顧客からの暴言や不当な要求など「カスタマーハラスメント(以後、カスハラ)」と呼ばれる迷惑行為が増え、近年社会問題となっている。
厚生労働省は2022年に「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」やリーフレット、周知・啓発ポスターを作成し(※1)、不動産業界においても国土交通省が2023年にマンション標準管理委託契約書を改訂し、カスハラ対応の規定等を追加した(※2)。
しかしながら契約・取引内容の複雑さや取引価格の大きさ、情報の非対称性などを背景に、カスハラは不動産取引においても依然として多く発生していると言われている。
※1:厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」等を作成しました
※2:国土交通省「マンション標準管理委託契約書を改訂しました」
そこで「LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)」は、不動産業務従事者370名を対象にアンケートを実施し、不動産業務におけるカスハラ被害の実態およびカスハラに対する会社の対策について調査した。
直近の3年間でカスハラを経験したのは3人に1人。性年代別では30代以下の男性の被害が多い
週1日以上接客業務に携わっている不動産従事者に対し、直近3年間でのカスハラ被害経験を聞いたところ、「自身で受けたことがある」と回答したのは34.2%であった。
パーソル総合研究所「カスタマーハラスメントに関する定量調査」におけるサービス職の直近3年間のカスハラ被害の経験率は20.8%となっており、不動産従事者にとってカスハラはより身近な問題であることがうかがえる。
カスハラ被害経験を性年代別で分けると、「自身で受けたことがある」と回答した割合が最も高かったのは30代以下の男性(40.4%)、続いて40代の男性(37.0%)となり、全年代において女性よりも男性の被害割合が高くなっていた。
一方で、「女性営業マンに対して強い口調で要求を通そうとすることがあった」「とにかく暴言が酷いお客様がいた。女性相手だととくに酷い。」「女性に対して理不尽な要求・高圧的な態度のお客様がいらっしゃいます。」など女性にのみカスハラをする人や女性に対してカスハラの度合いがひどくなる人がいることがうかがえるコメントも散見される。