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電通がコピーライターの思考プロセスを学習したAI広告コピー生成ツール「AICO2」を開発

2024.08.08

電通は電通デジタルと、電通のコピーライターが長年培ってきた思考プロセスを人工知能(AI)に学習させた広告コピー生成ツール「AICO2(アイコ ツー/AI Copy Writer 2)」を開発した。

コピーライターの知見を集約したAIと、人間のコピーライターが良きパートナーとなることで、属人的ではない多様な表現が可能となり、広告コピーの品質向上につなげていくという。また「AICO2」は、独自技術として特許を出願中だ。

「AICO2」誕生の背景

ChatGPTに代表される生成AIの登場によってさまざまな体験が可能になり、広告コミュニケーション領域においても生成AIは欠かせない技術になりつつある。

国内電通グループでは、初代「AICO」の開発をはじめ、2015年から広告制作における生成AI活用について研究開発を続けてきた。

電通のコピーライターが考案したコピー約1万作品を学習した初代の「AICO」は、人間のコピーライターに多くの発想をもたらしてくれる一方で、利用を繰り返すと過去のコピーと類似したものを出力したり、テーマとかけ離れたコピーを生み出したりする傾向があるなど、表現力に限界があったという。

一方、近年では、ChatGPTに代表されるような、膨大なテキストデータを学習したLarge Language Model(大規模言語モデル、LLM)を活用したコピー生成も一般的に行われるようになってきた。

しかし、時代を動かしたり、商品の魅力を発見したりする名作コピーや心に響くコピーを生み出すには、LLMをそのまま利用するのではなく、コピーライターの知恵や経験による、LLMのさらなる進化が必要だと同社は考えていた。

■「AICO2」の概要

「AICO2」には、電通のコピーライターが培ってきた、心の琴線に触れるコピーを生み出すための思考プロセスや推論能力を高めるべくFine-TuningしたGPT-3.5 Turboモデルが実装されている。

コピーライターが考えたコピーだけではなく、コピーライターの意図や思考プロセスも学習させた。これを同社では「創造的思考モデル」と呼び、さまざまなAIソリューションに導入して検証を行なっている。

「AICO2」に、キャッチコピーとして「伝えたいこと」や「商品名」「解決したい課題」などを入力すると、「伝えるべきこと」と「表現方法」が理由とともに表示。

認知・共感を目的としたブランディング領域のキャッチコピーを高い品質で瞬時に生成できるだけではなく、より心を動かすコピーの生成が可能になる。

■「AICO2」が実際に生成したコピー例

また「AICO2」は、「AICO2」が作成したコピーを自動で採点し、一定の基準に達したもののみ出力する機能も実装している。

単に数多くのコピーを生成するだけではなく、質の高いコピー案から人間のコピーライターがさらに高い次元の発想作業に取りかかる手助けをしてくれる。

国内電通グループでは、今回の発表に際して「『AICO2』をクリエイティブ人財の良きパートナーとしてともに高め合う存在と位置づけ、顧客のブランディング領域における高品質な広告制作を支援していきます」とコメントしている。

参考資料 東京大学AIセンターとの共同評価実験

国内電通グループは東京大学次世代知能科学研究センター(AIセンター)とともに、「AICO2」の性能評価を実施。プロのコピーライターを対象に、コピーライティングという創造的タスクにおけるGPT-3.5 Turboモデル(Supervised Fine-Tuning)利用の有効性と「心を動かすコピー」の評価手法の確立までを検証した。

【A】GPT-4モデルと、【B】コピーライターの思考によりFine-TuningしたGPT-3.5 Turboモデルの2種類を使用して、コピーライターがコピーを作成し、評価を実施。

【グラフ1】「AICO2」の性能評価に関する実験結果

その結果、条件付きではあるが、Fine-Tuningされていない【A】を使用した場合、コピーライターのみでコピーを作成するよりもコピーの品質は低下し、【B】を使うと品質が向上する傾向が見られた。コピーライターの思考をAIに教え込むことでコピーの評価が左右される可能性が示された【グラフ1参照】。

関連情報
https://www.dentsu.co.jp/

構成/清水眞希

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