AI(人工知能)が音声を認識し、自動で応対する「ボイスボット」。主にコールセンターの業務効率化を目的に企業で導入が進んでいる同システムだが、実際のところ、ボイスボットの対応で「要望が解決した」と感じた人はどれくらいいるのだろうか?
トゥモロー・ネットはこのほど、1年以内に企業とのコミュニケーションやコールセンターなどでボイスボットの利用経験がある20代~50代の男女1,032名を対象に「ボイスボットユーザー調査」を実施し、その結果を発表した。
コールセンターの役割は、「フロントチャネル」と「エスカレーションチャネル」
ボイスボット利用者に対して、コールセンターに電話をした理由を尋ねたところ、最も多かった回答は「WEBサイト等で調べたがわからなかった」が43.9%、「人と話したかった」が28.7%で、コールセンターが「エスカレーションチャネル」としての対応を求められており、顧客の要望を「解決すること」への期待が高いことがわかった。
さらに、「WEBサイトやアプリが面倒だった」が18.8%、「いつも電話している/電話での連絡手段しか知らない」が16.5%と、「フロントチャネル」としての役割も求められていることがわかった。
ボイスボットによる要望解決率は2年前から12.0%増加し、61.3%に
企業への問い合わせなどの際、ボイスボットで要望が解決したか尋ねたところ、「そう思う」と回答した利用者は61.3%(「とてもそう思う」20.2%、「そう思う」41.1%の合計)で、2022年に実施した調査による結果から12.0%増加していた。これは、ボイスボットの導入企業の増加や技術の進化など、チャネルとしての認知度向上、およびユーザーリテラシーの向上が要因と考えられる。
ボイスボットで要望が解決しなかった場合、約半数は有人対応へ 約2割がマイナス体験を経験
ボイスボットで要望が解決しなかった後の行動について尋ねたところ、「オペレーターへの電話転送」が47.5%と最も多い結果となった。一方で、「他の手段(WEBサイト・メール等)で問い合わせ」が20.0%、「店舗や別の窓口への問い合わせ」が17.8%を占めており、フロントチャネルであるコールセンターに電話したにもかかわらず要望が解決しなかった場合、ユーザーは他の方法を選択せざるを得ない状況にあり、その結果、マイナスの体験を強いられていることがわかった。
また、13.8%が「諦めた」と回答しており、機会損失やユーザーの離脱などに影響を与えていることも明らかになった。