言及したものが多いことがその理由だ。

 店頭では『一番搾り』や『ラガービール』だけではなく、他社のスタンダードビールも数多く並んでいる。定番ビールの仲間入りができるかどうかは、好調な現在の売れ行きを維持できるかどうかにかかっている。

ブランドサイト

文/大沢裕司

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