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人材採用における『カジュアル面談』は、企業と候補者の両方にメリットをもたらします。面接で話題にならない情報や本音を引き出せるため、採用のミスマッチが減るでしょう。カジュアル面談の目的や進め方のポイント、面接との違いを解説します。
カジュアル面談とは?面接との違いは何?
人材採用のプロセスに、『カジュアル面談』を取り入れる企業が増えています。一般的な採用面接とは、どのような点が異なるのでしょうか?カジュアル面談の特徴と意義を理解しましょう。
■企業と候補者の相互理解を深める場
カジュアル面談は、企業の採用活動の一環として行われている面談です。企業と候補者がラフな雰囲気の中で会話をし、互いへの理解を深めます。実施のタイミングは企業によって異なりますが、候補者が選考に進む前に行われるケースが一般的です。
『ダイレクトリクルーティング』の最初のタッチポイントとして、カジュアル面談を活用する企業も少なくありません。
ダイレクトリクルーティングとは、企業が候補者に直接アプローチする採用手法のことです。主にITエンジニアや幹部候補といった、採用難易度が高い職種・ポジションで導入される傾向があります。
■通常の面接との違いは「合否の有無」
通常の面接は、応募者の能力・経験・人柄などを評価するために実施されます。面接官から候補者に対して質問がなされ、候補者がそれに答える形が一般的です。話した内容は全て合否に影響するため、候補者は緊張感を持って臨みます。
カジュアル面談は、相互理解や意見交換に重きが置かれており、面談の内容は合否に影響しません。終始リラックスした雰囲気の中、対等な立場で会話を進めます。
転職に関心を持ちながらも転職活動を実施していない『転職潜在層』が参加するケースも多く、志望動機や転職理由に関する質問はなされません。基本的に履歴書や職務経歴書はいらず、服装も自由です。
カジュアル面談を行う目的
カジュアル面談は、採用難易度が高い職種・ポジションの採用活動に導入される傾向があります。企業は、どのような目的でカジュアル面談を実施しているのでしょうか?企業や候補者にとってのメリットを考えてみましょう。
■より多くの応募者を集めるため
企業がカジュアル面談を行う目的の一つは、より多くの応募者を集めることです。これまでは、求人に応募してきた人の中から自社に合った人材を選ぶ、『待ち』の採用手法が一般的でした。
しかし近年は、人手不足によって企業間の人材獲得競争が激化しています。他社に先駆けて優秀な人材を獲得するには、企業から人材にアプローチする『攻め』の採用手法を取り入れなければなりません。
カジュアル面談を行えば、転職顕在層はもとより、他社で働く優秀な人材との接点をつくれます。相手が直近の転職を希望していなくても、将来的に自社を転職先候補として検討してもらえる可能性があるでしょう。
■企業と候補者のミスマッチを防ぐ
もう一つの目的は、企業と候補者のミスマッチを防ぐことです。採用活動では、選考書類と2~3回の面接で候補者の人柄や能力を見極めなければなりません。
そのため、開示情報が少なかったり、採用担当者のスキルが不足していたりすると、自社に合わない人材を採用してしまう可能性があります。
相互理解に重きを置くカジュアル面談では、候補者の本音を引き出しやすく、書類では判断が難しい価値観や組織文化とのマッチ度を測れるのがメリットです。企業が等身大の情報を提供することで、候補者は自分に合った企業かどうかを判断しやすくなります。
カジュアル面談の事前準備や流れ
企業がカジュアル面談を設定する場合、どのような事前準備が必要なのでしょうか?単なる雑談で終わらせないためにも、当日の流れや面談のポイントを押さえましょう。
■カジュアル面談前にやること
カジュアル面談に参加する候補者は、必ずしも自社に転職したい人とは限りません。企業がスカウトした候補者であれば、企業理解はないに等しいと考えましょう。
スムーズな相互理解を促すためにも、自社の基本的な情報を事前に共有しておくことが重要です。候補者は基本情報を把握した上で、一歩踏み込んだ質問ができます。
面談には、候補者との共通項の多い社員を参加させるのがポイントです。年齢や経歴が似ていれば、相手の立場に立った受け答えができます。候補者のプロフィールを事前にチェックし、聞きたいことや共有したい情報をピックアップしておきましょう。
■カジュアル面談の当日の流れ
カジュアル面談は、リラックスした雰囲気の中で行うのが前提です。候補者の緊張を解くためにも、趣味や特技などを交えた自己紹介からスタートしましょう。面談当日のおおまかな流れは、以下の通りです。
- 自己紹介
- 候補者に対するヒアリング
- 企業説明
- 質疑応答
- 選考に進む意思の確認
- 今後の案内
面談が選考に影響しないことを伝えた上で、候補者の転職意欲や希望の働き方、キャリアの方向性をヒアリングします。候補者に合った企業説明や魅力付けをし、選考に参加する意思があるかを打診しましょう。
面談のクロージングに、求人や選考への誘導を行います。優秀な人材を早期に獲得するためにも、次のステップを明確に示す必要があります。
■カジュアル面談中に気を付けること
カジュアル面談では主に、現職の状況や転職意欲、キャリアへの価値観などを質問するのが一般的です。志望動機や自己PRを求めると、面接のような雰囲気になり、相手の本音を引き出せなくなります。
カジュアル面談に慣れていない担当者は、一方的に話をしたり、立て続けに質問をしてしまったりする可能性があるため、事前にロールプレイングをするとよいでしょう。
合否に関連する発言をしないように、カジュアル面談の目的と流れをしっかりと共有しておく必要があります。相手に合否を伝えたい場合は、あらかじめ選考の一部であることを明示しなければなりません。
カジュアル面談で自社の魅力を伝えよう
企業間の人材獲得競争が激しさを増す中、企業は優秀な人材との接点を増やし、自社をアピールする必要があります。カジュアル面談を取り入れれば、採用市場ではなかなか出会えない優秀な転職潜在層と接触できる可能性が高まるでしょう。
かつては、企業が人材を選ぶ時代でしたが、現代は人材の方が企業を選ぶ時代に変化してきています。カジュアル面談では、候補者への理解を深めると同時に、自社の強みや魅力を積極的に伝えることが肝要です。
構成/編集部