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アジア7か国におけるホワイトカラー人材の市場動向、新規求人数はインドを除いて前年水準を下回る

2024.07.23

タイ:日系自動車メーカー2社が生産中止を決定、ローン審査厳格化が消費活動にブレーキ

<JAC Recruitment タイ法人 社長 ガヴィン・ヘンショー 氏>

求人数前年同期比:71%

求人数前期比(過去3年)

■国内情勢

2024 年1~3 月期のタイのGDP は 1.5%増となり、前期成長率 1.7%から減速しました。
ASEAN 自動車連盟(AAF)のまとめによると、1~4 月の自動車販売台数は、生産台数ともに前年同月比マイ ナス 2 桁以上となっており、4 月時点で9か月連続の前年割れを記録しました。こうした動向を受けて、スバ ル、スズキがそれぞれタイでの生産中止を発表しました。今後は日本や他の海外拠点からの輸入販売に転換する方針とのことです。

■企業の採用動向

4月のソンクラン連休、5月の大型連休に伴い、例年同様、この時期の採用の動きは緩やかになりました。個人債務上昇に伴って、ローン審査が厳格化されたことも影響して、車や家電などのタイ国内での販売量にもマ イナス影響が出ています。このような状況下で、増員目的の採用は一時的に停止している企業も一部ありますが、駐在員からの切り替え目的で豊富な経験や高いスキルを持ち合わせた人材をハイクラスポジション (MD/GM/製造現場の責任者等)で採用するニーズは現状も強くあり、引き続き、この募集ニーズは継続すると見込んでいます。なお、タイへの新規設立を計画する企業は引き続きあり、それに伴う採用の依頼も継続するとみられます。

■求職者の動向

求職者の登録状況は、昨年同期比とほぼ同様の数値となっています。就労ビザの取得も他の東南アジアの国に 比べて容易であること、また物価上昇に伴う賃金の上昇、昨今の円安の影響もあり、タイへの転職に関心を持 つ求職者も増えています。 なお即戦力を求める傾向には変わりがないため、業界・職種経験を活かした転職を叶える方が依然として多 く、未経験者応募可能の求人は少なくなっています。

インドネシア:政権交代前に先進国からの投資誘致を加速させる方向へ

<JAC Recruitment インドネシア法人 アソシエイトダイレクター 山下 冬馬 氏>

求人数前年同期比:77%

求人数前期比(過去3年)

■国内情勢

2023年11月の大統領選挙の結果を受け、2024年10月に現大統領のジョコ・ウィドド氏からプラボウォ・ スビアント氏へ政権が交代します。この政権交代前に海外からの投資誘致を加速させる目的からインドネシア は経済協力開発機構(OECD)への加盟を急いで進めています。仮にインドネシアが OECD に加盟することが できればASEAN初の加盟国となり、GDI の押し上げも期待され、併せて海外からは投資制度の整備等の効果が期待されています。

■企業の採用動向

IT、FMCG、ロジスティック、エネルギー分野は引き続き好調で採用活動を強化しています。これに対して製 造業は積極的に採用活動を進めていく企業と採用活動を控える企業に分かれています。ジャカルタ近郊の工業 団地地域では最低賃金の上昇が企業経営を圧迫し、今までの経営方針を大きく変更する必要に迫られている企業も少なくありません。
また、EV をはじめとする新しいプロダクトの製造に関しては、最低賃金の低い地方に工場を建設することが 多く、インドネシアローカル企業が運営する新しい工業団地も地方に進出しています。
2024 年 10 月の政権交代を前に業績が好調な業界以外は、政権交代後の情勢を見極めて、今後の企業経営の判断をするとみられています。

■求職者の動向

インドネシア人求職者に関しては 4月の宗教ボーナス支給後活動が活発になりました。求職者の多くは 20代 後半から 30代前半のいわゆるジュニア人材でインドネシアの好景気を背景に給与・待遇アップを期待しての 転職活動となっています。30代後半からの管理職層に関しては登録数こそ多いですが、10月の政権交代後の 変化を見据えて慎重な活動となっています。
日本人求職者は変わらず 20代後半と50代後半の登録数が多いです。また、希望勤務地をインドネシアのみに定めず、ASEAN 内で活動を行ない、同時に複数国のポジション選考を受ける傾向があります。

ベトナム:経済状況が回復。下期にかけてのさらなる経済成長が期待される

<JAC Recruitment ベトナム法人 Regional Director トゥ・ハー・グエン 氏>

求人数前年同期比:75%

求人数前期比(過去3年)

