「ご注意ください」は、日常生活でもよく使われる言葉としてなじみがあります。しかし、この「ご注意ください」をビジネスで使う時には、相手に失礼のないよう注意が必要です。
「ご注意ください」の使い方や例文、そして類語表現をご紹介しますので、参考にしてください。
「ご注意ください」の意味とは?
「ご注意ください」は、文字通り相手に気をつけてほしいことを伝える目的があります。この「注意」は、意識を向けることや、用心することを意味します。
「注意してください」という相手への要望に、接頭語の「ご」をつけた丁寧な表現ですが、命令形の言葉でもあります。相手の行動を注意する場合もあれば、今後のトラブルに備えてほしい意味でも「ご注意ください」を使います。
「ご注意ください」の使い方
「ご注意ください」は敬語表現であり、ビジネスシーンを中心に使われます。特定の人に対してだけでなく、掲示物やイベントでの説明など、多くの人に向けた表現としても使われます。
■ビジネスでの「ご注意ください」の使い方
ビジネスシーンでお客様や取引先などに使う時には、失礼にならないよう丁寧な表現が求められます。たとえばミスしやすい書類手続きや、対応できない業務などをあらかじめ断っておく場合に使います。
例文
- 「明日の会議は◯◯が必要ですのでご注意ください」
- 「書類の裏面にも記入欄がありますのでご注意ください」
■大多数に向けた「ご注意ください」の使い方
「ご注意ください」は、お客様や大衆に向けて使うことも多い表現です。たとえば身の危険がある時や、相手にとって大きな損失につながることについて、丁寧な表現でありつつもはっきりと注意を促します。
例文
- 「天候が悪いため足元にご注意ください」
- 「チケットを紛失すると無効になりますのでご注意ください」
「ご注意ください」を使う際の注意点
「ご注意ください」は使う相手によっては失礼に感じられることがあります。使う前に本当にふさわしい表現か、相手にきちんと伝わるかを考えましょう。
■目上の人には使用しない
目上の人に「ご注意ください」と使うと、相手に対して偉そうな印象を与える可能性があります。やんわりと注意したつもりでも、相手からすると下に見られたように感じることがあります。そのため、基本的には目上の人には「ご注意ください」を使わず、さらに丁寧な言い方を使いましょう。
例文
- 「ご注意くださいませ」
- 「ご注意いただければ幸いです」
■厳しい言い方にならないよう気をつける
「ご注意ください」は相手に指示をする、またはミスを指摘する表現です。どうしてもこちらが相手に指図しているように感じられるため、厳しい言い方にならないよう注意が必要です。ビジネスメールでは「ご注意ください」のみだと冷たい印象を与えがちです。
たとえば、電話や対面での会話とは違い、ビジネスメールだと「ご注意ください」のみだと冷たい印象を与えがちです。
厳しい印象にならないように、「恐れ入りますが」とクッション言葉を使うなど工夫をしましょう。話し言葉として使う時には、怒っている印象にならないよう声のトーンや表情に気をつけてください。
■なぜ注意が必要か理由を添える
「ご注意ください」を使う際には、なぜ注意が必要なのか理由を添えることが大切です。たとえば「盗難のリスクがありますのでお手荷物の管理にはご注意ください」といった具合に、相手に目的が伝わる丁寧な説明を心がけましょう。
「ご注意ください」の類義語・言い換え表現
「ご注意ください」だとカジュアルになってしまう場面や、目上の人やお客様に使う時には、別の適切な表現があります。言い換え表現を知っておけば、会話のバリエーションも増やせます。
■「ご留意ください」
「ご留意ください」は、心に留めておいてほしいという意味の言葉です。相手の行動を注意するのではなく、事前に大切なこととして覚えておいてほしい場合に使います。たとえばサービスの利用や契約などで事前に注意事項を伝える時に、「◯◯については対応しかねますのでご留意ください」と表現します。
■「お気をつけください」
「お気をつけください」は、お客様に対して丁寧で優しい対応が求められる場面に適しています。「ご注意ください」よりもマイルドな印象があり、幅広い年齢層に使用できます。
たとえば「足元がすべりやすいのでお気をつけください」など、相手を敬いつつも気づかっている気持ちを伝えられるのです。
「ご用心ください」
「ご用心ください」は、これから起こるかもしれないトラブルやリスクに対して、気をつけてほしいという表現です。「ご注意ください」が現在の状況に使うことが多いのに対して、「ご用心ください」は予防の意味合いが強い言い方です。
「ご注意ください」以外の注意喚起の言葉も覚えよう
「ご注意ください」はシンプルでストレートに相手への注意を促せる表現です。しかし、目上の人やお客様に対しては、状況に応じて「ご注意ください」ではなく「ご注意くださいますようお願いいたします」などの丁寧な言い方に変えましょう。ほかにもシーンに合わせた言い換え表現を覚えておくと、語彙のバリエーションが増えますので、ぜひ活用してください。
文/shiro