複業人材を登用する潮流は、民間企業に限らない。全国の自治体でも専門家を複業人材として登用し、課題解決を進めている。そんな自治体の複業登用を後押ししている大林尚朝さんに、近況を伺った。
Another works
代表取締役
大林尚朝さん
Another worksを2019年に創業。複業したい個人と企業をつなぐ総合型複業マッチングプラットフォーム「複業クラウド」(登録者数は約8万人)を運営している。
無報酬で始められるので複業の第一歩におすすめ
Another worksが2020年に始めた「複業クラウド for Public」は、地方創生を推進する複業マッチングプラットフォーム。47都道府県・累計130自治体の複業人材登用を支援してきた。登用の背景には地方自治体の人材不足がある。
「民間企業とは異なり、自治体は公務員を一括採用するため、雇用の柔軟性がありません。約3年で異動するジョブローテーションによって専門スキルが習得しにくいとの不満から、人材が定着しない課題があります」(大林さん)
自治体では特にPRやDXのスキルを持つ人材が不足しており、求められることが多い。なお「複業クラウド for Public」は社会貢献を目的とするプロボノ(無報酬)の案件が半数以上を占め、これが働く側の利点にもなっている。
「行政の仕事は週1回の打ち合わせがほとんどで、ほかの仕事への支障はほぼありません。複業禁止の会社に所属する人でも、プロボノだから参加可能です。複業の初心者は行政との仕事から始めるのをお勧めします」(大林さん)
最も求められている人材はマーケター。DX推進や観光計画策定などを含むエグゼクティブ・コンサルの募集も多い。広報分野はSNSの運用、炎上対策、マニュアル作りなどが含まれ、民間企業での知見が高く評価されることが多い。
まずは自治体からの依頼を「複業クラウド」に登録する約8万人に配信。応募した登録者の中から、書類選考とオンライン面接を経て登用者が決まる。有償と無償の案件があり、後者の場合は週1回のオンラインミーティングに参加するケースが多く、負担は軽い。