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ライバル企業に転職した会社員の「業績退職金がゼロになった事件」の真相

2024.07.21

こんにちは。

弁護士の林 孝匡です。

宇宙イチわかりやすい法律解説を目指しています。

会社の情報を持ち出してライバル会社に転職した社員の事件です。

ーー 裁判所さん、鉄槌を!

裁判所
「業績退職金ゼロでOK!」

525万円の退職金が吹き飛びました、合掌。(東京高裁 R5.11.30)

以下、わかりやすく解説します。

※ 実際の判決を基に構成
※ 判決の本質を損なわないようフランクな会話に変換
※ 争いを一部抜粋して簡略化

登場人物

▼ 会社

投資事業有限責任組合財産の運用などを行なう会社

▼ Xさん

・投資職として投資グループに所属
・入社から約8年で退職して別会社に転職(以下「Z社」)
※ Z社はY社のライバル会社(プライベートエクイティ投資等を行なう会社)

入社時の契約

―― なぜ、退職金をゼロにしたんですか?

会社
「我が社の労働契約書には競業避止義務条項があります。『退職後1年間は、競合もしくは類似業種であると会社が判断する組織への転職をしないことに同意する」という内容です。さらに、退職金規程には「競業避止義務違反が認められた場合には、退職金の全部または一部を支払わないことがある」旨の条項があります。この条項を根拠にして退職金をゼロにしました」

なお、会社は、Xさんの業績退職金をゼロにしましたが、基本退職金の約178万円は支払っています。温情でしょう。

Xさんのチョンボとは?

Xさんは、Y社に入社してから約7年後に転職活動を開始します。その中で、以下のチョンボをやらかしてしまったんです。


・会社が投資検討先として選定していた15社に関する資料を印刷
・Xさんが関与した案件を含む投資先への提案資料、面談記録等を1000枚以上印刷
etc.


これらについて、地裁は「少なくとも一部分については社外に持ち出す目的で印刷した」と認定しています。

上司と面談

それから約2か月後、XさんはY社に退職の意向を伝えました。その6日後、Xさんは管理グループ長と面談をします。

管理グループ長
「あなたは競業避止義務を負っています、競業避止義務に違反すると退職金の一部または全部が支払われなくなります。その内容が書かれたこちらの合意書にサインしてください」

Xさん
「……。合意書に定められた競業避止義務条項には応じられないのでサインできません」

退職

そしてXさんは退職し、すぐにZ社へ転職しました。先ほどの管理グループ長から「転職先が決まったら教えてほしい」旨を言われていたため、Xさんは転職先がZ社であることを伝えました。

その後、Y社はXさんに対して前述のように基本退職金約178万円は支払いましたが、業績退職金の約525万円を支給しませんでした。そこで、Xさんは業績退職金の支払いを求めて提訴。

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