目次
「棚から牡丹餅」ということわざを知っているつもりでも、意味を正しく理解しているかどうか自信がないという方もいるのではないでしょうか?牡丹餅は幸運の象徴であり、思いがけない幸運に恵まれるという意味をあらわします。今回は意味や由来、使い方などをご紹介します。
「棚から牡丹餅」の意味と由来
「棚から牡丹餅」は「たなからぼたもち」と読み、苦労せずに思いがけない幸運を手に入れることを意味することわざです。「棚ぼた」と略して使うこともあります。
幸運を得られるように努力していたわけではなく、あくまでも偶然による点が、このことわざのポイントといえるでしょう。
■牡丹餅は幸福の象徴
牡丹餅は、庶民がめったに口にすることのできない、贅沢品でした。砂糖は貴重品であり、もち米も高級食材でした。そのため「幸運の象徴」として、ことわざに用いられたと考えられます。
■実際にはなかなか起こりにくい状況をあらわす
棚から牡丹餅は、実際には起きにくい状況をあらわします。棚の牡丹餅は、単に下に落ちたわけではありません。棚の下で寝ていたときに、開けていた口の中に入っています。棚の牡丹餅が落ちる場面は、それなりにあるかもしれません。しかし、さらに下で寝ていた人の口の中に入ることはめったにありません。それゆえに、棚から牡丹餅は、めったに起こらない幸運を意味しているといえるでしょう。
「棚から牡丹餅」の使い方と例文
棚から牡丹餅を使う際に押さえておきたいポイントは、以下の3点です。
・予期していないシチュエーションである
・努力や苦労をしていない
・ラッキーなことが起きる
棚から牡丹餅が落ちてきて、口を開けて寝ていた人の口の中に入ることは、めったに起こらないシチュエーションです。そのため、ある程度予測できる出来事には使わないことが一般的です。また、努力や心がけでどうなるものでもありません。努力や苦労をして幸運を手にしたとしても、棚から牡丹餅にはあてはまらないことも注意しましょう。
さらに、牡丹餅は幸運の象徴であるため、不幸な出来事には使えないことも意識しておく必要があるでしょう。
■仕事やプライベートで思わぬ幸運に恵まれたとき
棚から牡丹餅は、仕事やプライベートで思わぬ幸運に恵まれたときに使われることわざです。実際の使い方は、以下の例文を参考にしてください。
・パーティーで偶然知り合った、初対面の相手から大きな仕事を受注してもらえるなんて、棚から牡丹餅だ
・何気なく購入していた宝くじが当選していた。まさに棚から牡丹餅だ
■努力せずに幸運を願う相手を諭すとき
思いがけない幸運を喜ぶだけでなく、努力せずに幸運を期待している相手に対して、その行動を諭す際にも使われます。たとえば、以下のような使い方をします。
・棚から牡丹餅を期待しながら仕事をしても、成果は得られないだろう
・まともに営業もせずに契約を獲得するなんて、そんな棚から牡丹餅なことがあるわけがない
「棚から牡丹餅」の類似表現
棚から牡丹餅の類似表現には、「もっけの幸い」「鴨葱」「嬉しい誤算」「願ってもない話」などが挙げられるでしょう。いずれも、思いがけない幸運を意味する表現です。それぞれの表現を解説します。
■もっけの幸い
「もっけの幸い」は、思いがけない幸運を意味することわざです。「もっけ」とは不思議なこと、思いがけないことをあらわす言葉であり、「物の怪(もののけ)」が変化して定着した言葉とされます。
棚から牡丹餅が、思いがけない幸運によって利益を得たという意味であるのに対し、もっけの幸いは思いがけない幸運で、不都合を免れたというニュアンスで使われることが多いことが特徴です。「上司から仕事の注意を受けていたが、電話をもっけの幸いと席を立った」というように使います。
参考:デジタル大辞泉
■鴨葱
「鴨葱」は「かもねぎ」と読み、「鴨が葱を背負って来る」の略語です。鴨肉と葱は非常に相性がよく、一緒に鍋に入れて鴨鍋にすると美味しいことから、好都合な状況や行動する前にお膳立てが整っている状況のたとえとして用いられます。
鴨には、騙しやすい人という意味があります。利用しようとしていた相手が自ら利用できるものを持ってきた場合でも、直接その相手に「まるで鴨葱の状況ですね」などと伝えるのは避けましょう。
参考:デジタル大辞泉
■嬉しい誤算
「嬉しい誤算」は、予測とは異なる結果ではあるものの、かえって喜ばしい状況になることを指す言葉です。思ってもみなかった幸運を得るという意味のため、棚から牡丹餅と似たような意味で用いられます。「誤発注した商品が完売したのは、嬉しい誤算だ」というような使い方をします。
■願ってもない話
「願ってもない話」は、通常は望んだとしても実現しそうもない願いが、運よく叶う様子をあらわす言葉で、棚から牡丹餅の類似表現の1つといえるでしょう。「この状況は、願ってもない話だ」というように使います。