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「溜飲が下がる」という言い回しは、不平不満が解消する様子を意味する言葉です。
しかし「溜飲(りゅういん)」とは何か、本来の意味を知らずに使っている方も多いのではないでしょうか。
本記事では社会人として知っておきたい、「溜飲が下がる」の意味と語源、正しい使い方をご紹介します。
また、溜飲が下がると似た意味を持った、言い換え表現も解説するため、ぜひ参考にしてください。
「溜飲が下がる」の意味と語源
「溜飲が下がる」は、ずっと抱えていた悩みや不満を解消できる様子を表した言葉です。
「不平・不満・恨みなど、胸のつかえがおりて、気が晴れる。」 引用:小学館 デジタル大辞泉 |
この「溜飲」とは、消化できていない胃の中の飲食物や、胃酸などを意味します。つまり、食べ物ではなく感情や問題などの悩みを解消できておらず、ずっと胸につかえているような状態が語源となっているのです。
「溜飲が下がる」の使い方
「溜飲が下がる」はビジネスでもプライベートでも使う場面があります。具体的な例文は次の通りです。
■仕事上の悩みで使う場合
「溜飲が下がる」のビジネスシーンでの使い方は、仕事に関する悩みや同じ職場の人、取引先などの人間関係での不満などが解消された時に使うのがメインとなります。
たとえば同じ仕事に取り組んでいたメンバーと、つらい状況を抜け出せた時にも使える共有できる表現なのです。ただし、今まで悩んでいたことが周囲に伝わる表現でもあるため、むやみに不特定多数の人の前で言わないよう気をつけましょう。
<例文>
・「上司に不満を伝えて溜飲が下がった」
・「会社として謝罪しなければ顧客の溜飲は下がらないだろう」
■悩みの種になっている人が指導・処分された時の使い方
ビジネスシーンならパワハラやモラハラで、周囲から疎まれていた上司や、理不尽な要求をしてくる顧客などの問題は決して少なくありません。
自力では解決できなかった人間関係のトラブルが、企業の上層部などからの決定で指導や処分されて、すっきりした気持ちの時にも「溜飲が下がる」と表現できるのです。
<例文>
・「失礼な発言を謝罪してもらい溜飲が下がった」
・「かつて馬鹿にしてきた同僚を成績で見返せて溜飲が下がった」
「溜飲が下がる」を使う際の注意点
「溜飲が下がる」という表現は、自分がすっきりする出来事だとしても他者にとっては気分が良くない事態である可能性もあります。
使う場面に気をつけたうえで、大人としてのマナーを守りましょう。
■多用しすぎない
「溜飲が下がる」という言葉は、多用しすぎると本当に気持ちがすっきりしたのか、その気持ちが周りに伝わりづらくなってしまいます。
「溜飲」とは本来長く留まっていて、ずっともやもやしている感情や悩みを表すものです。多用していると言葉としての重みが伝わりにくくなるため、本当にずっと抱えていた悩みや不満が解消され、すがすがしい気分になった時に使用しましょう。
■人の不幸などの話題には使用しない
「溜飲が下がる」という表現は、周囲に使うと不快にさせるリスクがある言葉です。
たとえば、自分が嫌いな相手に不幸があった時に「溜飲が下がる」とすっきりした気持ちを周りに伝えるのは、おすすめできません。たとえ相手に非があったとしても大人気ない印象を与えてしまいかねません。
心の中で溜飲が下がったのだとしたら、場合によってはその気持ちを心で留めておくのも大人としての振る舞いです。
■「溜飲を下げる」と「溜飲が下がる」の違いに注意
「溜飲が下がる」と「溜飲を下げる」は少し意味が異なるところも注意しましょう。
どちらも抱えていた不満などがなくなり、すっきりする様子を意味しますが、自身の行動によって問題を解消できることを「溜飲を下げる」と表現します。
「溜飲が下がる」は、何らかの原因で自然に不満や悩みが解消できる様子を含めて使う表現です。自発的な行動に特定されません。
「溜飲が」なのか、「溜飲を」なのか、そのシーンによって、表現を使い分けましょう。