国内では希少なクリエイティブ領域に特化したDEIコンサルティングチーム
電通は、クリエイティブ領域に特化したDEIコンサルティングチーム「BORDERLESS CREATIVE(ボーダーレス クリエイティブ)」を2024年7月19日に発足させた。DEI視点を取り入れた広告企画・新規事業開発を、コンサルティングから実施までワンストップで担うという。
DEI(Diversity, Equity & Inclusion)は現代社会においてクリエイティブの最重要テーマの一つ。世界的な評価を受けているクリエイティブコンテンツにはDEI視点を取り入れたものが多くなっている。
その一方で、DEIの配慮が欠如していると批判が高まる可能性もある。社会的にポジティブな評価を獲得するには、NG表現を避けるだけではなく、専門的な視点に基づいた企画が必要だ。
海外ではDEIのコンサルティングを専門に行なう会社が注目されつつあるが、日本ではまだそのような企業・団体が少ない状況にある。
「BORDERLESS CREATIVE」は、国内では希少な、クリエイティブ領域に特化したDEIコンサルティングチームとなる。
■ボーダー(課題)の発見から企画・制作まで全フェーズでクライアント企業に伴走
ジェンダーや障害などのDEI領域で知見が豊富にあるクリエイターと、当事者・専門家が連携。独自の「BODERLESS CREATIVE METHOD」で、見えないボーダー(課題)の発見から企画・制作までに至る全フェーズで、クライアント企業に伴走する。
チームメンバーはこれまで、10以上の業界(総合商社、ファッション、イベント、金融など)のさまざまなDEIテーマのクリエイティブ業務に携わり、数多くの広告賞を受賞してきた。
また、社内で実施してきた勉強会では、多くの有識者と議論・対話を重ねており、それらを通して培ったナレッジ、当事者・当事者団体を含む関係者とのリレーションを生かして、コンサルティングやマーケティング支援を展開していくという。
同社では、2011年から多様性をテーマにした研究・開発・ネットワーキングに取り組んできた国内電通グループ横断タスクフォース「電通ダイバーシティ・ラボ」とも密に連携していくと説明している。
「BORDERLESS CREATIVE」メンバーの過去の取り組み事例
また10月から、宣伝会議コピーライター養成講座で「BORDERLESS CREATIVE」講座を開講予定。チームのクリエイターはもちろん、連携する当事者・専門家も登壇して、広告関係者がDEIを体系的に学ぶための全8回の講義を行なう。
■連携する主な専門家・外部機関
<Zebedee Talent>
ロンドンを拠点とするインクルーシブ・タレント・エージェンシー。障害者、外見に違いがある人々、ノンバイナリーおよびトランスジェンダーのモデルや俳優が所属している。ハイファッションを中心に世界的なブランドをクライアントに擁し、包括的なキャスティングを推進している。
<趙正美(ちょう・ちょんみ)氏>
米国在住のソーシャル・チェンジ・プロデューサー。広告会社で戦略プランナーとして勤務後、世界最大規模の国際人権NGOであるHuman Rights Watchにて、日本で初の大規模な寄付を募るファンドレイザーとなる。2019年に米国ニューヨーク本部へ異動、シニア・クリエーティブ・ディレクターとして団体の外部コミュニケーションとブランディングを統括。2022年にフリーランスとして独立、社会変革を起こそうとする企業や個人のプロジェクトを専門にプロデュースしている。現在最も熱心に取り組んでいる領域は、DEIとサステナブル・ファッション。国際人権NGO ヒューマンライツ・ナウNY ボードメンバー。
<高井ゆと里氏>
倫理学者、群馬大学准教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得満期退学。東京大学/博士(文学)。訳書にショーン・フェイ「トランスジェンダー問題-議論は正義のために」(明石書店、2022年)、テレサ・ソーン&ノア・グリニ「じぶんであるっていいかんじ」(エトセトラブックス、2024年)、著書に「トランスジェンダー入門」(共著、集英社新書、2023年)、「トランスジェンダーQ&A-素朴な疑問が浮かんだら」(共著、青弓社、2024年)
<一般社団法人 ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ>
2011年設立。ソーシャルエンターテインメント事業「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」「ダイアログ・イン・サイレンス」「ダイアログ・ウィズ・タイム」やビジネスワークショップを通して、誰もが対等に対話することで協力し信頼し安心して社会参加ができる、多様性のある社会の形成および発展に寄与することを目的としている。2020年8月には上記プログラムを体験できるダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」をオープン。
関連情報
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2024/0719-010757.html
構成/清水眞希