●NTTデータ
株式会社NTTデータは、興味深いテクノロジーを複数展示していた。
未来のウェルビーイングを実現する先進技術を体感し、その場で新規ビジネスを創出できる共創施設「ヘルスケア共創ラボ」は、持続的で健康に暮らせる社会(ヘルスケアエコシステム)の実現を目指している。このラボで生まれたテクノロジーのうち、バーチャル牧場でソフトクリームが食べられる展示が紹介された。
来場者はVRゴーグルをつけてバーチャル牧場観光を疑似体験できる。バーチャルな牛を背景に、ジャージー牛乳から作られたリアルソフトクリームを堪能可能だ。高齢者施設や医療機関などに展開されることが期待されている。
また別の展示で面白いと感じたのは、AIを利用して来場者に個別のキャッチコピーを生成する「ニックネーム生成AI」だ。大規模言語モデル「tsuzumi」により、利用者の性格など個性を可視化し、ニックネームや似顔絵を生成することができる。来場者は展示ブースに設置された端末に自分の基本情報を話すと、表情や声、内容を読み取り、AIがその人の特徴を捉え、瞬時にユニークなキャッチコピーを生成して画面に表示する。
テクノロジーが複数紹介され、技術としても面白かったが、これらが実際にどんな施設やシーンに取り入れられるかによって可能性が変わってくる点も面白いと感じた。
海外企業も展開~効率化とサステナビリティを追求
海外企業も多数出展していた。
例えばシンガポールを本社に持ち、日本支社を東京・渋谷区に持つData Dotは、環境に配慮したインクを使用したQRコード技術を開発している。
有害な化学物質を使用せず、自然に優しい成分を採用しながら、高い耐久性があるという。また製造プロセスにおいても環境配慮がされている。日本でもエコインクを使用したQRコードが採用されているとのことで、今後の普及に期待したい。
またノルウェーに本社を構える、塗料メーカーJotunは、船の船体に藻やバイオフィルムが付着するのを防ぐための高性能な防汚塗料を開発している。この塗料は、船の運行効率を高め、燃料消費を削減するだけでなく、メンテナンスの頻度を減らすことでコストを抑える効果があるという。
素材は環境に配慮したものであり、有害な化学物質を使用せずに船体を保護することができる。これにより、海洋生態系への負担を軽減し、持続可能な海洋運行を実現する。
すでに日本の塗料メーカーとも提携するなどしているが、今後は日本市場での認知度向上を目指し、日本の海運業界との新たなパートナーシップを模索している。環境保護と運行効率の向上を両立している点が特徴だ。
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Sushi Tech Tokyo 2024で興味が惹かれた企業やプロジェクトを取り上げた。ワクワクするようなイノベーションを創出する希望とともに、敬いたくなるサステナブルな取り組みが、今後、東京、日本、そして世界を良くしていってほしいと思わせた。
文/石原亜香利