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デジタルコアに適切な投資を行なう企業は収益成長率を60%、収益性を40%まで上げられることが判明

2024.07.26

アクセンチュアが発表した最新レポート「Reinventing with a Digital Core(邦題:デジタルコアによる再創造の推進)」によると、先進的なデジタルコアを備え、戦略的なイノベーションへの投資、および技術的負債に対する適切なアプローチを行なう企業は、その他の企業に比べて収益成長率が60%、収益性が40%高いことが判明したという。

本稿では、同社リリースを元にその概要をお伝えする。

企業の再創造を支えるテクノロジー能力の構築には先進的なデジタルコアが重要

日本を含む世界10か国、19業種にわたるIT部門の経営幹部1500人への調査結果を分析した本レポートでは、企業全体の再創造を支えるテクノロジー能力の構築には、先進的なデジタルコアが重要な役割を果たすことが明らかになった。

デジタルコアには、俊敏性とイノベーションを生み出すクラウドを前提としたインフラストラクチャと、それに対応する業務を適切に組み合わせることが肝要だ。

また、差別化を図るためのデータとAI、成長を加速させるアプリケーションとプラットフォーム、次世代エクスペリエンスと最適化されたオペレーション、そしてあらゆる領域における高いセキュリティが求められている。

加えて本レポートでは、技術的負債が増加する要因の一つはAIであることも明らかにしている。

技術的負債とは、ITシステムを最新の状態に保ち、ビジネスニーズに即応するために要するコストと労力のことであり、長期的なメンテナンス性よりも導入のスピードを優先したことで蓄積されてしまったものだ。

AIは技術的負債の管理・軽減や新しいシステム設計にも活用できる一方で、経営幹部の41%がアプリケーションやプラットフォームと並び、AIを技術的負債が増加させる要因として挙げている。

従来、技術的負債は、主にレガシーコードや古いテクノロジー、文書化の不足から生じていたが、最近ではAIの急速な浸透により新たな技術的負債が増加している。

一例としては、当時いち早く導入されたものの、その後、複雑な問い合わせに対応できなくなったAIチャットボットなどが挙げられる。

デジタルコアの実現に向けて以下3点を基本理念として提唱

企業全体の再創造を支えるデジタルコアの実現に向けて、アクセンチュアでは以下3点を基本理念として提唱している。企業は、これらの基本理念を同時に推進することにより、収益成長率を60%向上、利益を40%増加させるなど、大きな成果創出が可能になるという。

(1)業界ニーズに合致した先進的なデジタルコアの構築

本調査では、企業全体の再創造には、「業界トップレベル」のデジタルコアを具備する必要性が示さた。また、1つの能力向上が、他の能力向上につながることも明らかになった。

このため、企業はまず自社のデジタルコアの現状を把握し、必要な領域に基づき「No Regret : 先手必勝で取り組む領域」を優先すべき。これにより、デジタルコア全体で継続的改善の好循環が生まれるからだ。

(2)AIオペレーションに向けたシステム再構築を含む、戦略的イノベーションへの投資強化

企業は、IT予算をシステム運用よりもイノベーション創出に振り分け、主要業績評価指標として、その増加割合を計測すべきだ。アクセンチュアの調査では、企業全体の再創造に向けて、少なくとも対前年比6%の増加が必要であることがわかっている。

必要となる追加予算は、クラウドのコスト最適化や、運用プロセスの自動化などの施策によって捻出できるだろう。企業は、そこで得られた資金をビジネスプロセスの再設計、新製品やサービスの投入、新市場への参入などの活動に投資することが望まれる。

すでに自社の製品・サービスをまたいだソリューションがあれば、この活動の出発点となり得るだろう。最終的に企業は、ビジネスプロセスで定義されたワークフローに従ったオペレーションから脱却し、人間とAIの最適な協働環境生み出すべきだ。

これには、人間の意思決定とAIによる価値創造の両輪を支えるデジタルコアが必須。まず取り組むべきことは、AIオペレーションに向けたシステムを再構築することだ。

(3)計画的かつ自律的な手法により、技術的負債と将来への投資のバランスを確保

アクセンチュアの分析では、IT予算の約15%は技術的負債の解消に割り当て、安定したIT能力を維持すべきだということがわかった。

これは、技術的負債の削減と将来的な投資をバランスよく両立するために適した配分だ。常に最新のITを維持するには、ソフトウエア、ハードウエア、サービスの更新、アップグレード、管理が不可欠。自動化されたバージョン管理システムを活用することで、コード変更に伴うインフラストラクチャのコンフィギュレーション設定の更新も可能だ。

この方法は、企業ITシステムのさらなる自動化や柔軟性をもたらし、システム構築力の向上につながり、将来の技術的負債の削減に貢献する。

<アクセンチュア テクノロジー 最高責任者 カーティク・ナライン(Karthik Narain)氏のコメント>

急速なビジネス環境の変化により、企業全体の継続的な再創造は、もはや定石の戦略です。企業は生成AIのような技術が浸透する中で、テクノロジーが業務に与える影響を把握に努めています。業界先駆的なデジタルコアによってテクノロジーから価値を得ることは、企業が競争を勝ち抜き、事業を成長させるため必須であり、強力なデジタルコアは、事業の再創造に向けた新たな機会を迅速に捉えるために不可欠です。

調査方法
「Reinventing with a Digital Core」は、日本を含む世界10か国、19業界にわたるIT部門の経営幹部1500人からの回答に基づいている。IT部門の経営幹部に対して、自社のテクノロジー資産の状況、ビジネス環境、財務および業務パフォーマンスについて質問し、定量的な結果と、20件の詳細なインタビュー、26件のケーススタディの定性的な結果を分析した。

関連情報
https://www.accenture.com/jp-ja/insights/technology/reinventing-digital-core

構成/清水眞希

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