場合によっては病院に行ったほうがいいかも
ただ、少し気をつけてほしいことが1点。興味深い話題を見つけました。
「貧困妄想」。皆さんはこの言葉を聞いたことがありますか?
しっかり収入もあるのに、貯金もそれなりにあるのに、お給料が少なかったから生活ができないというように必要以上に金銭面で心配してしまう症状のことを言います。これだけ見ていると、貧困妄想は周囲から見ると、ただお金が欲しい方のように見えてしまいますが、うつ病の症状である「微小妄想」のひとつとも考えられています。
必要以上にお金を出し渋り、生活の楽しみを犠牲にしてでも、お金が貯まることに喜びを感じてしまうようなケチな人とは違い、本人はお金があるのにもかかわらず、心の底から「お金がない」と思い込んで「お金がないこと」に悩んでいます。
私は精神科医ではないので、今回の相談を受けて旦那様の状態を診断できるわけではありません。しかし、旦那様の状態がうつ病からやってきているのであれば、夫婦の話し合いで何とかするのは非常に難しいでしょう。やはり、このような場合には速やかに最寄りの精神科などの受診をおすすめします。
まさかうちの夫が……とためらってしまうかもしれませんが、超ストレス社会の現代においてうつ病は誰もが発症リスクを抱える精神疾患となっていますので、恐れず受診してほしいです。仮に何ともなかったとしても何かしらのアドバイスをもらえるかもしれませんし、向き合い方の参考になるかもしれません。医師に相談して解決するならそれにこしたことはありませんから、ぜひ一度検討してみてくださいね。
客観的に見て収入に余裕があるにもかかわらず「お金がない」なら、問題は別の場所にあるかも。いずれにせよ夫婦での話し合いが必要だろう。
夫につられて思い詰めないでほしい
夫婦の収入や生活に関するお悩みを受けると、SNSでは「奥さんも働かないと!」「旦那の収入に甘えるな!」といった的外れな感想が飛んでくることがあります。お金の問題って夫婦の間柄でも話し合いづらい話題のひとつですし、共働きしているならなおのこと話し合いの時間を設けること自体が難しいかもしれません。
もしも、話し合いなどが難しい場合や相手が「お金がない不安」に固執している場合には、当面の財布を分けたり、お金の使い道や将来設計をアナタがリードしてあげたりなどしてもいいかもしれません。
いただいたお悩みだけではなかなか解決法をバシッと断言することはできませんが、それでも私から言えることは、「あまり思い詰めないように」ということ。アナタの人生はアナタのものです。
今の生活が苦痛であるなら、それをストレートにぶつけてみるのもいいでしょう。それでも相手が変わらないなら、それはもう諦めるか、引き続き状況の改善を図るか、のどちらかしかないと思います。
お悩みが無事に解決することを祈っています。
犯罪学教室のかなえ先生
元少年院の先生で、犯罪心理学や教育犯罪学の知見からニュースなどを解説するVTuber。近著に『もしキミが、人を傷つけたなら、傷つけられたなら』。
©夢乃とわ SDイラスト/紀羅わたり
※「教えてかなえ先生」は、雑誌「DIME」で好評連載中。本記事は、DIME8月号に掲載されたものです。