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DX、AI技術と現場力を融合させることで災害から暮らしを守るパナソニックの「新世代サプライチェーン」戦略

2024.07.11

パナソニック エレクトリックワークス社は、強靭なサプライチェーン戦略を発表。災害などの有事の際でもAIとDXを活用することで、必要部品の供給を途切れさせないための取り組みとなっています。

パナソニックが担うインフラ事業の重要性

パナソニック エレクトリックワークス社は現在、企画から保守までバリューチェーンの機能を自社内に保有し、インフラを支える電気設備の領域で、事業を展開しています。

説明会に登壇した、パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社 社長 大瀧 清さん

具体的な国内シェア率でみると、LED照明器具が約4割、配線器具が8割強、家庭用燃料電池が約4割を占めていることからわかるように、私たちの生活基盤ともいえる重責を担っているといえるでしょう。

また、海外各国にも製品を販売しており、最重点国として定めるインド、トルコ、ベトナムでも高いシェア率があります。

パナソニック エレクトリックワークス社は、現場に合わせた多品種、高品質な部材の供給を、短い納期で行うことが重要と考え、グローバル標準品10万品番に加え、25拠点製造でのオペレーションなどに取り組んでいます。

しかし、国内労働力のひっ迫や自然災害の激甚化、半導体不足や原材料価格高騰、円安など、多数の不安定な要素があるのも事実。サプライチェーンの強靭化は、急務といえる状態なのも事実でしょう。

そんな中、〝災害でも途切れないサプライチェーン〟を実現するために立ち上げられたのが、「EW-Resi」という調達システムです。

有事でも供給を途切れさせないSCM-DX「EW-Resi」

EW-Resiは、ファーストステップでBCPシステムを実現。そこから12か月という短期間でアップグレードされたシステムです。

ファーストステップでは25拠点のデータを反映し、セカンドステップでは国内17拠点、海外1拠点(インド)のデータを直接連携しています。

2020年10月に発生した大手サプライヤーでの火災にて、パナソニック エレクトリックワークス社は主力製品に搭載するカスタムICが長期間にわたり供給できなくなっていました。

この経験から、各拠点で個別に運営していたBCP(ビジネス・コンティニュイティ・プラン:企業が地震などの自然災害や事故などの非常事態で、被害を最小限に留めつつ事業を継続できるよう計画を立てること)システムを、富士通の汎用システム「SCRKeeper」に移管し、ES-Resiとして全社展開を始めています。

供給を切らせてはいけない主力商品の部品構成、代替部品を登録。有事の際にはこのデータベースを使い、サプライチェーン統括センターが関係部門に情報を同期することで、進捗や重要度合いの共有が即座に行われます。

ただし、ES-ResiはあくまでBCP専用システムなので、以前はオペレーションが属人的になったり、マニュアル対応が必須といった難点がありました。

そこで、ビッグデータを解析するシステムを組み込み、必要なデータを自動的に算出できるアプリの開発を開始。これが、EW-Resiです。

EW-Resiではビッグデータを活用し、計画や調達状況の確認、製造状況や在庫、出荷状況について、有事の際にどの程度の影響が出るのかを、自動的に算出。

さらに、パナソニック エレクトリックワークス社の関連サプライヤー約3000社をつなぐことで、災害発生時の対応日数短縮、作業工数の削減による業務効率化が図れます。

これにより、日本、グローバルでの販売規模の5割に使う代替部品が登録済みとなっており、事業継続計画の状況把握に平均10日間かかっていたものが、ES-Resi時点で平均3日間、EW-Resiでは平均1日に短縮できています。

具体的な運用画面によると、震度5以上の地震や、レベル4以上の洪水が発生した場合、下図左側のような画像が自動的に立ち上がり、被災情報と部品の手配状況や発注状況などが確認できます。

右側の画像では、個別部品への影響がどの程度なのか、製品の供給がいつ頃途切れるのかといった情報を即座に確認できるようになっています。

DX・AI技術と現場力の融合で業界トップレベルのオペレーション力を強化

EW-Resiは、パナソニック エレクトリックワークス社が持つ拠点情報のそれぞれで行われているSCM(サプライチェーン・マネジメント)の情報に加え、部品マスタ、製品の受注状況などを全て統合することで、データを算出しています。

加えてパナソニック エレクトリックワークス社では、在庫管理や需要予測、ISP管理などをまとめ、効率的なオペレーションができるように、この1年間で30アプリを開発しています。

また、多数品番の長期販売予測をAIが代行しています。

直近のPSI(Production:生産、Sales:販売計画、Inventory:在庫の略)計画であれば、属人的に行えるものの、半年、1年といった長期予測は難しいので、AIで計算をし、予測を安定したものにします。

冒頭でも触れた通り、パナソニック エレクトリックワークス社は国内のインフラ事業において大きなシェアを持つ企業です。

AIやDXを活用し、災害の多い日本で有事の際にも安定したサプライチェーンを確保するための取り組みは、我々が日々の生活を安心して過ごすために重要なものといえます。今後のさらなるシステム構築や進化にも期待したいところです。

取材・文/佐藤文彦

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