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「準拠」とはどういう意味?多くの人が誤解している言葉の正しい使い方

2024.10.07

「準拠」はビジネスシーンなどでもよく使われる表現です。しかし、似た意味を持つ表現と意味を混同しやすく、正しく使えるか不安になりやすいといえるでしょう。 この記事では、「準拠」「規格への準拠」「準拠法」の意味や使い方を解説します。さらに、関連する表現の意味や違いもあわせて確認しておきましょう。

「準拠」とは何?簡単に基礎知識を解説

「準拠」は、口語としてよりも書き言葉として使われることの多い表現です。正しく理解せずになんとなくの雰囲気で使っていると、相手の認識とのズレが生じる恐れがあるため、しっかりと意味などを理解しておきましょう。

それでははじめに、「準拠」の読み方と意味、「規格への準拠」とは完全一致とイコールではないこと、契約時に確認したい準拠法、使い方・例文を解説します。

■「準拠」の読み方と意味

「準拠」の読み方は「じゅんきょ」です。意味は「あるものをよりどころとしてそれに従うこと」や「そのよりどころ」を指します。

「準拠」という言葉は、なんらかのルールや基準に従うときに用いられます。

たとえば、「史実に準拠した小説だ」など、準拠のよりどころとなったものにつなげて表記することで、なにをよりどころにしたのかが説明可能です。

■「規格への準拠」とは完全一致とイコールではない

「準拠」の意味は「あるものをよりどころとしてそれに従うこと」ですが、その意味の受け取り方には注意が必要です。

たとえば、「規格への準拠」と記してある場合であっても、それはよりどころとした規格と完全に一致すると伝えているわけではありません。「大きく外れてはいない程度にあるものに従っている場合」でも、「〇〇規格への準拠」と表現可能なのです。

「規格に準拠する」と書かれていても、その規格が新しい場合には実際に使えるようにするための仕様やテストの方法が定まっていないケースがあります。また、実際に一般的になっている製品が規格にあっておらず、相互運用を可能にするためにあえて広く普及している製品のほうにあわせたケースもあるようです。

■契約時に確認したい準拠法とは

「準拠」という言葉は法律に関する文章で使用されるケースが多く、契約の際にも用いられます。ビジネスシーンで契約する際は、「準拠法」を確認することが大切です。

「準拠法」とは、「法に関する際に適用される法律」のことです。そして、国際取引などではどの法律を適用するかによって契約の解釈が変わるケースがあります。

つまり、「準拠法」を決めておくと、契約後になにか紛争となった場合などに適用される法律が定まります。契約の解釈を明確にしやすくなるというメリットがあるため、国際取引の際などはあらかじめ「準拠法」を決めておきましょう。

「準拠」の使い方・例文

「準拠」の使い方を、実際に例文で確認していきましょう。

・個人情報の取り扱いは、当社規定に準拠しています。
・こちらは国際的な基準に準拠した製品です。
・10月からは最新の仕様に準拠させた新製品を販売します。
・原作に準拠したドラマだと聞いていたが、展開を少し変更したようだ。

このように、決められた規則や規格に従うときは「準拠する」、規則や規格に従わせるときは「準拠させる」などと用いられます。また、「準拠の性質・傾向」を指す場合には「準拠性」と表現します。

「準拠」に関連する表現

あわせて、「準拠」に関連する表現も確認しておきましょう。「準拠」に関連する表現は、「遵守」や「適合」などがあります。

それでは、「遵守」や「適合」の意味と「準拠」との違い、ほかの類似する表現や対義語表現などを解説します。

■「遵守」の意味と違い

「遵守(じゅんしゅ)」の意味は、「決まりや法律、道徳などに背かず、従うこと」です。たとえば、「法令遵守」「規則を遵守する」などと用いられます。

「遵守」と「準拠」の違いは、以下のとおりです。

・遵守
……決まりや法律、道徳を守ること

・準拠
……基準としたものに従うこと

これらの言葉は非常に似ているものの、意味に違いがあるため注意しましょう。

■「適合」の意味と違い

「適合(てきごう)」の意味は、「ある条件や事情、状況にぴったり当てはまること」です。たとえば、「彼に適合するドナーが見つかった」「時代に適合した教育をおこなう」「我が社の会計システムに適合する製品を探す」などと使います。

「準拠」はよりどころとする規格などの基準に従うことですが、「適合」は作成時に基準に従おうとしていなくても既存のものと合っていたというニュアンスの表現です。

■準拠と類似する表現

準拠と類似する表現には、以下のようなものもあります。

・依拠(いきょ)
・従う(したがう)
・準ずる(じゅんずる)
・則る(のっとる)
・立脚(りっきゃく)
・標準

たとえば、「依拠(いきょ)」とは「たよりとするところ」「支えになるもの」「成り立つもとになるもの」を指します。また、「従う(したがう)」とは「ほかからの働きに順応することや応じること」、「準ずる」とは「同等の扱いをする」「ある基準を標準として考える」ことです。

このように、類似する意味を持つ表現であっても実際には違いがあります。

■「準拠」の対義語表現

「準拠」の対義語表現は「非準拠」です。「非準拠」とは「準拠に該当しない」「条件を満たしていない」ことを指します。

名詞や形容動詞の接頭語として「非」を付けたときの意味は、「それに当たらない」「それ以外である」です。つまり、接頭語としてついた名詞や形容動詞の意味を打ち消して反対の意味にします。

「準拠」を正しく理解しよう

「準拠」の読み方は「じゅんきょ」で、「あるものをよりどころとしてそれに従うこと」や「そのよりどころ自体」を指します。準拠はよりどころとしたものに従っていることを表しますが、完全一致とイコールではない可能性があることに注意が必要です。

「準拠」に関連する表現に、「遵守」「適合」「依拠(いきょ)」「従う」などがあります。異なる点も理解したうえで、正しく伝えられるようになりましょう。

構成/chihaya

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