■国内情勢

ベトナムでは憲法上、序列 2 位に位置する国家主席が新たに選出されました。最高指導部の辞任が相次ぐ中で の就任となるため、今後の動向が注目されます。
ベトナム統計総局が発表した情報によると 2024年 1~6月期のGDP 成長率は 6.42%増となり昨年同期の 3.72%増から大幅に増加しました。ベトナム経済の回復基調が見て取れる結果となっており、4~6月期のGDPは6.93%増とここ10年内で2番目に高い増加率となっています。海外直接投資(FDI)も増加してお り、日本はシンガポールに次ぐ二番目の投資国となっています。このことからも引き続きベトナムマーケット は日本からの注目度が高いマーケットであることがわかります。

■企業の採用動向

1~6 月期における労働力人口の失業率は 2.27%となり、コロナウイルスのパンデミック下にあった 2021 年 7~9 月期の 3.72%に比べると労働市場も回復基調にあります。労働需要の大部分は労働集約型産業にあり、 生産受注が増加したことで製造業界が昨年直面していた世界的な不況の影響を少しずつ抜け出しつつあること がうかがえます。
労働者の流動性が高くなる4~6 月期は例年求人数も増加する傾向にありますが、今年も同様のトレンドがみ られます。しかし、採用を希望する企業が増えるということは、採用の競合となる企業が増えることを意味す るので、面接等の選考実施時に自社の魅力付けを行ない、求職者から選ばれるように工夫していくことが必要となってきます。

■求職者の動向

例年通り求職者の流動性が高く、多くの候補者が新しい機会を求め転職活動をしています。ただし、フリーラ ンスや起業など就業形態の選択肢も増えてきており、候補者が仕事選びに際して、より慎重になっている印象 を受けます。もともとベトナム人は学習意欲が高い方が多いため、教育・研修など企業に属して働くことのメ リットをしっかりと伝えていくことが採用成功のカギとなりそうです。
日本人求職者数は 4~6 月期に入り増加してきており、現地化を目指す企業にとっては追い風となる可能性があります。

韓国:2024年経済成長率展望上方修正、生成AI+半導体への投資が加速

<JAC Recruitment 韓国法人 社長 加藤 将司 氏>

求人数前年同期比:81%

求人数前期比(過去3年)

■国内情勢

4~6月期は、SKハイニックスが生成AIブームの影響を受け、業績を上方修正。2028年までに主に HBM (High Bandwidth Memory、広帯域メモリー)の領域に12 兆円を投資するなど好調です。サムソンはパウンドリー工程ロードマップを公開し、GAA 技術の工場運用を目指しています。ただ全体の景況感から言え ば、韓国の雇用市場は非常に厳しい状況。雇用労働省の雇用保険常時加入者を見ると、 40 代と 29 歳以下の 若年層は毎月、前年同月を下回っています。今年に入ってから4月までに未払い賃金の規模は前年同期に比べ て約4割も増加。急速な少子化や、急上昇した最低賃金の負担を企業が負いきれていないケースが多いため、 政府も少子化対策などを包括した人口戦略企画省を新設するなどして対応しています。

■企業の採用動向

4~6月期は生成AI関連、特にHBM関連の企業からのエンジニア需要が急増しました。ただ同業他社も同様に好調なため、先行投資フェーズの増員ニーズも変わらず増えています。また、日系企業からの求人は日本語 スピーカーを求める声が多い状況ですが、依然として若手人材が少ないため、採用が難しくなっているのも変 わりません。自動車関連業界、二次電池関連業界よりも、半導体業界、生成 AI 周辺の企業は今後数年は好調と予想されており、採用拡大計画という話も聞かれます。

■求職者の動向

自動車業界より、半導体業界が目立った4~6月期でした。特に半導体業界経験者の営業職人材の採用ニーズが増えており、取り合いになっているため、条件を求めて動く候補者も増加しています。日系企業は採用市場 を意識して、条件を上げてきている企業と、そうでない企業との差が大きくなってきています。一方で、若手 はクオリティオブライフを重要視する傾向も強く、あまり営業のポジションに積極的ではありません。

インド:売り手市場により採用活動が長期化傾向に

<JAC Recruitment インド法人 社長 小牧 一雄 氏>

求人数前年同期比:138%

求人数前期比(過去3年)

