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【ヒット商品開発秘話】累計20万個出荷の大ヒット!長時間冷たさが持続するピーコック魔法瓶の氷のう「アイスパック」シリーズ

2024.08.10

量より質のインフルエンサーマーケティング

 販促はとくに目立ったことはせず、主にイベントでのサンプリングやインフルエンサーマーケティングに取り組んできた。

 インフルエンサーマーケティングでは量より質を重視。サンプルを渡すインフルエンサーを厳選した。サンプルを渡したインフルエンサーは20名程度だという。

「アイスパック」を発売した頃は、ゴルフ系インフルエンサーにサンプルを渡した。「ミニアイスパック」も当初はゴルフ系インフルエンサーにサンプルを渡す予定だったが、ユーザーの声を細かく見ていくとスポーツ時に利用するために購入した人よりも子どもに使わせるために購入した主婦層の熱量が高いことに気がついた。そこで、ママ系インフルエンサーにサンプルを渡すことにし、宣伝で使うキービジュアルなども子どもに変えた。

 サンプルを渡すインフルエンサーは、子どもを持つ親に働きかけられそうな人を同社が選定している。エンゲージメント(フォロワー数に対してどれだけ反応がもらえているか)や類似案件での投稿内容、フォロワーの質に注目する一方で、「この人なら伝えてほしいことを伝えてくれそうだ」といった直感も加味して選んでいる。

 フォロワーの質とは何か? 河村さんは例を挙げながらこう説明する。

「女性のインフルエンサーだとフォロワーのほとんどが男性ということもあります。フォロワー10万人のうち9万人が男性の女性インフルエンサーと、5000人のフォロワーのほとんどが女性の女性フォロワーがいたら、後者を選びます。フォロワー数は重視していません」

 サンプリングしたインフルエンサーの投稿の中にはバズったものあり、これがきっかけで「ミニアイスパック」がテレビで紹介されたこともあった。

一時は日本から在庫が消えたことも

 こうした一方で、営業のやり方は従来からなかなか変わらなかった。以前の状況を東部営業本部 部長兼東京支店長の酒谷亮寛さんは次のように話す。

「水筒売場に置いてあるだけだとか、熱中症対策コーナーに置いてもらえることになってもポツンと置いているだけでしたので手に取ってもらえませんでした」

左から河村薫さん、木村剛治さん、酒谷亮寛さん

 ブランド名は認知されておらず、「氷のう」と言っても若い世代には伝わらない。そこで「熱中症」など関心の高い言葉で検索されるように打ち出し方を見直したところ、2024年になりAmazonを皮切りにECサイトで収拾がつかないほどブレイク。その勢いが店頭にも波及しどこでも売り切れ状態になった。

 店頭施策としては2024年から専用什器を用意して家電量販店などで売場をつくることにした。「什器を用意して売場をつくるようにしたことで、この商品は何かということが店頭でも認知されて売れるようになってきました」と酒谷さんは話す。

 一時は日本から商品在庫が消えかけ、SNSではどこで売っている、どこで見つけたといったコミュニケーションが自然発生したほど。インフルエンサーの間では、「ミニアイスパック」を探すのが一種のブームになった。

 2023年までの『アイスパック』シリーズの出荷実績はシリーズ累計10万本。2024年はすでに現段階で過去の実績分を出荷している。

取材からわかった『アイスパック』シリーズのヒット要因3

1.求められるべくして求められた

 古くからある氷のうと魔法瓶の技術を組み合わせてつくったものだが、他の暑さ対策グッズと比べて冷たさを長時間キープでき性能面での優位性が高い。熱中症が社会問題化している昨今、この優位性は求められるべくして求められた。

2.インフルエンサーマーケティングがハマった

 見た目は水筒だが実は氷のうなど誰かについ教えたくなるポイントがある。SNSでクチコミが拡散しやすく、インフルエンサーマーケティングが効果を発揮しやすかった。

3.営業施策とマーケティング施策が噛み合った

 マーケティングではインフルエンサーマーケティングなどにトライする中、売り方は変わらなかった。2024年に入ってから売り方を改め、熱中症対策を打ち出したり店頭用の什器を用意したりするなどしたところ、売れ行きが大きく伸びた。営業施策とマーケティング施策が噛み合った結果と言ってもいい。

 先に発売された「アイスパック」よりも後に発売された「ミニアイスパック」のほうが、汎用性が高く売れている。ECサイトや店頭では売り切れているところが多く、欲しくてもなかなか手に入らない状態が続いたが、8月以降は在庫が復活する予定だ。

 暑さは年々長引く傾向にある。10月頃まで暑いだろうという見立てから現在、追加生産をかけているところで、9月までは拡販に注力していきたいとしている。

ブランドサイト

文/大沢裕司

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