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朝礼で情報共有するという企業は多く、さらに、1分程度のスピーチを社員持ち回りで行う企業も少なくない。スピーチが苦手な人にとっては、なかなか慣れずに気が重くなる人もいるだろう。今回は、スピーチのネタや話の組み立て方を紹介しよう。
朝礼でのスピーチの目的とは
そもそも朝礼でのスピーチは必要なのだろうかと疑問を持つ人もいるだろう。朝礼でのスピーチは、部署内での情報共有や目標を周知するために活用できる。それなら、朝の一斉メールでもいいのではと思うかもしれないが、文字から受け取ることができる情報と、同じ言葉でも、声から受け取ることができる情報量は明らかに違うため、士気を上げる意味でも、声による情報は大切だ。
とはいえ、とりとめもない話をされると、その後の業務が気になり、士気が上がるどころか、逆効果になることもある。これから、その日の業務に前向きに取り組めるような内容と長さが求められる。
スピーチの内容によって社員間で共通の話題が見つかったり、仕事への取り組み方の刺激になったりするなど、コミュニケーションやモチベーションの向上にも役立つ。
基本のスピーチの流れ
仕事では、さまざまなシーンで「伝える」ということが必要になる。社内での報告や相談もそうだ。スピーチを練習することは、内容をわかりやすくまとめる習慣が身に着くだけでなく、何を話そうかと情報収集することで、知識や気づきも得られる。
スピーチの流れは、基本的に「起承転結」。まずは、「起」のいわゆるイントロ部分で、問いかけや最近話題になっていることなどを例に挙げ、これから何について話すかを明確にして、聞き手に興味を持ってもらう。
続いて、そのイントロから話を広げ、具体的な内容に展開していく。そして、最後は自分なりの結論を導き出したり、提案をしたりしてまとめよう。
朝の時間は貴重なため、企業によっては、1分間など時間をある程度決めている場合もある。1分間というのは、話してみると意外と長いため、まずは、1分で伝わる内容を考え、準備するのがいいだろう。
スピーチがうまくいかないのは、準備不足が原因ということも多々ある。何について話すか、一言一句書いてしまうと読み上げてしまう恐れがあるが、言い忘れてはいけないことはメモしておくのもおすすめだ。
おすすめのスピーチネタ
一番悩んでしまうのが、なにについて話すかではないだろうか。普段から情報収集しておく必要があるが、むずかしく考えすぎることもない。実体験や身近な話が新たなアイデアに結び付くこともある。ここでは、話が展開しやすいスピーチのネタをピックアップする。
・今日は何の日?
1年中、なにかの記念日だといっていいくらい、何かの記念日であることは、インターネットを検索するとすぐにわかる。「不思議の国のアリス」のティーパーティーでは、なんでもない日おめでとうと祝っているが、なんでもない日を探すのがむずかしいくらいだ。
例えば、7月20日は何の日か調べてみると、「月面着陸の日」「世界チェスデー」「Tシャツの日」「ハンバーガーの日」ということがわかる。その中で、最も興味のあることをピックアップし、自身の体験を絡めて話を展開するといいだろう。
・季節の話題
日本には四季があり、それぞれの季節には昔からのいい伝えなどもある。例えば、二十四節気のひとつ夏至は、北半球では昼の時間がもっとも長い日だ。夏は、日が長いと感じるが、夏至は6月21日か22日ということが多い。
また、節分は、立春の前日のみが話題に上り、さまざまな行事が行われるが、立夏、立秋、立冬と四季それぞれに節分が存在するなどトリビア的な話は、そのあと、営業先で同僚が活用することもでき、喜ばれるだろう。
・時事ネタ
ニュースや新聞などで話題になっている時事ネタは、さまざまな角度から考え方を話せ、ニュースの内容を知っている人が多いため、展開しやすい。ただ、宗教関連については、さまざまな考えがあるため避けたほうがいいだろう。
サービス業なら、「カスハラ」のニュースを取り上げ、理不尽な要求に怒りが込み上げてきたときの感情やメンタルのコントロール方法を試していることを話し、最後に、アドバイスを求めるのもひとつの手だ。
・趣味の話
趣味については、どのような趣味であるか、なぜ始めたのか、その趣味によって得られたものは何かなど、会社の業務では見ることがない一面を披露することができる。
例えば、最近ピアノを始めたとする。幼い頃、近所の家から聞こえてくるピアノの音色に憧れ、漫画やドラマでもピアノのシーンが出てくることが多く、大人からでも始められることを知って、トライしてみたら、想像以上に難しいけれど、弾けた瞬間の達成感が忘れられなくなった。仕事も、大変なことが多いが、乗り越えたときの達成感を得られるようにがんばりたいと、業務への思いを伝えることができる。
・健康について
健康を意識する人は、年齢を問わず多くいる。自分なりの健康法を披露してもいいし、健康についての番組やインターネットの情報から学んだことを話すのもいいだろう。
最近、少し体が重いと感じるようになったから、ひと駅手前で降りて歩くようにしてみたら、すてきなお店を見つけた。自宅の近所なので、休日に出かけてみようと外出の楽しみが増え、自然と歩く距離が長くなったなど、ひとつのアクションから、さらに発展することは誰にでも起こりうることで共感を得られるだろう。
スピーチの順番が回ってくることで、否が応でもネタを探さなければいけない。ただ、ネタがすばらしければそれでいいというわけではなく、ピックアップしたネタに、どれだけ実体験や自分自身の感情、考えが入っているかが重要だ。
ただ、調べたことをスラスラと話すのではなく、そこから感じたこと、考えたこと、結論に至らず悩んでいることなど、自分らしさを大切にして話すことをおすすめする。スピーチが上手と思われている人も、実際は緊張していることも多い。
みんな同じ思いなんだと、いい意味で開き直り、自分の考えを改めてまとめる機会ととらえ、スピーチの準備をしてみてはいかがだろう。
文/林ゆり