知人の手伝いが気づいたら複業に。前職の経験をフル活用
【企業業務】×【企業業務】型
【プロジェクトマネージャー】×【採用人事】
「2つの会社で複業を行なっている」と、質問に前向きな笑顔で答えてくれる女性。話を聞くうち、その明るさが複業の両立に大きく影響していることもわかってきた。彼女が語る「時間の有効活用法」「指示の出し方」の秘訣とは?
クラス 事業企画部
野田歩美さん
前々職の大手アパレルではスカウト型採用を駆使し人員充足を達成。前職の人材業界では採用コンサルとして講演も行なうプロだった。
未経験の仕事も楽しみ、複業先の指示に余白を残す
人材紹介の企業で採用コンサルを務めていた時、起業する知人から、人事・労務に関し助言を求められたと複業の始まりを語る野田歩美さん。何度も答えるうち「手伝ってもらえませんか?」とオファーされた。知人を助けたいという思いが複業につながったという。
「複業先はリフォームなどを行なう会社なので、事業に知見はありません。最初は人もいなかったので、経理や見積もり作りなど何でもやりましたよ。一方、クラスでは4つのプロジェクトに携わっていて、中には家具の仕入れなど未経験だったものもあります。なぜかちょくちょく経験がないことも頼まれるんですが、できることの幅が広がるので楽しんでます(笑)」
頼まれれば人助けも、未経験のこともやる。複業にはこんな前向きな捉え方が必要なのだろう。
そんな野田さんが大切にしているのは時間の使い方なのだとか。
「限られた時間で両方の仕事を終えるには、集中力を高めることが大切です。そのために必要だったのは『メリハリ』でした。何かを同時進行させ、PCのブラウザーがいくつも開いている状態より、ひとつの仕事に集中するほうが時間を効率的に使えます。休息時は頭を空っぽにします。仕事を終えたら会社のチャットツールは見ず、ピラティスなどで体を動かすと、仕事に向き合う時に集中できます」
自己の成長もあった。彼女はクラスで働いている時、複業先の仕事は一切しない。だから複業先の関係者には、目の前の仕事の指示を出すだけでなく「これが実現したいこと、優先順位は……」と自分がいなくても関係者が困らないように指示を出す。
「私は複業先の皆が〝自分で考える余白〟を持てるように指示を出しています。余白があると自分で考えて動く癖がつくんです。また、自分の考えを仕事に反映できるから働きがいも感じてくれます」
つきっきりになれないデメリットをメリットに変える、そんなポジティブ思考が複業を支えていることがよくわかる。
ただし、最後に野田さんはこんな助言もしてくれた。
「私、本業も複業も、引っ越しが多い2〜4月が忙しいんです。皆さんは繁忙期が重ならない複業を選んだほうがいいですよ(苦笑)」
クラスの仕事は10~19時だが、前後2時間ずらすことができる。このため複業先の会議や採用面接を朝9~10時や18~19時に入れることもでき、それが本業と複業を両立するうえで助かっている。
【クラスプロジェクト マネージャー】全収入の約8割
サブスクで家具・家電を提供。オフィスや住宅を替えるたびにこれらを買い替えたら無駄が出る。野田さんにとって「サステナビリティーを真剣に考える理念が魅力だった」とか。
【インテリア施工会社 採用人事】全収入の約2割
リフォーム、賃貸物件の原状回復工事などを行なう。事業は今も順調に拡大を続けており、野田さんは「採用ができればもっと多くの現場を請け負えるんですよ!」と意気込む。
〈複業で成功するコツ〉〝マルチタスク〟をしようとしない
複業開始後「仕事を同時並行でこなすことが効率的」と思っていた野田さん。しかしこれをやめ集中力を高めると「今のほうが余裕があり、週に3日ピラティスに通えています」。
取材・文/夏目幸明 撮影・編集/廣 健吾