■国内情勢

2024年4月は5年に1度となるインド総選挙が実施され、14億人の国民が参加することから祭典とも言われました。総選挙の閣下は与党・インド人民党(BJP)を中心とする与党連合が過半数を維持し、モディ首相 が3期連続で当選したことにより再び政権を握ることが確実となりました。経済は上向いているものの、引き 続き「Make in India」を進め、雇用の創出が今後の大きなテーマとなっています。

■企業の採用動向

モディ首相が当選したこともあり、インドの経済成長率は着実に8%に近づいて推移すると見られています。 引き続き、直接投資が増え、経済も右肩上がりが予測されていることから、製造業を中心に増員傾向にあります。特に新規進出企業の増加、また工場の拡張による製造ラインの増設や組織強化のための増員採用が目立ちます。 一方で、毎年多くの企業が頭を抱える昇給のタイミングを終え、より高い年収を得ようとする社員の退職により、採用活動を実施せざるを得ない企業も多く、増員している中でさらに退職者が続出し、事業に影響をきた すような企業も散見されました。

■求職者の動向

ローカルの採用マーケットは4月以降の評価期間に求職活動をする候補者が活発化します。自社の昇給率と転 職先の昇給率を比較検討しながら少しでも良い条件で転職しようとするこの時期は、企業にとって非常に頭の 痛い時期になります。 日本人の求職者については前年よりも海外就業を検討する数が増えていますが、インドのみに絞るということではなく、他の国も検討しながら、給与などの条件と海外就業を通して得られる経験をしっかりと考慮しなが ら、時間をかけてでも納得いく就職先を見つけるといった傾向にあります。

日本:成長分野で即戦力人材の採用意欲が旺盛、賃金上昇により人材流動化が加速

<JAC Recruitment 海外進出支援室 室長 チーフアナリスト 佐原 賢治 氏>

求人数前年同期比:91%

求人数前期比(過去3年)

■国内情勢

国内では製造業の設備投資が活発で、またインフレによるコスト高も価格転嫁が進んだことから大手製造業を中心に企業の景況感は概ね良好です。日経平均株価は 4 月に米国の利下げ期待の後退に伴う世界的な株安の影響で落ち込んだものの、その後ふたたび上昇に転じ、6月末には4万円に迫る勢いでした。

為替は、期初(4 月 1 日時点)の 1 ドル=151 円から終始下落基調で円安が進み、6 月末に 160 円を超えまし た。その影響もあり輸出額は5月に前年比13%増を記録するなど上昇を続けていますが、一方で石油関連の 輸入価格は上昇しており、物価への影響が危惧されます。 また自動車メーカーの不正発覚に伴う生産の一時停止や、慢性的な人手不足による建設、物流などの遅れは景 気のマイナス要因となっており注視が必要です。

■企業の採用動向

2024 年 5 月の有効求人倍率(パート除く)は 1.19倍。3か月前となる 2 月の1.31倍からは0.12 ポイント低下しました。一部の大手企業による人員整理や、各社で賃金の見直しが進んだことで、より好条件の企業へ と転職しようとする動きによって求職者が増加したのに対し、価格転嫁が進まない中小企業などで求人の手控 えが起きていることが原因です。
4~6月に当社に寄せられた新規求人申込数(日系海外事業要員募集)は、前期比 99%と横ばい。大企業では 完成車メーカーやその 1 次サプライヤーから新エネルギー車関連の求人が、また自動車向け、半導体向けの部 素材を扱う企業からは海外営業のほか生産・品質管理、プロセスエンジニアなど多様な求人が出ています。

一 方、中小企業からの求人の総数には依然として伸びが見られません。その他、グローバルでの人的資本管理や組織のグローバル化を目的とするグローバル人事職、海外の機関投資 家などから資金調達を行なうための IR 職、海外拠点のガバナンス強化を目的とする監査や ERP(統合業務シス テム)導入の要員を求める募集も活発に行われています。

■求職者の動向

4~6月の新規求職者(海外勤務経験を有する登録者)数は、前年同期比で123%と大幅に増加しました。人 材の流動化を奨励するような報道や広告物も多く、また実際に転職をした人の中でそれによって年収が増加した人の割合が増えていること、さらには外部人材を獲得するために報酬制度や福利厚生、働き方の見直しを行なう企業が積極的にそれを広報していることから、人々の転職に対する関心や意欲は高まっています。

関連情報
https://corp.jac-recruitment.jp

構成/清水眞希

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