DIME MAGAZINE
米国企業深掘りシリーズ「ブロードコム(AVGO)」
ブロードコム(AVGO)は、通信用半導体市場における世界的リーダーであり、その製品はスマートフォン、データセンター、ネットワーク機器など多岐にわたる分野で利用されています。
そこで今回の米国企業深掘りシーリズはブロードコムの特徴や強み、株価の変遷について詳しく解説します。
ブロードコムの概要
ブロードコムは、1961年にヒューレット・パッカード(HP)の一部門として設立され、現在はシリコンバレーを拠点とする多国籍半導体企業です。同社は主に通信、ネットワーキング、データストレージ、および産業用半導体の設計と開発を行っています。1999年に独立企業として設立され、現在はNASDAQに上場しています。
歴史とマイルストーン
ブロードコムの歴史は半導体業界の発展とともにあります。初期にはネットワークと通信分野に注力し、革新的な技術を次々と市場に投入しました。2005年にアバゴ・テクノロジーズとしてスピンオフし、その後2015年にブロードコムを買収し現在の名称となりました。2016年には、シマンテックの企業部門を買収し、セキュリティソリューション市場への参入を強化しました。これらの戦略的買収は、ブロードコムの技術と市場シェアを大幅に拡大させています。
主なプロダクトとテクノロジー
【スマートフォン向け半導体】
ブロードコムはアップルやアマゾン、グーグルなどの主要サプライヤーとして知られています。ブロードコムのRF（無線周波数）フロントエンドモジュールは、iPhoneを含む多くのスマートフォンで使用されています。これにより高速で信頼性の高い無線通信が可能となり、スマートフォンのパフォーマンスが向上します。
◯RFフロントエンドモジュールとは、スマートフォンやその他の無線通信デバイスで無線信号の送受信を行うための部品です。このモジュールは、アンテナからの信号を処理し、必要な周波数に変換する役割を持っています。
【データセンター向け製品】
ブロードコムは、データセンターでも重要な役割を果たしています。データセンターは、インターネットのサービスを提供するための巨大なコンピュータ施設です。ブロードコムのネットワークスイッチやストレージコントローラーという部品は、データセンターの中心で使われています。これらの部品のおかげで、データが素早く効率的に転送され、保存される仕組みが実現しています。
【ネットワーク機器向け半導体】
ブロードコムは、ネットワーク機器を作る会社向けにも部品を提供しています。ネットワーク機器には、ルーター、スイッチ、ゲートウェイなどがあります。これらは家庭やオフィスで使われるインターネット接続装置です。ブロードコムの技術は、こうした機器が高速で安定したインターネット接続を提供し、増え続けるインターネットトラフィック（データの流れ）に対応するために欠かせないものとなっています。
【技術革新の具体例】
ブロードコムは、その歴史の中で多くの技術革新を達成してきました。以下はその具体例です。
【イーサネットスイッチング技術】
ブロードコムは、データセンター（インターネットサービスを提供する巨大なコンピュータ施設）のネットワーク性能を大幅に向上させる技術を開発しました。この技術のおかげで、データセンター内のコンピュータがデータをより速く、より効率的に交換できるようになりました。
【Wi-Fi 6やBluetooth 5.0】
ブロードコムは、最新の無線通信規格であるWi-Fi 6やBluetooth 5.0に対応した製品も提供しています。これにより、インターネットやデバイス間の接続がこれまでよりも速く、安定し、信頼性が高まっています。
【ASIC技術】
ブロードコムは、ASIC（特定の用途に特化した集積回路）という技術を使って、顧客の特定のニーズに応じたカスタマイズされたソリューションを提供しています。この技術により、顧客は自分たちの要求にぴったり合った性能や機能を持つ部品を手に入れることができ、ブロードコムは他社と差別化を図ることができます
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