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「残業する人=高評価」はもう古い!残業の捉え方と評価制度に関する見直しのすすめ

2024.07.16

定時で帰る人より残業をしている人の方が評価は高くなる、もしくは評価の低い人は残業をして評価を高めようとするべきである、という考え方が古いものであるという認識は徐々に定着しつつあります。しかしその通りに改善が出来ている企業はまだあまり多くは無いのが現状です。無駄な残業はそれすなわちコストですから早急な改善が必要です。今回はなぜ残業を減らせないのか?どうすれば良いのか?を考察していきます。

残業とは?

そもそも残業とはどのようなものでしょうか?

以前から日本人は熱心に働き過ぎる、労働時間が長いと言われています。しかし片付けるべき仕事があり、その仕事をルールの範囲内で残業して消化するのであればそれは必要な残業労働と言えます。またОECDの労働時間のデータによれば世界各国と比較してもイタリア以外の欧州の主要国よりは長いものの、アメリカやカナダよりは短く、日本の労働時間が突出して長いわけではありません。それでいてGDP世界第三位の生産力があります。つまり残業=悪では無いのです。【残業】が必要な労働に使用され、そして正しくカウントされて報酬が与えられているのであれば、それは必要な労働なのです。

まずはこれを正しく認識する必要があります。

必要のない残業とは?

では、よく問題視される残業はどのようなものでしょうか?

主に二つあります。一つは【無駄な残業】もう一つは【サービス残業】です。

【無駄な残業】とは、生産性のない残業全般です。例えば良い成果を上げることが出来ていない人が定時には帰りづらいので行う『ポーズ残業』や被雇用者が通常の報酬よりも多くの所得を得る事を目的として行う『小ボーナス残業』です。これには全く生産性がありません。いずれも定時間内に完了しているはずの仕事をあえて時間外まで伸ばして行っているにすぎません。

そしてもう一つの【サービス残業】ですが、こちらにはその瞬間の生産性はありますが、残業とみなされておらず正当な対価を受け取ることができていませんのでそこが問題です。これが続けは、その会社の従業員は退職してしまったり会社を不審に思いパフォーマンスが低下していきます。その空いた穴を塞ぐための採用費や、落ちたパフォーマンス分がコストとなり、結果としてサービス残業で生み出された生産性を超越してしまうのです。

さらにサービス残業がある企業はブラック企業という悪評がついてしまいますので、損害はそれのみに留まらないでしょう。

ですから、この二つは必要のない残業と言えます。

残業の仕分け

昨今は上記の仕分けが行われないまま、ただただ労働時間を短縮しよう、残業を撲滅しようという議論がなされているように感じます。それは非常に危険な状況です。必要な残業時間まで削減してしまえばそれは生産性を低下させ、ひいては国力を落とします。ただ、個社毎に正しく仕分けが出来るわけはないから、それなら一律に削り取ってしまえ、という方向性になっているように私からは見えます。

そこまで極端に対処しなくとも個社毎にしっかり必要のない残業に対する対策を取ることが出来ます。実際に私のクライアント先のほとんどが、生産性をこれまで以上に保ちながら残業時間の大幅な削減に成功しています。

残業=全て悪、ではなく、しっかり仕分けをして対処することが重要です。

必要のない残業【サービス残業】を無くすには?

それでは解決方法を説明します。

まず不必要な残業の一つ、サービス残業に関してですが、こちらは従業員の側には実施するメリットは何もないので、無くなるかどうかは経営者の決断一つです。経営者が無くそうと決心すれば瞬時に無くなりますので解決方法はそれのみです。

残業代を支給せずに定時外でも労働をしてくれることは、一見企業にとってメリットが大きいように見えますが、それは「今この瞬間」のように短期的に見た場合の話です。先述しましたが、続けていれば従業員は会社に疑念を持ちますし、家族や友人からそこで勤め続けることを反対されたりすることもあっていずれ退職に至ります。求職者にとって売り手市場になっている現代では猶更です。退職しなかったとしても、その疑念や周囲の反対は仕事のパフォーマンスの低下を招きます。さらに、会社が社会のルールを守っていないのですから従業員のルールに対する意識も希薄になり、コンプライアンス違反やハラスメント等へのリスクも高まります。またそういったことを継続している企業はブラック企業とみなされるようになり、従業員だけでなく、取引先や金融機関からの信用も失っていきます。新たに採用を行う障壁も高くなりますから求人単価も高騰していきます。このように未来に及んで必ず損失が発生します。その損失はサービス残業をさせて得た利益よりもはるかに大きなものになるでしょう。すぐに決断なさるべきだと思います。

必要のない残業【無駄な残業】をなくすには?

