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男性が取得できる育児休暇、育児休業の期間は?会社で推奨されても取得率が上がらない理由

2024.07.31

共働き世帯が当たり前になって久しい今、男性が育児休暇制度や育児休業制度を活用してプライベートと仕事のどちらも充実できる環境づくりが求められている。ただ、現実的には日本の育児休暇・育児休業制度は世界において男性が多く活用しているとはいえない。

そこで今回は、ビジネスパーソンが適切に育児休暇・育児休業を活用するために欠かせない、育児休暇・育児休業の基礎知識と取得する際の注意点について解説しよう。

男性の育児休暇・育児休業の取得をめぐる現状

しばしば混同されることがあるが、「育児休暇」と「育児休業」の意味は大きく異なる。それぞれの概要と期間、取得率などを確認してみよう。

■育児休暇と育児休業

「育児休暇」は各企業が設けた育児支援制度である一方、国が法律で定めた制度なのが「育児休業」だ。育児休暇は、企業に所属する従業員の育児支援によるエンゲージメント向上や「福利厚生が充実している」と採用活動でアピールすることなどを目的としており、当然、給付金や対象、期間は会社によって異なる。

一方、育児休業は「育児・介護休業法」という法律で、期間、対象、給付金の内容が定められている。つまり、基本的にはどのような産業、業態の企業で働いていても同じ条件になるのだ。

・育児休暇と育児休業の違い

育児休暇と育児休業の違いについて表にまとめた。あくまで体感だが、育児休暇と育児休業が混同されるケースにおいては「育児休暇のことを育児休業だと勘違いしている」ことが多いので、この機会にしっかりと両者の違いを理解してもらいたい。

育児休暇

育児休業

概要

各企業が独自に設ける従業員のための子育て支援制度

育児・介護休業法で定められた公的制度

対象者

企業によって異なる

原則として1歳未満の子を養育する男女労働者(一定の条件を満たせば最長2歳まで延長可能)

取得期間

企業によって異なる

育児する子どもが1歳未満(最長2歳未満)の間

給付金

企業によって異なる

■育児休暇制度設置の努力義務

前述の通り、育児休暇制度の設置について法的な決まりはないものの、2022年に改正された育児・介護休業法によって、小学校就学の始期(満6歳に達する日の属する年度の3月31日)に達するまでの子を養育する労働者に対する育児休暇制度を企業が設置することが努力義務となった。

強制力はないものの、ビジネスパーソンにとっては育児休暇制度を設置する企業が増える可能性が高まったことは朗報といえるだろう。

※出典:厚生労働省「育児・介護休業法のポイント」

日本の男性の育児休業取得率

育児休暇は民間企業の独自制度であるため、男性の取得率などのデータ収集が難しいこともあり、「育休」に関する指標としてはもっぱら「育児休業」が用いられていることを覚えておこう。

また、実は日本の男性の育児休業制度は「母親と同じ期間(1年間)の育休取得が可能」という点では、育児休業期間の水準は世界の中でもトップクラスに充実している。

それでも育児休業取得率は決して高くないのが、大きな課題といえるだろう。具体的な指標を以下で確認しよう。

■日本男性の育児休業取得率

厚生労働省の「令和4年度雇用均等基本調査」によると、2022年時点での男性育児休業取得率は17.13%となっている。同年の女性の育児休業取得率は80.2%であるため、男女比は実に4倍以上もある。

ただ、国による男性の育児休業取得支援の影響もあり、2012年の1.9%と比べると、ここ10年で伸長しているのは確実だ。また、男性の育児休業の取得者のうち97.5%が復職しており、女性の93.1%と比較しても高い割合である。

※出典:厚生労働省「令和4年度雇用均等基本調査」

■男性の世界の育児休暇取得率

育児休業制度の内容は各国で異なるため、横並びで比較することは難しい。少し古いデータではあるが、独立行政法人労働政策研究・研修機構の「国際比較から見る育児休業制度の特徴と課題」によると、2014年時点でノルウェー・スウェーデンの男性の育児休業の取得率は80%を超えている。

同年のドイツも30%前後あるため、2022年の日本においては世界的にはまだ取得率は低いと考えられるだろう。

※出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「国際比較から見る育児休業制度の特徴と課題」

日本の男性の育児休業取得率が低い理由

世界的にもトップクラスで長期間の育児休業を取得できるにも関わらず、男性の取得率が低い大きな理由としては「制度」と「環境」の2つの観点から説明できる。それぞれについて解説しよう。

男性の育児休業の制度的な課題

育児休業の制度的な課題の代表格が「給付金」の金額だ。現状、男性が給付金を取得した場合、半年までは給与の67%、半年以降は半分が支払われる。この給付金の水準は世界的には高くはない。育児休業制度を活用する大きな壁につながることは想像するに容易い。

従って、男女どちらも育児休業を取ることは家庭における収入減に直結し、「男性側は育児休業を取得しない」という選択をするパターンはまだ多いかもしれない。

男性の育児休業の環境的な課題

2023年6月、人材紹介事業などを展開するエン・ジャパン株式会社が公表した「ミドル2000人に聞いた「男性育休」実態調査」では、男性の育休取得率が低い理由についても約2000人を対象にアンケート調査を行っている。その結果を以下で確認しよう。

1位:育休を取得しづらい雰囲気がある

2位:職場が人手不足

3位:収入を減らしたくない

4位:昇給・昇格などのキャリアに影響がある

5位:仕事が忙しい

6位:会社で育児休業制度が整備されていない

7位:育児は女性の役割という考え方が強い

8位:前例が少ない

9位:会社の育児休業制度を理解していない

10位:自分にしかできない仕事がある

※出典:エン・ジャパン株式会社「ミドル2000人に聞いた「男性育休」実態調査

―『ミドルの転職』ユーザーアンケート」

育児休業が取りやすい環境に身を置くのがポイント

将来的に育児休業を取りたい男性のビジネスパーソンであれば、今いる会社で率先して取得を目指すのも不可能ではないだろう。一方、すでに育児休業制度を設けて運用しており、男性の取得実績がある会社に転職するのも有効な手段だ。

いずれにしても、2023年4月からは「従業員が1,000人を超える企業」は男性労働者の育児休業取得率等の公表が必要になっている。さらに2025年4月からは「従業員が301人以上1,000人以下の企業」にも対象が広がる。男性にとって育児休業が取得しやすい環境に変わる可能性があるので、今後の企業の動向に注目しよう。

文/藤冨啓之(ふじとみひろゆき)

経済週刊誌の編集記者として活動後、Webコンテンツのディレクターに転身。2020年に独立してWEBコンテンツ制作会社、もっとグッドを設立。BtoB分野を中心にオウンドメディアのSEO、取材、ブランディングまであらゆるコンテンツ制作を行うほか、ビジネス・社会分野のライターとしても活動中。

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