ADKマーケティング・ソリューションズ(以下「ADK MS」)は、マクロな未来視点から、中長期的なトレンドを予測した「2030年未来予測レポート」を作成して公開した。
これはシナリオプランニング(※1)という手法を用いて、官公庁の白書等の公的データをもとに、2030年頃に想定される未来を予測したもので、本稿では同社リリースを元に、その概要をお伝えする。
※1 環境変化を正しく把握して、それを起点に「原因」と「結果」で考えを広げ、複数の「未来の仮説」に結び付ける方法
マクロ環境情報分析〜社会に影響を与える重要な要素を8つの分野で抽出
マクロ環境情報の分析では、世の中に影響を与える重要な要素を8つのカテゴリーで抽出。それぞれのカテゴリーごとに抽出した公的データに基づくファクトから未来に起こりうる変化を分析した。
8つのカテゴリーのうち代表的な3つを紹介する。
■人口
少子高齢化が進む日本では、国内の人口減少と労働人口の減少が深刻化している。この状況を踏まえて、AIなどのテクノロジーの活用や、働き方の多様化はますます進んでいくと考えられる。そうしたテクノロジーや労働モデルの多様化の先には、生産と消費システムの大転換が求められる社会が訪れると予測する。
■経済
長期的な経済停滞は、若者の日本経済に対する期待感を削ぎ、日本企業の国際市場での評価を低下させる可能性がある。さらに、投資制度の改革が進むことで、独立意識が高まり、組織や既存の労働モデルにとらわれず、自身の志向に合った生き方を選ぶ人が増えると考えられる。
■技術
技術革新により、自動運転やマイクロモビリティなどの新しい移動手段が浸透して、医療や農業など多くの分野では遠隔技術が普及。これにより、人々は身体的な制約や物理的な距離にとらわれることなく、自由に生活できるようになっている。さらに、遠隔技術とAI市場の成長が進むことで、環境や住む場所に関する制約も取り払われ、より自由な社会が実現する可能性が高まる。
未来インサイト〜複数のファクトが組み合わさることで現れる新たな価値観
未来インサイトとは、マクロ環境情報分析で得られた複数のファクトが組み合わさることで現れる新たな価値観や消費インサイトを意味する。そして、そのインサイトに基づき、未来のビジネスチャンスとなりうる具体的なビジネスアイデアも含まれている。
以下に未来インサイトの具体例を示す。
■働き方の自由化・多様化による新しい労働市場「ていねんレス・キャリア」
「ていねん(定年退職・低年齢・諦念)」の3つの意味を含み、それがレス(無い)なキャリアが登場・定着するという予測。今後、ますます労働人口減少が深刻化する日本では、労働力確保を求める企業がAIや遠隔技術などのテクノロジー導入と採用条件の緩和を進行しており、それに伴い労働者にとって働き方の選択肢がより自由化・多様化していくことが見込まれる。
■未来の主役!経済力・消費力・労働力を兼ね備えたDIONKsとは
将来、 “DINKs”の進化版である「DIONKs(Double Income and Outcome No Kids)」が台頭。長期にわたる少子化の影響で、日本では1世帯当たりの人数が減少し、これが経済的な不安を引き起こしているが、今後の日本社会では、2人のDIONKs世帯が持つ経済力・消費力・労働力の重要性が増していくと予測。
関連情報
https://www.adkms.jp
構成/清水眞希