目次
「台風一過」が正解なのか「台風一家」が正解なのか、わからなくなってしまうという方もいるのではないでしょうか?台風一家は誤表記で、台風一過と書くのが正解です。台風が過ぎ去った後の状態を指す言葉です。今回は台風一過の意味や使い方、類似表現を解説します。
「台風一過」の意味
「台風一過」という言葉を天気予報やビジネスシーンなどで耳にしたものの、自分が認識している意味が正しいのか、自信が持てないという方もいるでしょう。ここでは、台風一過の意味を確認していきましょう。
■台風が過ぎ去った後の状態を指す言葉
台風一過は「たいふういっか」と読み、台風が過ぎ去った後の晴れ渡った青空をあらわす言葉です。「一過」は、「あっというまに過ぎ去ること」を意味します。転じて、トラブルや試練を乗り越えた後のほっとした気持ちや、明るい展望のたとえとして使われることもあります。
参考:デジタル大辞泉
■「台風一家」ではない
「台風一家」という言葉は、台風一過の誤記として頻繁にみられる表記です。「一家」という単語から、台風が家族のように連なり、次々と通るというような意味と捉えて使ってしまうと、会話が噛み合わなくなってしまうでしょう。誤った表記で覚えてしまわないように注意が必要です。
「台風一過」の使い方と例文
台風一過には、「台風が過ぎ去った状態」と「騒動が収まり落ち着いた状態」の2つの意味があります。それぞれの意味での使い方と例文をご紹介します。
■「台風が過ぎ去った状態」の意味での使い方
台風一過は、台風が過ぎ去った後の晴天をあらわす際に使う言葉です。この場合の例文は、以下をご参照ください。
・昨日までの荒れた空が嘘のように、台風一過で清々しいほどの晴天になった
・台風一過で雲一つない晴天が広がっている
・台風一過の今日は、待ちに待った運動会だ
■「騒動が収まり落ち着いた状態」の意味での使い方
台風一過は、「騒動が収まり落ち着いた状態」という比喩的な意味でも使われます。繁忙期の波が大きい業種はもちろん、システムエラーやクレームなど、思わぬアクシデントに見舞われた場合に、それらが過ぎ去った後の静けさを表現できます。ビジネスシーンでもよく使われる言葉であるため、例文を確認しておきましょう。
・新サービスのローンチまで慌ただしい日々だったが、やっと落ち着き台風一過の状態だ
・システムエラーがようやく復旧し、さながら台風一過という雰囲気だ
・監査がようやく終わった。台風一過、晴れやかな気持ちでいっぱいだ
「台風一過」の類語・類似表現
台風一過には、「雨過天晴」や「雨降って地固まる」など、同じような意味を持つ類語・類似表現があります。それぞれの意味や例文を解説します。
■雨過天晴
「雨過天晴」は「うかてんせい」と読み、文字どおり、雨が降った後の空が晴れ渡る様子をあらわす言葉です。「雨過天青」と書くこともあります。台風一過も台風が過ぎ去った後の天候や状況をあらわす言葉のため、類似表現の1つといえるでしょう。
雨過天晴は、どんなに悪い状況であってもそれがずっと続くわけではなく、いつかは時間が解決して状況が好転することのたとえとしても用いられます。
【例文】
・難航していた取引の交渉が、昨日ついに成立した。雨過天晴のような展開だ
・長い間業績不振に悩まされてきたが、少しずつ状況が変化した。まさに雨過天晴だ
・トラブル続きでどうなるかと思ったが、雨過天晴となり、なんとか難局を乗り越えた
■雨降って地固まる
「雨降って地固まる」は、もめごとや悪いことが起きた後は、かえって基盤が安定してよい状態になることをあらわす言葉です。台風が通り過ぎた後は晴天になることを意味する台風一過と、同じような意味で使えるでしょう。
通常、雨が降ると地面がぬかるんで歩きにくくなります。しかし、雨が降った後は土が固まり、雨が降る以前に比べてしっかりとした地盤になることがあることに由来します。
転じて、たとえばチーム内で言い合いになり周囲はヒヤヒヤするような状態であった2人が、お互いに腹を割って議論ができたために、むしろ信頼が深まったというようなケースをあらわすようになりました。
【例文】
・競合相手に一時的にリードされたが、それが社内に危機感を与え、最終的には成功につながった。雨降って地固まるとはこのことだ
・顧客との厳しい交渉が続いたが、雨降って地固まるとはよくいったもので、結果的に関係性が強固なものになった
・チーム内で意見の相違により対立が起きたものの、そのことが互いを深く知ることになりより結束が強くなった。まさに雨降って地固まるだ