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大人気で一時品薄に! DAISO初のトレーディングカードゲーム「蟲神器」を生んだ100円以上の価値とこだわり

2024.07.20

「100円以上の価値」がSNSで話題に

NIZAさんは、『蟲神器』というネーミングにもこだわりが詰まっていると話す。

「『蟲神器』という名前は、世界観を担当したクリエイターが考えてくれました。和風の3種の神器を連想させるような名前を意識しています。また、濁点のある名前のほうがお子様ウケするだろうとの発想で考えたと聞いています。特に男の子に受けているようなコンテンツをいろいろ見ていくと、濁点が入ったタイトルのものが多いんです。そこから『蟲神器』というタイトルを採用しました」(NIZAさん)

こうした苦労を乗り越え誕生した『蟲神器』は、発売後に在庫が安定しないほどのヒット商品になった。

「2022年の11月に第1弾を発売し、ありがたいことにあっという間に在庫がなくなってしまいました。DAISOでTCGが100円で買えると、びっくりされた方がとても多かったようです。2023年の4月頃になるまで、在庫が安定しないぐらいの売れ方をしていましたね。我々としては、そもそも『100円の商品』だという感覚で作っていないんです。あくまでこれは1個のコンテンツとして、自信を持って出せるものを作っています。お客様も、100円以上の価値を見出していただけて、口コミがどんどん広がっていったように感じます」(扇さん)

『蟲神器』には「公認サポーター」という制度が設けられており、ユーザー自身が大会を主催できるという。

「ユーザー同士が遊ぶ場として、お客様が大会を開催しています。ユーザー自らがイベントを開催することは、このような仕事をしていても なかなか体験できないことです。主催者や参加者からは『イベントを企画することで自信がついた』『ユーザー同士で話す機会が増えて積極性が出た』『全国に友達ができた』といった声も聞きますね」(西田さん)

ヒットの理由は〝100円の商品とは思えないほどのこだわり〟

公認サポーター制度では、開催者に対して特別なプレゼントも用意されているという。

「DAISOというのはショップであって、カードゲームをプレイする場所ではないので、遊び場を提供することができていなかったんです。そこに扇くんが入ってくれて、広めるために『公認サポーター制度』を取り入れるのはどうかと考えてくれました。お客様が大会を開いてくださったら、 非売品のプロモーションカードやバッジをプレゼントしています。某地域ではたくさん優勝している方が、バッジをジャラジャラと付けているといううれしい話も耳にします。プロモーションカードやバッジも、ある程度経ったらマンネリしないよう切り替えいますね」(西田さん)

『蟲神器』がここまでヒットした要因について、NIZAさんと西田さんは次のように考察する。

「やはり『DAISO初のTCG』ということが大きかったかと思います。TCGは、一部の人気ゲームを除くと、主要な売り場がトレーディングカードゲームショップだけになってしまっているため、なかなか初心者の方が購入するのはハードルが高いという課題がありました。それをDAISOで気軽に買えて、しかも1パック100円の価格で試すことができる。それが良かったんだと思います」(NIZAさん)

「私自身は、虫をテーマにしたこと、そしてシンプルで簡単であったことが要因だと考えています。そして、スターターキットで2デッキ入って100円。ブースターもキラキラ加工が必ず1枚入っていて、虫の生態系を遊びながら学べる点もヒットの要因だと思います。また、凝った世界観、個性的なキャラクター、無料のWeb漫画の配信など、さまざまな仕掛けが盛りだくさんであったことなど、総合的な要因もあったと思います。あとは、実際に遊んでもゲームバランスが良く、逆転要素もあり、奥が深い、そして運要素もある。ゲーム性の評価もいただいていると感じています」(西田さん)

最後に、扇さんと西田さんが今後の展望を語ってくれた。

「学べる要素を持つ『蟲神器』なので、教育機関や行政、各自治体の方々を含めた各方面にも、今以上の興味を持っていただけたらと思っています。そのために、『蟲神器』の魅力やおすすめポイントをホームページやSNSなどで公開する施策を予定しています。生物監修として入っていただいた伊藤年一先生のおかげで昆虫図鑑としての学習要素も詰まっているので、遊びながら知識が付くといったところをより強く打ち出していきたいです」(扇さん)

「私たちの想像よりも早く、『蟲神器』はどんどん成長していきます。TCGの運営としてはまだまだ未熟ではありますが、これからもユーザーの皆様、虫好きの方々、まだ見ぬ未来の『蟲主』たちが楽しめるコンテンツ作りに励んでいきたいですね」(西田さん)

取材/DIME編集部 文/久我裕紀

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