いざ複業を始めてみたはいいものの、想定外の事態に陥ってしまうことも少なくない。読者が「こんなはずではなかったのに……」という思いをせずに済むように、複業の実践者3名を取材。3者3様の複業経験をもとに、大切にしたい心構えや失敗談などについて本音で語り合ってもらった。
TYPE A【企業業務】×【企業業務】型
【事業開発企業勤務】×【IT企業勤務】
A太郎さん
2つの会社に正社員として所属し、コンサル業務と開発業務に携わりながら個人事業主としても活動。現在、会社Xは8割、会社Yは1割、個人事業は1割程度の比率で各業務に取り組む。
TYPE B【企業業務】×【個人事業】型
【人材会社勤務】×【起業塾業務や執筆業】
B子さん
人材サービス会社Zで平日週5日、9:00〜19:00まで正社員として勤めながら、起業塾などでの複業を実践。1週間に費やす時間の割合は会社勤務8割、個人事業2割(朝/帰宅後/週末)。
TYPE C【個人事業】×【個人事業】型
【デザイン業】×【エンジニア業】
C作さん
個人事業主6年目。デザインやブランディング、エンジニアといった業務に取り組む。最近は週1日程度でペットグッズの企画・制作も開始。業務の比率は年によって変動があって様々。
AGENDA【1】皆さんの複業はどんなところが〝おいしい〟?
B子 複業して大きかったのは、いろんなチャンスをいただいたことです。本業にも生かせるスキルが身に付きました。ほかの組織で働いてみたからこそ、今の職場の良さも再認識できています。
A太郎 視野が広がるのは大きいですよね。私の場合は、2つの会社に正社員として所属することで、人脈などのネットワークを広げられるのが、おもしろいです。
B子 収入が保証されているのも、正社員として複業するメリットとしては大きいです。収入面の不安を感じずに済むからこそ、本当にやりたい仕事ができる。正社員として所属する会社で意に沿わない仕事をしなければならなくても、満足感は複業先で得られますから。
C作 私は、ひとつの会社に縛られないことで、自分が本来やりたかった業務を中心に、時間を割けるようになりました。「リスク分散」という話で言えば、個人事業主として請け負っていた仕事のクライアントがコロナ禍に倒産してしまい……。ひとつの仕事に専念するのは、リスクが高いと感じています。それと正直に言って、個人事業主として複業するのはメリットが少ない気がします。今は都心部で徐々に、会社に所属しながら業務委託で好きな仕事をしてもOKのところも増えていますし。
A太郎 個人事業主として複数の仕事をしたほうが、節税しやすいというのはあると思いますけど。
C作 確かに。でも、税金的な話で言えば、個人事業と会社員の掛け持ちで、どちらからも控除を受けられるほうがいいですよ。
A太郎 そうですね。会社で給与所得控除を受けながら、個人事業主として経費の控除を受けるのがメリットは一番大きいかも。