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OJTは人材教育の方法の一種で、効率良く人材を育てたいときによく用いられています。意味や実施方法が分かると、新入社員や従業員の教育に役立ちます。OJTの重要性やメリット、具体的な進め方などを見ていきましょう。
OJTとは?意味や重要性をチェック
OJT(オージェーティー)は、さまざまな企業で従業員の指導に使われている方法です。言葉の意味や重要性、OFF-JTとの違いなどを見ていきましょう。
■アメリカが起源の指導方法のこと
OJTは、On the Job Training(オンザジョブトレーニング)の略称です。以下の4段階職業指導法をベースに指導し、特定の分野で活躍できる人材を育てます。
- Show:業務をやってみせる
- Tell:説明する
- Do:業務をやらせてみる
- Check:確認し追加指導をする
第1次世界大戦時のアメリカで、大量の軍人や作業員を育成する必要に迫られたことがきっかけで、考え出された方法です。人材を効率良く教育する方法として、高度経済成長期以降に日本でも実践されるようになりました。
■多くの企業が実施しているOJT
OJTは、日本の多くの企業が実施しています。厚生労働省が行った2022年度の調査によると、従業員にOJTを実施している事業所は約63.0%です。対象者の内訳を見てみましょう。
- 正社員のみ実施:39.2%
- 正社員と正社員以外、両方に実施:21.0%
- 正社員以外のみ実施:2.8%
この結果から、人材教育におけるOJTの重要性を認識している企業が多いことが分かります。正社員以外にOJTを実施している企業もあり、雇用形態に関係なく従業員のスキル向上を求める企業も一定数あると明らかになりました。
■OFF-JTとの違い
OFF-JT(オフジェーティー)は、Off the Job Training(オフザジョブトレーニング)の略称です。日常の仕事を通じて教育を行うOJTとは違い、通常の業務から離れた時間や場所で教育をすることを指し、『職場外研修』とも呼ばれます。
職場から離れた場所でセミナーや研修を通じて、通常業務では取り入れるのが難しい知識や情報を得るのが目的です。
例えば、新入社員向けのビジネスマナー研修や、管理職になる人向けのマネジメント研修などが該当します。一般的には、人事部や人材開発部などが企画し、講師や場所の選定や手配などをします。
OJTを実施する目的
OJTは指導される側と指導する側、両方に良い効果をもたらします。OJTを実施する企業の目的を見ていきましょう。
■新入社員の育成や能力の向上
OJTの大きな目的の一つが、新入社員の能力を向上させることです。人手不足に苦しんでいる企業では、即戦力となる人材を確保したいと考えています。
OJTを実施するとスキルが身に付きやすく、早期の戦力化が可能です。一般的には、先輩社員が新人や新入社員に対し、仕事の進め方や業務内容を理解してもらうために実施します。
指導を受ける側の職務遂行能力を高めるだけでなく、仕事に対する意識を高め、成長や自己実現への意欲を高める効果も期待できます。
■企業のパフォーマンス向上
OJTは新入社員だけでなく、指導する側をスキルアップさせる目的もあります。新人を指導するには、指導する側が仕事のノウハウや経験などを論理的に説明できなければなりません。
教えるという経験を通して、指導者自身に足りないものが見えてくる場合があります。指導者側の向上心を刺激し、新たなスキルの獲得を目指すといったポジティブな効果が期待できます。
OJTによって効率的に人材が育てば、結果的に企業全体のパフォーマンスの向上につながるでしょう。
OJTを実施するメリット
OJTは指導する側とされる側、双方にメリットがある方法です。企業の悩みや負担を解消する手助けにもなります。どのようなメリットがあるのか、見ていきましょう。
■個人に合わせた指導が可能になる
OJTは基本的に、上司や先輩がマンツーマンで新入社員を直接指導します。一度に大勢に教える研修とは違い、新入社員の特性などに合わせて指導できるのがメリットです。
理解の度合いや得意とする分野は、人によって異なります。新入社員の個性に合わせて接し方や教え方を変えると、効率よく教育できるでしょう。
一対一の関係ならば、状況に応じてプログラムの内容を変更するのも難しくありません。理解が不足している部分は丁寧に、得意な部分はより高度な教育をするというように内容を変えられます。
■新入社員の定着率アップにつながる
OJTを実施すると、新入社員の早期離脱を防げる点もメリットです。コストをかけて採用した人材がすぐに辞めてしまっては、人手不足が解消せず経営の悪化を招きかねません。
新入社員は『仕事が分からない』『失敗が怖い』という悩みを抱えがちです。OJTの実施で業務内容や仕事の進め方が分かれば、新入社員の不安が軽減します。
しっかりとスキルを身に付けることで仕事への自信が高まり、定着率アップにつながります。先輩がマンツーマンで指導してくれれば、壁にぶつかった場合もサポートを受けやすく、安心感を抱けるでしょう。
■従業員間のコミュニケーションが増える
OJTによって指導側と新入社員のコミュニケーションが活性化され、良好な人間関係を築けます。人間関係が原因で、仕事が嫌になってしまうケースは少なくありません。
円滑な関係を築くには、雑談や相談などをしやすい環境を構築することが大切です。従業員にとって、困ったときに職場で話せる相手がいるのといないのとでは、精神的な負担の大きさが違います。
業務上の悩みを誰にも相談できない環境では、働き続けるのが困難です。OJTによってコミュニケーションが活性化すると、働きやすい環境になり、従業員のモチベーションの向上にもつながります。