もう一つの必要のない残業である【無駄な残業】ですがこれを解消するには評価制度を作成する、もしくは見直さなければなりません。

それ以外に方法は無いと言っても過言ではありません。

どれだけ無駄な残業を削減しようと声を掛けても、社のスローガンとして掲げても無くならなかったものが評価制度を見直すことですぐに解決します。「すぐ」というのはおよそ1年です。1年経つと見事に解消されるでしょう。

では、どのようにするかですが、大きくは2通りに分かれると思います。

まずはそもそも残業時間を戒める評価制度になっていないもしくは評価制度が無いという状況での対処です。無駄な残業を削減出来ていない1番多いケースがこのパターンだと思います。創業からそれ程時間が経っていない会社、もしくは長年少人数で運営している会社に特によく見られます。このような企業では残業を削減することが従業員の民度に委ねられています。そうなるとこちらではコントロール出来ません。テレビでニュースを見ていると、景気の悪化で収入減に、というようなよくある報道の中で街頭インタビューを受けている方が「会社も景気が悪くて…残業も出来なくなったし…厳しいですね」というおかしなことを言っているのを見かけますが、あのような感覚を持った人が増えて行くのです。本来残業は収入を増やすために行うものではありません。ですが、残業していることに対する評価が何もなく野放しになってしまっているので、残業が収入を増やすツールとして活用されているのです。しっかり成績を出して、定時で帰宅している社員より、ただただ残業をたくさんしているだけの社員が多くの所得を得ているような企業に優秀な社員は寄り付きません。「創業間もない」「小規模だから」等のいかなる理由があろうとも早急に評価制度を作成しましょう。それをせずにいるから現在まで創業期の規模を抜け出せずにいるということも言えるかもしれません。

この状況から評価制度を作成する際に必要な視点は「まずは簡易に」です。評価制度を作る、となると1から10まで全てを備えた完璧なものをと思われがちですが、それは非常に困難です。それが原因で先延ばしになってしまうのです。もし問題が残業であると感じているのなら、まずはそれを取り締まることだけを考えたものを作りましょう。その人個人とともにその人の上司である管理者に「チーム内で残業時間が〇時間を超えた社員が居た場合は〇〇」のようなものを設定すると効果があります。それだけであっても何もないよりははるかに良いです。そしてそれが出来ると今度は定時内の生産性も可視化しよう、のようにそこから派生して徐々に多方面の評価が出来るようになって行きます。まずは簡易にでもとにかく作成するのがポイントです。

もう一つは、制度はあるものの、例えば「残業代をボーナスで相殺するという仕組みになっている」というような金額を調整するのみでコントロールしようとしている状況です。一定量を超えた残業代はボーナス等で清算するというような形をとっていれば自主的に規制がかかるだろうというものです。ところが、残念ながら期待した規制はかかりません。なぜなら、そもそもボーナスの額を決める際の算定式に残業時間が考慮されていないからです。そうなるとボーナスの額を大きくする為に残業をすることになります。またそのような組織では、残業をしてでも実績を出していることが持て囃される風潮からなかなか脱却できません。さらにボーナスで調整はされるものの、残業代として前払いでもらえるわけですから、実質的には何の痛みもないわけです。評価は下がらず、金額を受け取る場面が調整されるだけの形になってしまっているので効果は限定的になってしまいます。

この問題を解消するには、残業をしてしまっている事実を金額以外の、例えば等級や役職に影響する評価に反映させるようにすることです。「残業時間を一定未満に出来ていなければこれ以上の役職には就けない」もしくは「〇〇以上の投球には等級には上がれない」のようにすると良いでしょう。そしてこれもやはり、残業をしている個人と共に、その人を管理している上司にも同様のルールを課すことです。

まとめ

今回は残業について考察しました。

まず重要な事は残業がイコール全てダメというわけでは全くありません。

世の中の風潮に惑わされず必要な生産活動としての残業はしっかり行うべきです。

ただ、発生する残業が必要な残業であり続ける為には必要のない残業を仕組みで削減できる評価制度を構築しましょう。

無駄な残業が発生してしまっている最大の要因はそれを取り締まるルールが無いことです。いきなり完璧なものである必要はありません。簡易なもので良いです。それですら「残業を削減しよう」と何度言うよりも効果があることは間違いありません。

評価制度は従業員にどのように動いてほしいかという経営者からのメッセージです。

作ってみて従業員がどのように動くかを見ながら徐々にブラッシュアップしていけば良いのです。

まずはそこから、是非トライしてみて下さい。

文/識学

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