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「サクセッションプラン」は、ビジネスにおいて重要な後継者育成や事業承継に関する計画を指す言葉です。耳にする機会があっても、具体的にどのような計画なのか、目的がわからない方もいるのではないでしょうか?
本記事ではサクセッションプランの意味と目的、そしてメリットやデメリットを解説します。
「サクセッションプラン」とは?
サクセッションプランは1950年代のアメリカにて、事業継承を目的とした幹部の育成を計画的に進める施策として広く認識され始めました。今では日本にも広がり、後継者育成に特化した計画を立てる大手企業が増えています。
■「サクセッションプラン」の目的
サクセッションプランは企業を長期にわたって運営していくにあたり、次世代の重要ポストを担う人材を早い段階から育てるのが目的です。
経営戦略において、重要ポストを担える人材がいない状況は、経営全体に大きな影響を及ぼしてしまいます。
そのため、候補者を前もって決定して管理、そして教育を施して、将来につなげていくのです。具体的には、重要なポストに就く従業員候補者を決める定義を作成したり、実際に経営者となるための専門的な育成を施します。
通常の人材育成とは育成目的が異なるだけでなく、サクセッションプランは現在の経営者が主体となって育成をすることが多い点も特徴です。
「サクセッションプラン」のメリット
サクセッションプランを導入するメリットは、企業の寿命や成長に大きく影響する可能性があります。
代表的な3つのメリットと、その理由を見ていきましょう。
■企業理念や伝統を維持できる
サクセッションプランは将来幹部など、重要な役職を担う人材に現在の役員が指導します。そのため、企業の歴史を長く知り伝統を維持できる人材を長期的に確保できるのです。
経営者が変わっても企業理念をそのまま持っていれば、将来的な社員全体の育成や経営方針に悩まず、長く顧客に愛され信頼される企業を目指せるメリットがあります。
■将来的な人材の採用コストを削減できる
サクセッションプランは最初から重要な役職を任せる人材を育成する目的があるため、採用にかける時間や負担のコストを削減できるのも特徴として挙げられます。
急な人材探しに対して、工数を割く必要がないため、その分、他の事業やプロジェクトに注力できるメリットがあります。
■従業員の出世意欲アップにつながる
サクセッションプランに選ばれるように、従業員の出世に対する意欲が高まれば、企業全体の業績アップにもつながるでしょう。
「サクセッションプラン」のデメリット
サクセッションプランはモチベーションアップやコストダウンのメリットがある一方、気をつけたいデメリットがあります。
メリットとデメリットを把握したうえで、導入方法や時期などを検討しましょう。
■育成完了までのコストと時間がかかる
サクセッションプランは将来的な幹部を育てる目的があるため、通常の新人社員の教育よりもはるかに時間がかかります。
その分コストと時間をかけるため、教育担当となる幹部の負担も厳しくなる可能性があります。あらかじめ無理のない費用、時間のコストかどうか、計算したうえでサクセッションプランを導入するか検討しましょう。
■途中退職すると時間や費用が無駄になる
サクセッションプランは育成中の社員が途中退職してしまえば、これまでかけた時間や費用が無駄になってしまいます。
これは人材育成全てに当てはまることではあるものの、新人教育よりも時間などのコストがかかるサクセッションプランにおいて、社員の離職は大きな痛手につながります。
そのため、社員を教育している最中もモチベーション低下を避けたり、企業に不信感を抱かせたりしないように、徹底したサポートが必要です。
■候補外の従業員のモチベーションが下がるリスク
サクセッションプランの候補外になってしまった従業員が、仕事のやる気を失う可能性もあります。サクセッションプランの対象にならなかった従業員のフォローや、その代わりになるような業務を任せるなど、極端な優遇を避けるための工夫を取り入れましょう。