情報通信業は、AIの発達によるIT技術の高度化や、loT及びビッグデータ化など、第4次産業革命ともいえる技術革新の時代に対応するため、事業領域の拡大や企業競争の激しさが増している。
一方、新しいビジネスの担い手となるIT人材は不足しており、今後もますます深刻化するとも言われており、企業では、競争力強化に資する優秀な人材を獲得するため、多様な働き方や雇用体系を取り入れ、差別化を図る動きも見られている。
このようなデジタル産業の活性化に対する課題と期待が入り混じる中、情報通信業へ入社をした、“アフターコロナ第1世代”の今年の新入社員は、どのような価値観やキャリア志向を持っているのだろうか。
ALL DIFFERENT(オールディファレント)とラーニングイノベーション総合研究所は2024年3月28日~4月30日、2024年入社の新入社員4,761人を対象に「新入社員意識調査」を実施。情報通信業の新入社員の傾向や特徴について、調査・分析した結果をお伝えしよう。
情報通信業の新入社員が仕事で成し遂げたいこと「安定した生活」「自分の成長」が他業種より高い
はじめに、情報通信業の新入社員に、これからの仕事で何を成し遂げたいか質問したところ、「安定した生活を送りたい」がトップで68.8%。次いで「自分を成長させたい」が61.4%、「家族に恩返しをしたい」が41.3%となった。
情報通信業を除く全業種(以下、『他業種』と記載)と比較をすると、「安定した生活を送りたい」は4.2ポイント、「自分を成長させたい」は6.7ポイント高くなっている。
今後どのような仕事をしていきたいかを聞くと、「楽しくてやりがいのある仕事」が67.1%、「自身の成長につながる仕事」が52.5%、「自分のペースでやり切れる仕事」が38.5%という結果に。
他業種と比較をすると、2位だった「自身の成長につながる仕事」は7.7ポイント高くなり、成長を重視する傾向が見られる。また、「自分のペースでやり切れる仕事」においても、回答割合が他業種より6.2ポイント高い結果となった。
成長には仕事体験だけでなく「フィードバックが必要」と6割近くが回答、理想の上司像「間違いを指摘してくれる」で58.6%
次に、成長意欲の高い情報通信業の新入社員が考える、成長するために必要なものについて聞きいたところ、「仕事を通じた成功体験」が65.8%、「上司や先輩からの事後のフィードバック」が58.7%、「仕事を通じた失敗体験」が58.0%となった。
他業種と比較すると、他業種では3位だった「上司や先輩からの事後のフィードバック」が2位にランクインしており、4.2ポイント高い結果に。仕事の体験だけでなく、他者の意見も積極的に取り入れようとする姿勢が見受けられる。
仕事の体験だけでなく、上司や先輩からのフィードバックを求めている彼らは、どのような上司が成長につながる理想の上司と考えているのだろうか。
結果は、「間違いを指摘して正してくれる」が58.6%となった。次いで、「仕事やキャリアの悩みを相談できる」が46.9%、「自分のことをよく見てくれ、声をかけてくれる」が42.3%となり、他業種よりそれぞれ8.4ポイント、1.8ポイント高い結果に。
今後のキャリア「専門性を極め、プロフェッショナルになりたい」がトップで、転職意向は他業種より高い
最後に、キャリア志向や転職意向など、将来について質問した。
まず、将来どのような役割を担いたいか質問したところ、「専門性を極め、プロフェッショナルとしての道を進みたい<専門家>」がトップで32.4%となり、他業種よりも5.5ポイント高い結果となった。
一方、「特にキャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていたい」・「まだはっきりしておらず、今後決めていきたい」の2項目においては他業種よりも割合が低くなっている。
入社した企業で働き続けたいか質問したところ、「できれば今の会社で働き続けたい」と回答した割合は最も高く52.4%であったが、他業種よりは11.1ポイント低い結果に。
「そのうち転職したい」は他業種より4.4ポイント高く17.0%、「分からない」は5.8ポイント高く21.6%という結果となった。
まとめ
本調査では、2024年に情報通信業へ入社した新入社員の価値観やキャリア志向を分析。今回の調査では、6割の新入社員が「自己成長」を仕事で成し遂げたいと回答し、成長意欲を他業種よりも強く持っていることがわかった。
成長のためには、実際の業務を体験するだけでなく、フィードバックしてくれる、あるいは仕事や将来のキャリアについても相談できる上司の存在を求めていることが判明。
移り変わりが激しい情報通信業界で、成長するための強い意欲と、将来の不透明さによる不安が垣間見えた。
将来のキャリア志向は、「専門性を極めたプロフェッショナル」がトップで32.4%、「組織を率いるリーダー」が2位で24.4%となり、半数以上が今後のキャリアの方向性をすでにイメージしていることがわかる。
長期の勤続意向を持つ新入社員は約半数となり、転職を視野に入れている新入社員が他業種よりも多い傾向がみられた。
自身の専門性を極め、理想のキャリアを実現したいという意思は強く持ちながらも、必ずしも入社した企業のみでキャリアを実現していきたいと考えているわけではないことを、企業は認識しておく必要がありそうだ。
調査概要
調査対象者:当社が提供する新入社員研修に参加した2024年入社の新入社員
調査時期:2024年3月28日~2024年4月30日
調査方法:Web・マークシート記入式、または自記式でのアンケート調査
サンプル数:4,761人
*ラーニングイノベーション総合研究所「新入社員意識調査(業界別編・情報通信業)」
*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としている
*構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がある
関連情報
https://www.all-different.co.jp/corporate
構成/Ara