バブル景気の真っただ中だった1988年に一番人気だった資格は「宅地建物取引主任者」。通称〝宅建〟と呼ばれて現在でも人気が高い資格だが、当時の本誌に書かれていた人気の理由を読んで驚いた。当時は地価や株価がどんどん高騰し、土地を買って転売することで確実に利益を得る不動産最強時代。そんな風潮が背景にあり、宅建が人気な理由として「先立つモノがない庶民は、せめて資格というソフトで、ブームに便乗できる」と述べられていたのだ。なかなか辛辣な考察だが、宅建は現代でもつぶしが利く資格。当時取得した人は悪くない選択なはずだ。
一方当時は「英文タイプ」という資格も人気だったが、今やタイプライターも存在しなければ、資格自体もなくなっている。ほかにも今は全く役に立たない資格もありそうだ。
せっかく取得するなら、やはり30年後も役に立つ資格がいい。だが現在人気の資格だって、この先本当に役に立つかは専門家も予想できないのだ。
タイプライターは現代ではもはや入手困難。時代は移り変わる……。
「記録式電卓検定」は簿記とは違い、電卓の操作技能を測定する。
受験はもちろん新卒採用で「TOEIC」や「漢検」の取得が有利になる場合多数。
宅建は土地を転がす人ではなく、不動産購入の際に重要説明を担う役割などを持つ。
取材・文/高山 惠 イラスト/フジノマ