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ビジネスシーンなどでもよく使われる「ございますでしょうか?」は、敬語として正しいのか疑問に思われやすい表現です。
敬語は目上の方に対して用いる表現であるため、正しく理解していないと自信を持って伝えにくいでしょう。
この記事では、「ございますでしょうか?」の意味や敬語として正しいのか、二重敬語が誤りとされる理由、そのほかの二重敬語表現を解説します。さらに、正しく言い換えた表現も確認しておきましょう。
「ございますでしょうか?」とは?簡単に基礎知識を解説
「ございますでしょうか?」は非常にていねいでやさしい印象を受けるフレーズです。しかし、文法的には間違いだとされています。
それでははじめに、「ございますでしょうか?」の意味と使われ方、敬語として正しくないのはなぜかを解説します。あわせて、二重敬語が誤りであるとされる理由や二重敬語になってしまうほかの表現の例も確認しましょう。
■「ございますでしょうか?」の意味と使い方
「ございますでしょうか?」とは、「あるだろうか」と尋ねる際の丁重度を高めた敬語表現です。「チケットはございますでしょうか?」などと使われています。
「ございますでしょうか」3つの要素に分解すると、「ございます」と「でしょう」と「か」に分けられます。それぞれの要素は以下のとおりです。
・ございます
……物の存在や経験などを表す「ある」の丁寧語。「あります」よりさらに丁寧な言い方
・でしょう
……推量するという意味の「〜だろう」の丁寧語
・か
……疑問を表す終助詞
■「ございますでしょうか?」は敬語として正しくない
「ございますでしょうか?」は、文法的に敬語として正しくないといわれています。正しくないといわれる理由は、「二重敬語にあたるため」です。
先述のとおり、「ございますでしょうか」には「ございます」と「でしょう」という2つの丁寧語が用いられています。「尊敬語+尊敬語」や「丁寧語+丁寧語」など、同じ種類の敬語表現を重ねると、二重敬語にあたってしまうのです。
■二重敬語が誤りであるとされる理由
二重敬語を使うのは誤りだとされている理由は、以下のとおりです。
・過剰な敬語は失礼だ、慇懃無礼だと感じる方がいるため
・敬語の知識が足りない・マナーがないと捉えられる可能性があるため
丁寧な表現を重ねる二重敬語は、一見問題がないように感じるかもしれません。使用しても怒られるケースはそれほどないでしょうが、上記のように感じる方がいるため注意が必要です。
なお、たとえば「ある」の丁寧語+「だ」丁寧語ならば同じ種類の敬語を重ねているわけではないため二重敬語にあたらないとする意見もあります。また、習慣として定着しているものならば誤りであるとはいいきれないとされるケースもあるようです。
■二重敬語になってしまうほかの表現の例
それでは、二重敬語になってしまうフレーズにはどのようなものがあるのか、ほかの表現の例をご紹介します。
・ございませんでしょうか
・ありますでしょうか
・いらっしゃいますでしょうか
・お読みになられる
たとえば、「ございませんでしょうか」には「ない」を丁寧語にした「ございます」と、「だろうか」の丁寧語である「でしょうか」があります。「丁寧語+丁寧語」のため、二重敬語にあたるとされているのです。
「ございますでしょうか?」を正しい敬語にした表現3つ
「ございますでしょうか?」は絶対に間違いであるとまではいいきれないものの、使用することでネガティブに受け取られる可能性があるため言い換えたほうが無難です。
「ございますでしょうか?」を正しく言い換えた表現には、以下のようなものがあります。
1.ありますか
2.おありですか
3.ございますか
これらのほかに、「あるでしょうか」も正しい言い換え表現だといえます。「あるでしょうか」は、「ある」に「だろう」の丁寧語の「でしょう」と、質問や疑念の意を表す「か」をつけた表現です。
それでは、「ございますでしょうか?」と伝えたいときに使える正しい敬語表現を確認しておきましょう。
■1.ありますか
「ありますか」は、「あるかどうか」を丁寧に尋ねる表現です。このフレーズには、以下の要素が含まれています。
・あります
……「ある」を丁寧にした表現
・か
……質問や疑念の意を表す言葉
ただし、「ある」を丁寧にした表現を用いているものの、丁寧さが軽めだと感じられる可能性があります。使用するシーンには気をつけてください。
■2.おありですか
「おありですか」には、以下の要素が含まれています。
・お
……尊敬語
・ある
・です
……「である」「だ」の丁寧語
・か
……質問や疑念の意を表す言葉
「おありですか」は、「あるかどうか」を尋ねる際に使用できる正しい言い換えた表現のなかでも丁寧さの高いフレーズです。「尊敬語+丁寧語」で異なる種類の敬語表現を用いているため、「おありですか」は二重敬語にはあたりません。
お客様などのとくに敬意を表したい相手に対しては、「おありですか」を用いると良いでしょう。
■3.ございますか
「ございますか」も、「あるかどうか」を丁寧に尋ねる表現のひとつです。「おありですか」のほうがさらに丁寧さがアップするものの、「ございますか」も目上の方へ問いかけたいときや接客の際などに使用できます。
「ございますか」には、以下の要素が含まれています。
・ございます
……「ある」の丁寧語
・か
……質問や疑念の意を表す言葉
「ございますでしょうか?」を正しく言い換える表現としては、「でしょう」の部分を除いた「ございますか」が一般的に用いられているようです。
「ございますでしょうか?」を正しく理解しよう
「ございますでしょうか?」とは、「あるだろうか」と尋ねる際の丁重度を高めた敬語表現です。非常にていねいな印象を受けるフレーズであるものの、文法的には正しくないといわれています。
丁寧に「あるだろうか」と尋ねる際に正しく言い換えられる表現は、「ありますか」「おありですか」「ございますか」などです。それぞれで丁寧さが異なるため、相手に応じて用いてください。
適切に言い換えられる表現などを理解して、「あるかどうか」を敬語で正しく尋ねられるようになりましょう。
構成/chihaya