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「親しき仲にも礼儀あり」という言葉を耳にしたことのある人も多いのではないでしょうか。実はこの言葉、正しい意味として使われていないケースも多くあるのです。
場合によっては相手に失礼に当たってしまう可能性もあるため、「親しき仲にも礼儀あり」の本来の意味と、使い方の注意点をご紹介します。
また、言い換え表現として使える類義語も解説します。ぜひ参考にしてください。
「親しき仲にも礼儀あり」の意味と由来
「親しき仲にも礼儀あり」は、家族や夫婦などどのように親しい間柄だとしても、守るべき礼節を大切にした方が良いということわざです。
親しい関係が長くなるほど、つい遠慮がなくなってしまいます。そのような態度が、たとえ仲の良い相手でも傷つけてしまっている可能性があるのです。
このことわざ自体は日本で生まれましたが、英語でも「垣根が間にあることで友情が活き活きと保たれる(A hedge between keeps friendship green.)」という意味のフレーズがあります。
■「親しき仲にも礼儀あり」が使われるシーン
「親しき仲にも礼儀あり」は、毎日のように関わる家族や恋人など、ごく近しい相手との関係性に使う傾向があります。
たとえば相手の気持ちを考えず、自分勝手な振る舞いをしたり相手を馬鹿にしたような発言をしてしまったりと、無神経な態度に注意する時に使います。
また、恋人や家族だけでなく、会社の同僚や上司など目上の立場に対しても「親しき仲にも礼儀あり」を使える言葉です。
「親しき仲にも礼儀あり」の使い方
「親しき仲にも礼儀あり」を使う時は、自分自身の気持ちを伝えたい場合や相手に注意したい時などがあります。
それぞれの使い方の特徴と、例文をご紹介します。
■意思を表現する時
「親しき仲にも礼儀あり」は、自分の気持ちを表現したい時に使います。
自分の意思を伝える事で周りからの評価を得たり、自身で気をつけようとする意識の高まりにもつながるのです。
<例文>
・「親しき仲にも礼儀ありという気持ちを忘れずに、引き続きプロジェクトメンバーの皆さんと仲良くしていきたいです」
・「親しき仲にも礼儀ありという言葉があるように、パートナーへの気遣いを忘れないで過ごしたい」
■相手の振る舞いを注意したい時
「親しき仲にも礼儀あり」は、相手の失礼な言動や振る舞いに対して、注意するフレーズとしても使います。
いくら親しいからと言って、相手を傷つけるような言葉や、軽んじる振る舞いは信頼を損なってしまいます。同じ友達や上司としての立場など、相手にわかってほしい気持ちから「親しき仲にも礼儀あり」と表現すれば、言いたい気持ちが伝わりやすくなるのです。
<例文>
・「兄弟でも親しき仲にも礼儀ありと言うように、約束は守ってほしい」
・「最近後輩のなれなれしい態度が目に余るので、親しき仲にも礼儀ありという言葉を思い出してほしい」
「親しき仲にも礼儀あり」の類義語・言い換え表現
「親しき仲にも礼儀あり」は、似た意味を持ったことわざや言い換え表現があります。
「親しき仲にも礼儀あり」を繰り返し使ってしまう状況を避けたいのなら、別の言い換え表現も覚えておくと便利です。
■「心安きは不和の基(こころやすきはふわのもと)」
「心安きは不和の基」は、あまりに親しい関係は、かえって仲違いにつながるという意味を持っています。
「心安き」は親しくて遠慮がなくなっている関係性を表しています。つまり、遠慮がない関係になってしまえば、仲が悪くなる原因になってしまうことを伝えているのです。
■「良い仲には垣をせよ」
「良い仲には垣をせよ」も「親しき仲にも礼儀あり」と同じ意味を持っています。この「垣」は間を隔てているものであり、家同士などプライバシーを守るためのものです。
つまり、すぐ近くにいるような親しい間柄であっても、適切な距離を保つことが大切であり、仲良く居続けられるコツだと伝えているのです。
■「親しき仲にも笠を脱げ」
「親しき仲にも笠を脱げ」は、親しい仲だからこそきちんと挨拶する時は、被っている頭の笠を脱いだ方が良いということわざです。
どれだけ仲の良い相手でも、帽子を脱いで挨拶すべきという礼節を重んじる大切さを伝えています。「親しき仲にも礼儀あり」と同じ意味として使えるため、別の表現にしたい時にはぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。
「親しき仲にも礼儀あり」は世界共通の考え
「親しき仲にも礼儀あり」は、日本だけでなく世界各国でことわざになっているフレーズです。
たとえ家族や恋人でも、相手を敬い節度を持って接する考えこそ、長く良い関係を築ける秘訣といえるのではないでしょうか。
ぜひ「親しき仲にも礼儀あり」といえる態度を実践できているか、日々の発言や行動を見直してみてはいかがでしょうか。
文/shiro