子育ての終了、役職定年、親の介護、健康不安……。自分の「これから」に向き合うきっかけは、人それぞれ。連載【セカステReal】では、自分らしい生き方を模索し、セカンドステージに歩を進めたワーキングウーマンたちの奮闘、葛藤、感動のリアルストーリーに迫ります。
【セカステReal #️04】後編
定年まであと10年……居心地の良さを手放し「ボディケア」のスペシャリストへ(吉田泉さん・52歳)
前編はこちら
Profile
東京在住。大学卒業後、総合電機メーカー、ウェブ運営会社の2つの会社に勤務。2021年退社後、フリーランスでヨガや骨格ベクトレのインストラクターとして活動し、2022年10月、自宅に骨格ケアサロンをオープンした。
長年抱いていたジレンマが解消されたメソッド「骨格ベクトレ」とは?
吉田泉さんは49歳で会社員生活にピリオドをうち、それまでに経験を積み重ねたヨガインストラクターとしてフリーランスに転身しました。後半ではサロンをオープンするきっかけとなった「骨格ベクトレ」との出会い、セカンドステージに進んでよかったことなどのお話をうかがいます。
──現在、ヨガだけでなく、「骨格ベクトレ」のボディケアサロンをオープンされています。骨格ベクトレはいつ出会ったのですか?
吉田:退職してからです。じつは、ヨガで身体を動かして心身が整う素晴らしさを感じる反面、もう一歩、変わりきれない自分にジレンマを抱えていたんです。こんなに毎日ヨガをやっているのに、なんで私、肩が凝っているんだろう、痛いところが治らないんだろうと、ずっと悩んでいました。自分の知識が浅いのか、それとも練習の質が悪いのかって。
飲食業は諦めて、「身体のケア」に焦点を絞って次のステップを考えていたとき、何かヒントはないかとネットやSNSを検索していました。そして出会ったのが骨格ベクトレ。そこに私が求めていた答えがあったんです。
──吉田さんにお話をうかがうまで、私は骨格ベクトレの存在を知りませんでした……
吉田:インストラクターの養成講座がスタートしたのが5、6年前ですからね。とても新しいメソッドです。関西在住の身体を熟知した施術家とインストラクターの女性二人で立ち上げたものです。
身体の土台は骨格ですよね。でも骨格の構造って20歳くらいから老化が始まり崩れていくんです。骨格ベクトレは骨格を正しい位置に戻して整えてあげることで、使われるべき筋肉が自然に正しく使われるようになることを目指しています。
私がこのメソッドでいちばん面白いなと思ったのは「重力を味方につける」というところ。大体のトレーニングって「引き上げる」ことに注力した「重力と戦う」ものじゃないですか。でも骨格ベクトレは、重力を味方につけられる本来の人間としての骨格構造を取り戻すことを目標としているんです。
──重力を味方につけるとは?
吉田:地球上にいる限り、重力は私たちにとって切り離すことができないですよね。上から「重力」がかかれば、同じだけの力が下(地面)から返ってくる。この力は押したら返ってくる力、「反力」と言います。その反力を使えば、身体は自然と引き上がります。だからこの重力線上にきちんと立つことが重要なんです。でも骨格が少しでもズレていてきちんと立つことができなければ、引き上がらない。その骨格を本来あるべき姿に戻す、「引き上げる」のではなく、「引き上がる」構造へ戻す、というのが骨格ベクトレというメソッドの目指すべきところです。
骨格が正しく整えば、自然と筋肉が引き上がる
──骨格が整うと筋肉がきちんと働く……確かに私も骨のことを考えずに筋トレやストレッチをしていましたね。
吉田:たとえば腹筋をすると、首が痛くなることがよくあります。それは腹筋を効かせたいのにそこの骨格が崩れてしまっているから。まず骨格が正しい位置に戻れば、自然と正しく筋肉が使えるポジションに入ることができるわけです。
5kgの重さがある頭を支えるために人間の背骨はS字にカーブ(S字湾曲)しています。このS字カーブを手に入れたから、人間は二足歩行できるようになりました。首が前弯(ぜんわん)でつまりちょっと反っていて、胸椎は後弯(こうわん)でつまり丸くなっている、そしてまた腰はちょっと反っていて(前弯)、そして仙骨はちょっと丸く(後弯)なっています。このS字のカーブを保ちたいのですが、大体の人が胸の後ろの背骨がまっすぐになってくるんです。まっすぐになると頭が支えられなくなる。それで首や肩が痛くなるんですね。まずは胸椎を丸くする、それがこのメソッドの第一歩なんです。
サロンでの対面パーソナルセッション(対面施術)は75~90分。トライアル価格は15,000円(お得な回数券あり)。
──スマホの見過ぎでストレートネックになっている人も多いと聞きます。
吉田:現在はスマホでゲームして遊ぶ子どもも多いから、じつは骨格が崩れ始める年齢が早まっているように思われます。体操教室に通っている子どもに骨格ベクトレのケアをしてあげたら、バク転できなかった子がバク転できた、格段にパフォーマンスが上がったという例もあるんですよ。
──骨格ベクトレのインストラクターの資格を取るのは大変でしたか?
吉田:インストラクターの養成講座を受ける人の大半が、私のように長年ジレンマを抱えてきたヨガやピラティスのインストラクター。まずは知識と技術など基本的なことを半年かけて学びます。それを修了すれば卒業できるのですが、さらに骨格について深堀りするために継続して学ぶことができます。講座は基本オンラインで知識と技術を学んで、月に2回対面セミナーが東京と大阪であります。現在東京のメンバーは100名ほど。学び切ったなと思ったタイミングでみんな、卒業していきます。私は半年の基本コースから継続して2年間、現在も学んでいます。
──家で簡単にできる骨格ボディケアなどありますか?
吉田:5分間、いや2分でもいい。寝る前や起きたとき、気づいたときに枕やクッションを抱いて丸くなる。これは胸椎の後弯を取り戻すためのケアです。
家でもできる骨格ボディケア。バランスボールの代わりに枕やクッションで代用OK。