「○○について調べておいて」。上司にそう言われた場合、あなたならどう動くだろうか。正確な情報を素早く入手したり、新企画につながる情報をキャッチしたりするには何をすべきか。情報の海から最速で必要なものを見つけ出す方法を賢者が明かす!
情報収集で重要なのは事前準備
コンサルタントとしてクライアント向け資料を作成するため、様々な情報を収集する坂口さん。さらに、テレビやラジオ出演、月に数十本の原稿執筆でも多くの情報を集めている。この作業を繰り返す彼は、情報収集の名人と言える。そこで、限られた時間で素早く情報を集め、アウトプットする鉄則を聞いた。詳細は後述するが、特に大切なのは事前準備だと指摘。情報収集は4段階に分けられ、事前準備にあたる1、2段階が要となる。
「依頼内容に疑問を持つのが最初です。次に問題の所在を明確にします。多くの人はどちらもせずにすぐ情報を集め始めるため、徒労に終わってしまう。いち早く成果を出すには、とっかかりを間違えないことが大事なんです」
また、ChatGPTなど便利なツールがあるからこそ、人から聞くリアルな情報の価値が高まると坂口さんは言う。
「ミドル層のビジネスパーソンの強みは人脈や経験です。現場に足を運び、生の情報を得てほしいですね」
未来調達研究所株式会社
取締役
坂口孝則さん
調達・購買コンサルタント。電機メーカーと自動車メーカーで資材、調達・購買、原価企画を担当後、独立。製造業を中心にコンサルティングを行ない、コスト削減や仕入れの専門家としてメディアでも活躍。著書多数。
多くの人が実践できていない情報収集の4つの真実
【1】知られていない情報こそが真の価値
多くの人が知らない情報が付加価値を生む。入手するハードルは高そうだが、あまり知られていないサイトを頼れば簡単だ。「例えば『ウレコン』。購買ビッグデータをもとに、どんな商品が市場で売れているのか、最新トレンドが瞬時にわかります」(以下、坂口さん)
IR
上場企業はHPで投資家向けにIRページを設け、経営や財務状況、事業計画などを発信している。各企業の情報はここに集約されている。
時系列統計データ 検索サイト
http://www.stat-search.boj.or.jp
金利や物価など日本銀行公表の約20万の統計データを検索、ダウンロード、グラフ表示できる。
ウレコン
http://urecon.jp/
スーパー、ドラックストアなどの延べ6000万人の消費者購買情報を統計化。市場調査に使える。
CIA THE WORLD FACTBOOK
http://www.cia.gov/the-world-factbook/
世界260以上の国と地域の歴史、地理、経済、軍事、環境などの情報を米CIAが提供する。
【2】広く浅く?それとも狭く深く?
情報集めは「広く浅く」と「狭く深く」の両面が必要だ。これは海の浅い部分にいる魚と深海にいる魚の種類が異なるようなもので、両方を知ることで理解が深まる。「広く物事に精通していると商談などで相手の心をつかみやすいですが、浅い情報だけでは商談も資料も説得力がなく、うまくいきません」
【3】事前準備が情報収集の9割を決める
坂口さんは情報収集を4段階に分け、「STEP1、2」の重要性を説く。「例えば、自社製品の売り上げ不振を理由に、『競合の販売状況を調べておいて』と依頼されたとします。そこで『売り上げ不振は競合のせいなのか?』『問題は自社製品にあるはずだ』など考察できるか否かで情報収集のあり方は大きく変わる。上からの指示を鵜呑みにしないことです」
「考察なしに言われるがままリサーチする人が大半。依頼者とその部分を明確にすれば、何の情報を集めるべきかが見えてきます」
【4】生の声から得る情報が最大の財産
AIなど情報収集ツールが進展し、広く普及すればするほど、人から聞く生の情報の価値は高まっていくと予想される。「ツールで作業の効率化を図り、捻出した時間を使って人に会いに行って話を聞くのが、AI時代の情報収集の正攻法なのかもしれません」
【POINT】AIで効率化し、得た時間で人から話を聞くことが重要
取材・文/百瀬康司 イラスト/伊藤健介
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