キャリアのアドバイスをもらえる機会が少ない日本でキャリア自律できている人の状況は?
「勤務先の上司(※)は、仕事やキャリアのアドバイスをしてくれますか」と聞いたところ、日本では、「仕事がうまくいくよう助言や支援をしてくれる」の割合がアメリカよりも高かったが、それ以外の項目ではアメリカの方が高い結果に。
日本のミドルでは、「仕事やキャリアのアドバイスはもらわない」の割合が29.3%となり、日本の20歳~39歳と比べても高い結果となった。職場の上司や人事から仕事やキャリアについてのアドバイスをもらう機会を意識的に増やす必要があるかもしれない。
※「勤務先の上司」について英語では「Superiors at work」 として質問
キャリア自律ができている人とできていない人で、働くことに関してどのような差が生まれるのかを分析。
ミドルのキャリア自律できている人では、「現在までの自身の職業キャリアに満足している」割合は61.0%に上り、20歳~39歳や、同じミドルでキャリア自律できていない人よりも高い結果となった。
その他、「会社では自分のスキルと才能が尊重され、生かされている」「環境変化が起きても、これからの人生やキャリアを前向きに切り開いていける」も高い結果となっている。
また、キャリア自律できているかどうかと、キャリアに関する満足度等の設問の回答傾向についても分析したところ、総じて、キャリア自律できている人が、仕事やキャリアにとどまらず人間関係などについて前向きな傾向であることがわかった。
調査概要
調査対象:フルタイム勤務者で直近に転職を経験している者
週労働時間:35時間以上 これまでに勤めた企業数:2社以上 現在の会社の勤務年数:2年未満
有効回答者数:アメリカ1248 、日本1248
調査期間:
アメリカ 2023年 10月 20日~11月 2日
日本 2023年 10月 10日~10月 25日
■解説:HRエージェントDivision Vice President 近藤 裕
『リクルートエージェント』では、転職やキャリアについてのご相談を日々多くの方からいただきます。
「漠然と、定年まで処遇がどう変わるのか、定年後も働き続けるかも決めておらず不安がある。でも、人事や上司にはちょっと相談しづらい」「役職定年が近くなり、今のうちに次にどんな選択肢があるか見ておきたい」「今まで頑張って働いてきたが、このままこの仕事をし続けるか漠然と悩んでいる。ただ自社で培った経験は他社では生かせないのではと思ってしまい、どうしたらいいか分からない」など、ミドル世代の方々からはさまざまな声が寄せられます。
キャリアアドバイザーが今までの仕事についてお伺いしていくと、自分では気づかないうちに培われてきたスキルが見えてくることがたくさんあります。
自社でしか通用しないと思っていたスキルが異業界で求められていることを知り、自信を持ってキャリアの選択をされたり、本当にやりたいことの言語化ができ、現職で新たなチャレンジをされたりするケースもあります。
人生100年時代といわれ、定年の延長などの動きもある今、ミドル世代が社会人になった頃とは大きく状況が変わっており、不安が大きくなるのも当然です。
これまで、ミドル世代の方の転職やキャリア選択のご支援をしてきた中で、転職するしないに関わらず、キャリアについてできるだけ早い段階で考えている方のほうが、キャリアの選択肢が広がる傾向にあると感じていました。
今回の調査では、ミドル世代のキャリアに関する取り組みや考える機会などがこれまでにあったかどうかなどを、アメリカの状況と比較分析しました。キャリア自律ができている方ほど、その後のキャリアの満足度が高いという傾向が分かりました。
現在、日本の労働市場が変化し、35歳転職限界説といった言説も古くなり40代・50代の転職も増加しています。一方で、特にミドル世代では、今までキャリアについて考える機会がなかった人が多いことも分かりました。
労働市場におけるミドル世代の重要性がますます高くなっていく中で、企業にもキャリア支援の取り組みが求められ、働く個人もキャリアを主体的に考えていく必要性が高まっています。
少しでも不安やもやもやすることがあれば、自分で考えることはもちろん第一歩ですが、家族や友人、同僚など、第三者に相談をしてみると、思いも寄らない選択肢や機会が見えてくるかもしれません。
関連情報
https://www.recruit.co.jp/
構成/Ara