好きを仕事にして成功させるにはどのような考え方が必要ですか?
ラジオのレギュラー番組を始めたばかりの玉川さん。最近は脳内意識の7割がラジオに傾倒しているとか。そこで今回はラジオが好きで音声配信サービスを立ち上げた井上佳央里さん(Radiotalk代表取締役)を取材。ラジオの話などを語り合ってもらった。
社内の起業制度で仕事を始めるのもアリ!好きなことなら逆境の時にもがんばれる
玉川 ラジオ番組の話をいただいた時には少し戸惑ったのですが、選曲やトーク内容を考えるところは、テレビ局のディレクター業と共通する部分もあり、今はすごく楽しいです。そんなラジオの魅力に井上さんが出会ったきっかけは?
井上 『爆笑問題カーボーイ』というラジオ番組です。爆笑問題のふたりが楽しそうにおしゃべりをしているのが、こんなにおもしろいんだなと。日大芸術学部の放送学科に入って、ラジオ制作をやってみたいと思うようになりました。
玉川 ふたりの番組で特におもしろいと感じたのはどんなところですか?
井上 シンプルに笑えるだけでなく、リスナーからの投稿をもとに笑いを広げるという部分です。自分たちのおしゃべりに、爆笑問題のふたりが入ってきてくれるような感覚を抱きました。
玉川 私がTOKYO FMからラジオ番組のオファーをいただいた時には「ラジオは1対1です。心理的な距離が近いので、語りかけるように話してください」と言われました。自分のラジオ番組を聴き直すと、映像がない分、想像力が入り込む余地が大きいと感じます。情景を想像しながら小説を読む感覚に近い。一方、テレビは音も映像もあるので、視聴者は受け身の感覚が強くなりますよね。
井上 そう考えるとラジオは、小説とテレビの〝いいところ取り〟ですね。ラジオ番組の玉川さんはリスナーと一緒に前を向いている感覚があります。
玉川 僕はテレビが好きでテレビ局に入社しました。井上さんはなぜラジオ局でなく、インターネットサービスのエキサイトに入社したのでしょう?
井上 ラジオのような楽しいおしゃべりがビジネスになる確信はありましたが、エキサイトに入社した2012年当時はラジオ産業が低迷している時期。ビジネスモデルをつくるのが難しいかなと。その後、2017年になると、音声メディアをより気軽に聴けるスマートスピーカーが登場しました。その時に「SNSの感覚で、気軽におしゃべりを投稿するサービスができそう」と考えたんです。
ちょうどその頃は米国の音声広告市場が急成長していたタイミングでもあり、当時の社内起業制度を使って音声配信サービスのRadiotalkを立ち上げました。